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エレカシとの出会い

やっと気付いた最高のロックバンドの存在

30代、結婚し子供もいる。落ち着いてきたので数年ぶりに外で働き始めた。程よい疲れの中、これから少しは自分のやりたい事ができると密かに胸弾ませながら洗濯物を畳んでいたある金曜の夜の事。
エレカシがTVに出ていた。高校生の時に初めて聴いて好きだと感じた「悲しみの果て」が流れてきた。青っぽい照明の中、真っ直ぐ力強く歌う宮本氏、落ち着いて丁寧に曲を奏でる四人の姿に釘付けになった。重みと凄みが伝わってきた。

昔から宮本氏の声が好きだった。
だが、エレカシは男の人達に向けて歌っているようで気が引けて、ちゃんと聴いた事がなかった。でも、今の自分は抵抗なくすんなりと聴く事ができた。歳を重ねいろいろと学び強くなったからなのか、エレカシを身近に感じた。そして、久しぶりに聴いたエレカシは本当に本当に格好良く「この人たちのコンサートに絶対に行く」という衝動に近いものを感じた。

今年がエレファントカシマシデビュー30周年ということを初めて知り、コンサート前半戦、エレファントカシマシを地元で聴く事ができた。
生まれて初めてミュージシャンに心酔した。
でも、その時は漠然と、格好良すぎるベテランのロックバンドの良さにようやく気付く事ができたという感覚で、エレファントカシマシがどの様に良いのか、宮本氏がどんなに凄いのかまではまだわからずにいた。
とにかく、エレカシの歌をもっと聴きたいという気持ち、知らなかった事への後悔と焦る気持ちでいっぱいになった。そして、もっと早くエレカシをちゃんと聴いていれば、私の人生は違っていたかもしれないと感じた。

はじめは、30周年ベストアルバムの曲から聴いた。エレカシの歴史も勉強した。過去のインタビューや本を読み、宮本氏の苦悩とファンを思う気持ちに涙した。
宮本氏の歌と歌詞から感じる説得力や優しさは、宮本氏の生き様そのものの表れのような気がした。
聖地と呼ばれる野音にも行く事ができた。ファン数ヶ月の私が足を踏み入れて良いものかと不安だった。だが、実際は優しく迎えてくれるエレカシ四人の姿があり、ファンのエレカシ愛が満ちていた。
コンサートが幕を上げ、一転、ただただ圧巻の大絶唱を目の当たりにした。大都会の夜空に響く宮本氏の全身全霊の歌声とメンバーの醸し出す真摯な演奏は、とても贅沢で神秘的で、生涯の糧になるほどの素晴らしいものだった。聖地と呼ばれる意味がわかるような気がしたと同時に、昔からのファンの方々を羨ましく感じた。
そしてまた、その野音でエレカシの過去の名曲たちの実力に気付かされた。歌詞が胸に突き刺さり、メロディは頭の中に充満してくる。攻撃的だし悲観的なのだが、楽観的。「曙光」「おまえはどこだ」「九月の雨」を初めて生で聴き、宮本氏が歌に命を、人生をかけている事がよくわかった。凄いとしか言いようがなかった。51歳のロックシンガーは妖艶で最高にクールだった。「月の夜」こみ上げる感情からの、聴き終わった後の心地良い脱力感。エレカシは月がよく似合うとは本当だった。「パワー・イン・ザ・ワールド」生で聴くと痺れた、力が漲る。都会で生きることってこういうことなのだろうと地方に住む自分は思う。「男は行く」《俺はお前に負けないが/お前も俺に負けるなよ》宮本氏が男たちを鼓舞する。女の私もしかと受け止めた。「真夏の星空は少しブルー」一瞬にして癒された。青みがかった美しく優しい曲だった。
野音のエレカシを目の当たりにし、高揚感と喪失感が入り混ざった感情の中の帰り道、自分はエレカシを何も知らなかったとショックをうけた。それから、前期のエレカシも片っ端から聴いた。何度か聴いているうちに楽しくなってくるし歌詞の意味がわかってくる。エレカシの歌はエレカシが歩んだ時代と共にあるようだ。知れば知るほど奥が深い。中期と呼ばれるときの曲も全部聴いた。自分の中での名曲をいくつも見つけた。

