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10年ごとに私を奮起させてくれる21世紀の極上ロックバンド

同世代のストレイテナーは人生を彩るBGMになった

音楽との出会いって本当に不思議なもので、琴線に触れるかどうかはいつだって己の人生の在り様ひとつで決まります。一度心に届いたならば、その後は永遠に自分の人生劇場のBGMになり、それから何年経ったとしても、また一瞬にして、その時の記憶と感情をあふれ出させる力があると思うのです。

つい先月、ストレイテナー「BROKEN SCENE TOUR 2017AW」のワンマン@マイナビBLITZ赤坂に行ってきました。テナーのワンマンは今回が2回目で、しかも10年ぶりだったのですが、10年前に感じた何かが肌感覚で鮮明に蘇り、今回もそれに重ねるように、自分の内側から何らかの衝動が湧きあがるような心の震えがありました。
ワンマンをたった2回見ただけでテナーファンを名乗るのは甚だにわか風情ではありますが、とはいえ10年前の初ライブがあまりに印象的だったもので、それ以来ストレイテナーが好きです。私は普段からロキノン系を聴き込んでいるわけでもなく、フェスに熱心に行くタイプでも全く無いのですが、10年ごとに震えるほど感動させてくれるストレイテナーだけは別なのです。

テナーとの出会いは今から10年前の幕張メッセ。確か「リニア」の時、友人の彼氏の都合がつかなくなり、代わりに私が行くことになったのが出会いのきっかけでした。ピンチヒッターとはいえちゃんと予習をしていた私。CDを聴いた時点でけっこう好きな感じで、初ライブの印象は、日本人でこんな踊れる洒落た音を出すロックバンドあるんだ、というものでした。しかも聞けば、メンバー全員が私とほぼ同い年の人達らしいのです。
その頃の私は20代も終盤戦、5年勤めたアパレル会社を辞め、約1年ほどロンドンで遊学して帰国したばかりで、今後の人生について色々悩んでいた時でした。社会人になってからはまあまあ頑張っていたものの、10代後半から20代中盤までは、クラブにライブにと、死ぬほど遊び呆けていた我が人生です。
いい歳して何も考えて無くて、一文無しでロンドンから帰国し、当然のように都内の実家に戻り、なんか私って何にも出来ないし何も努力して来なかったし、そんな人にはロクな人生が待っていないんだな~、と、いよいよ痛感していた頃だったのです。
そんな時に体感したストレイテナーのエナジェティックなライブは、ぬるい生き方をしていた私に、私も頑張らなくては!と奮起させるには十分過ぎるパワーを与えてくれました。10年前の29歳の時点で幕張メッセを埋めつくし、あれだけの聴衆を沸かせている同い年の彼らと、当時の自分との対比と言ったら雲泥万里の如く。
私も、しょうもない自分の20代を少し反省してもよさそうなもんでしたが、ライブ後は前向きな気持ちと衝動だけが残りました。すぐに「リニア」以前の旧譜を大人買いし、自分ではアパレルの分野でビジネスを立ち上げ、それから向こう5年ぐらい暫く、「TITLE」、「Dear Deadman」、「Early Years」、「LOST WORLD’S ANTHOLOGY」、「Immortal」を人生のBGMにしていました。
アルバムひとつひとつの良さは説明不要なぐらい素晴らしいのでここでは割愛しますが、CDをよくよく聴いてみると歌詞もメロディももの凄く切ないんですね。人生って本質的には辛く悲しいものなんだな、なんて文学的なことを思っちゃう程に。
でも、テナーは音でそれを悲観的にさせないのです。理想を持って前向きに生きる限り、人生のあらゆる場面でそれをエモーショナルに彩り、時に漲るほどの生命力を与えてくれる曲がいっぱいある。

