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きらびやかな宇宙

THE YELLOW MONKEYが魅せた2つのステージについて

2017年10月、THE YELLOW MONKEYを見た。
キャパわずか2,000人の田舎のホールで。

2017年12月、THE YELLOW MONKEYを見た。
キャパ50,000人の東京ドームで。

どんな会場で、どんな座席から見ても、THE YELLOW MONKEYというバンドはTHE YELLOW MONKEY以外の何者でもない。

2017年の秋、THE YELLOW MONKEYは全国の地方都市、しかも、普段は47都道府県ツアーでもない限り選んでもらうことが無さそうな町を会場にツアーを行った。
郊外型のショッピングモールが光り輝く、何もない町の、小さなホールで。小さな規模の舞台装置、特効、照明だったけれど、THE YELLOW MONKEYは1万人クラスのアリーナのように、日本武道館のように(もしかするとそれ以上に)濃密で見る者を圧倒するパフォーマンスを見せつけた。そこには、2016年の1年をかけて構築された4人のグルーブと、アリーナツアーで吉井和哉が口にした「もっと細かい地方を回りたい」という地方で生活するファンたちとの約束を守る彼らの誠実さが見えた。

恥ずかしい話だけれど、私は私の暮らす町が嫌いだ。何もない、どこに行っても知り合いだらけで、ただただ息苦しい町が。私の大好きなロックとは程遠い町が。
そんな私の凝り固まった頭をぶん殴ったのがTHE YELLOW MONKEYだ。4人はいとも簡単に、どこでもロックを鳴らすことができるということを証明してしまった。
キャパ2,000人のホールをきらびやかな宇宙に変え、アリーナや日本武道館と同じようにTHE YELLOW MONKEYのロックを鳴らした。
その日、確かにきらびやかな宇宙の中にTHE YELLOW MONKEYと私がいた。

2017年の冬、THE YELLOW MONKEYは東京ドームのステージに立った。
これまでに、色々な場所で吉井和哉のソロやTHE YELLOW MONKEYの公演を見てきたが、東京ドームの大きさはケタ違いだった。スタンドの最上部まで埋め尽くされる人、人、人。大型モニター、光る花道、ド派手な映像、照明、電飾、バルーン、お姉さん、コーラス、オーケストラなど、尽くせる限りの贅を尽くし、東京ドームという会場を最大限活用した夢のような時間だった。5万人が一斉に手を振る動作を見た時には鳥肌が立った。しかし、何よりも驚いたのは、THE YELLOW MONKEYという生身の人間がそこに立ち、演奏する姿が、どんな派手な演出にも負けないのだ。THE YELLOW MONKEYの手にかかれば、東京ドームもやはり、きらびやかな宇宙となって、そこにTHE YELLOW MONKEYと私が存在する。ただ、それだけのことになってしまうのだ。

恐ろしい話だ。
どんな会場で、どんな席から見ても、THE YELLOW MONKEYは圧倒的な THE YELLOW MONKEYだ。
私がかかえる悩みとか息苦しさ、そんなものはとてもちっぽけで、そんなことに足を取られている場合ではない。そうこうしている間にTHE YELLOW MONKEYはどんどん先へ進んでいく。
時に激しく、時に優しく、そしていつでも音楽と全力で生きている。
私には、もはやTHE YELLOW MONKEYと共に生きる選択肢しか残されていないのだ。ちっぽけなことで悩み、つまずき、頭を抱え、働くことにも、生きることにも無気力だった私が、この2年、強烈に生きたいと思うようになった。しかも、健康である程度の自由が利くお金を持って、どこまででも出かけていきたいと思っている。
そのきらびやかな宇宙のためなら、多少のことは頑張って乗り越えられそうな気がするのだ。むしろ、頑張って乗り越えたい。

これまでにも好きな音楽はたくさんあった。
好きなアーティストはたくさんいた。
だけど、ここまで感情を揺さぶってきたのは吉井和哉の作る言葉と音だけだった。
ここまで見に行きたい、追いかけたいと思ったのはTHE YELLOW MONKEYのライブだけだった。
恐ろしい話だ。
厄介な人たちを好きになってしまった。とても後戻りはできそうに無い。
12月28日、仕事納めも放り出して、私は飛行機に乗り、福岡へ行く。
正確には、仕事納めを放り出せるように綿密に計画し、仕事をこなした状態で福岡へ行く。
その後はきっと、そこで味わった宇宙の美しさを反芻しながら、次の宇宙を目指して仕事をするだろう。ロックが鳴ることがわかってしまった何もない大嫌いな田舎の町の片隅で。また、私の町にTHE YELLOW MONKEYがやってくることを夢見ながら。

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