「さよならパーティー」
《誇れるモノが今は無くってもいい ココロに水を少しかけてやればいい》
《なんどもなんども繰り返してきた さよなら
オレの未来へとつづく道 こころから そう言える日が来る》
《輝くため傷つきそして再び飛び出せ》
20代のもがき苦しんでいた自分に聴かせたかった。軽快なメロディにのって届くメッセージが、無理するなよ、もっと今を楽しめよと言っている。それでいいんだよって。

こうして数ヶ月、寝ても覚めてもエレファントカシマシの生活を送り、私が今まで知っていたエレカシとはまったく違うエレカシ像ができあがった。

それから後半戦コンサートでエレカシと再会した。
前半戦でみたエレカシとは少し違ってみえた。楽しそうで、メンバーの笑顔も素敵だった。
宮本氏がラジオで言っていた。「自然体でできている」と。
私自身もエレカシをたくさん知って余裕ができ、一曲一曲しっかり聴けたし、受けとめることができた。
「歴史」全身に響く音にのせて、ひとりの男を尊くまた自分もそうなりたいかのように歌う宮本氏、この曲を聴くと背筋を正し大きく深呼吸してしまう。感慨深いとはこのことだ。「RAINBOW」心底惚れた曲。50歳近くで作られた曲とは思えないほどの躍動感、またそれを完璧に歌い上げる宮本氏の姿に完敗した。「ガストロンジャー」怒りや矛盾した思いを剥き出しに、シャウトにのせる。「ハロー人生!!」当時の宮本氏の屈託した思いと、まだまだやってやるぜという意気込みを感じた。「風と共に」を聴くと、なんてことない平凡な自分の人生をも愛おしく思えてくる。過去の自分も肯定し、幸せになりたいと希望がもてる素敵な曲だ。
新曲2曲も生で聴けた。光と影が合わさる世界、今のエレファントカシマシの再出発を見届けた。
私にとっては今年最後のコンサートだった。
宮本氏の若々しい姿と安定の歌声と、エレカシのすべてをしっかりと心に焼き付けた。

富山公演、「悲しみの果て」を歌いながら涙を流す宮本氏をTVの映像で観た。
61、71まで続けたいと言っていたそう。
安心した。ファンに目醒めたとき、あと何回、生でエレカシを聴けるのかとてつもない不安におそわれたから。その言葉をしっかり聞けて良かった。この四人が揃ってのエレカシ。エールを送りたい。

宮本氏は、素直な方なのだろうなと思う。かっこつけているようだけれど、素の自分や気持ちをみんなにさらけ出して話してくれるし、歌詞からも感じる。だから宮本氏の表情や涙をみて気持ちが痛いほど伝わってくるし、想像して勝手に共有してしまうし、心底応援したくなる。

私は、30代後半自由な時間が少なくなった今こそ、エレファントカシマシに出会えて、ただ忙しく日々の生活に追われる中でも、自分自身のやりたい事や好きな事をして人生を楽しむという、それがまた大切な人達の笑顔に繋がるという事に気付けた。うまくいえないが、自分のためと、人のためはリンクしていると思う。

「風と共に」
《あなたは笑うでしょう 私の小さな祈りを
  曇りのち晴れ 悲しみの向こう 私は今を生きていきたい》
《今の私にこそ相応しい輝きを抱きしめたいのさ》
じんわり、心に響く歌詞。

生まれて初めて音楽が生活の一部になった。
エレカシの歌に励まされ癒され、ときには熱い鼓動を感じる。
遅すぎた出会いと嘆いていたけれど、エレファントカシマシの記念すべき特別な年に、大ファンになれた事を心から喜びたいと思う。

まったく文章力もなく、言葉も軽薄、恥ずかしい文面で間違っている事や知らない事もあると思う。
ただ、エレファントカシマシに出会えたおかげで、人生の捉え方がガラリと変わった事、曲から受けた衝撃を文面に表してみたかった。

私は、エレファントカシマシの存在に心から感謝している。
野音で繰り返しファンに言っていた宮本氏の
「ありがとうございます」を、今も時々思い出す。

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