私はそれまで邦楽ロックをちゃんと聴いたことが無く、というより、そのシーンで何が起こっているかも知らなかったし、知る機会も無かった。つまり10代でそこの道を通っていないのです。
90年代半ば私は東京の高校生でした。都心では次々に新しいカルチャーが生まれていて、私の周りではクラブが流行っていました。ヒップホップやソウル系のブラックな音か、ハウス、テクノ等のダンスミュージックばかりで、ロックと言えばもっぱら洋楽。テレビから流れてくるJ-POPなんかは聞くもんじゃないと思っていました。
唯一邦楽でOKとしていたのは、当時のJ-WAVEで流れる初期の渋谷系か、深夜番組に出てるような面白くてオシャレな人達だけです。下北的なライブハウスで起こっていることはあまり都会的では無いと思っていて、ややマイナージャンルとして位置付けていました。私の同世代だと、そう思っていた人は少なくないと思います。
とはいえギターロックのサウンドは好きだったので、テナー幕張ワンマンに胸を打たれてからは、日本のロックフェスにも行ってみました。少し下の世代からの若い人達を中心に、沢山のオーディエンスが熱狂していました。
ロックフェスが盛り上がり始めたのは、私が社会人になった2000年代以降の話です。でも、じゃあ何でロックフェスが今こんなに盛り上がっているかって、それはもちろん、そのシーンをずっと作り上げてきたカッコいいバンドが存在し続けたからに違いなく、その一つがストレイテナーなんだと知りました。

自分が好きで聴く音楽って、だいたい5~10歳上の世代の人達がやっていることが多く、下の世代が熱狂してるってことは、上の世代がかっこよくあり続けたからという事ですよね。そのシーンで若い良いバンドが出てくるというのもまた、上の世代が夢を与えたという事に他ならない。
そうやってシーンを盛り上げ、邦楽ロックを聴く人が増え、幕張メッセや武道館なんて大きな会場のステージに立つまでの道のりを考えた時、それがどれだけのことだったのかと想像するだけで胸が熱くなりました。

私も30代半ば以降は、仕事で多忙を極め、ライブやフェス等の楽しみごとの場に行く機会が徐々に減っていました。ですが、ひょんな事がキッカケで、今年10年ぶりに自らストレイテナーのワンマンに行きました。しかも一人で。また何かを感じたい、そんな時期だったのかもしれません。
20年選手になるテナーのライブは圧倒的で、後光が差しているかのようでした(舞台照明の話ではない)。今回はトリビュートアルバム「PAUSE ~STRAIGHTENER Tribute Album~」を引っさげたツアーだったので、昔の曲もいっぱいやってくれました。一瞬にして当時の衝撃が蘇り、テナーを自分の人生BGMにしていた時期の記憶に重ね、年を取った今また改めて噛みしめると染みて染みて。
前よりもっと理解できたような気がするのは、きっと自分が経験と気持ちを複雑に積み重ねてきたからなのかな、彼らの音楽で奮起してあれから10年自分なりに必死に頑張ってきたからなのかな、なんて思ったり。

ロックンロールの精神なんて、ちっとも理解してない私ですが、ああ、これがこの人達の生き様なんだな、と思うと、もうどうしようもないぐらい様々な感情が堰を切ったように溢れ出して止まりませんでした。同世代の活躍は、憧れや崇拝というよりもむしろ「勇気をありがとう」の域なのです。

長く愛せるバンドって、世界中を見回してもそんなに無い。皆、解散か休止かしてしまう。自分の人生だって、何かに集中しなくてはいけない時期は必ずあり、音楽から離れてしまう事もある。自分がかつて、超絶カッコいい!と思ったバンドが、その10年後に、それを上回る気持ちにさせてくれるなんて、ほぼ奇跡に近いと思う。

ツアーファイナルを終え、もっとかっこいいバンドになれるようこれからも頑張ります、とボーカルのホリエアツシ(※敬称略)は言った。ストレイテナーがその生き様を貫く以上、私もその音楽に共鳴して自分の人生を頑張って生きるだろう。そうあり続けさえすれば、また10年後も必ず今以上に心震わせてくれるだろうし、それを感じられる自分でいるはずだ。

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