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2017年3月23日

SAKO (57歳)

「ロザーナ」、誰かではなく私たちであること

THE YELLOW MONKEY 最新曲「ロザーナ」。再集結の祭りから次のゲームへと進む

 昨年、再集結ツアーに1年間駆け抜け、ファン共々その感動、歓喜の祭りに酔いしれた。16年ぶりに彼ら4人のステージを目の当たりにした私は、心から「生きていて良かった」と思う年を過ごすことができた。
 
 再集結後、「ALRIGHT」、「砂の塔」と新曲を発表した彼らだが、どの曲もその時どきにまさにこの1曲という意味のある楽曲を見せつけた。「ALRIGHT」ではまさに復活と再生の喜び、それに至るまでの心情をこれぞイエモンといった曲調、アレンジで、文句のつけどころがない曲を披露した。「砂の塔」では、ドラマの主題歌といったある種、「ここでそれ?」感はあったが、これまた見事に自分たちの曲に仕上げ、ストリングスをお飾りのすることなく十分に飲み込んだ切れ味のいい曲となった。彼らがよく言っていた「なんでもやってみましょう」というテーマにもあてはまる新しいイエローモンキーを垣間見せる1曲だった。

 さて、祭りがひと段落した今年。少々のお休み期間もあったのかなかったのか。いつ出るかと思っていた新曲がついに出た!
 「ロザーナ」というタイトルから、「誰?」と突っ込みたくなるが、今までも、マリーさんやジャガーさんや色々な方が登場してきたので、あまりそこは気にしない方が良いのだろう。
 音源化はまだ先だが、ファンクラブサイトからの配信でフルバージョンを聴くことができる。お先に失礼。

 イントロから「??!」と驚く。らしくない。らしくないのだ。ピアノからのスタートは「ふんふん」という感じだが、右側から聴こえてくるエマのギターのリフ
! 「どっかで聴いたことあるよなないよな」でもイエローモンキーでは聴いたことがないようなリフなのだ。続いてアニーのドラムも今までのドラミングとどこか違う。それに乗っかるようなヒーセのベースは相変わらず飛び跳ねてはいるが、やはり明らかに今までと違う。キーボード(たぶん鶴ちゃん)に道をあけられ、ロビンのボーカルが始まる。

 ロビンは「砂の塔」の後、今度はアッパーな曲を作りたいと言っていた。確かにかなりアッパーな曲だ。だが、過去を振り返るのも何だけれど、「SPARK」、「PARL」とは明らかに異質な雰囲気。私はしばし、呆気にとられたままである。
 インストに入って、驚きは加速する。右からエマのリードギター、左からロビン(たぶん)のサイドギターが交差する!呼応するように、叫びあうように、絶妙に絡みあう。そこにヒーセのベースがまるでメロディーのように奏でる。アニーの軽妙なドラミングは曲のアッパー感をさらに疾風のごとくさらっていく。
 サビでは、ピアノがメロディーの美しさを引き立たせ、ここから謳われる言葉が本当に大切な言葉なのだと惹きつけていく。

 新曲なのだから、今までにない曲であることはもちろん。でも再集結後の2曲とは明らかに違う遺伝子が入り込んでいる。しかし、それに戸惑ったのは最初の1回目だけだった。聴けば聴くほど、「ロザーナ」は耳に心に食い込んで離れられなくなる。
そこからは永遠に続くヘビロテ。
 この明らかに違う遺伝子こそ、今のイエローモンキーなのだ。そしてそれは、唐突な変化ではなく、4人が集まればたとえ予想できなかったにしろ、それはイエローモンキーでしかない(あ、スーパーを付けても構わない)。あの、聴きなれなかったリフも今や気持ちよく、ギター2本での掛け合いは、新らしい「バラ色の日々」のアレンジを彷彿とさせる。アニーのドラミングには彼のすさまじいほどの成長の度合いを感じることができ、圧巻のヒーセのベースにはただただ脱帽。彼はボーカルが歌いきれないメロディーを奏でている。こういうベーシストはなかなか現れないのではないだろうか。
 そして、もう一つ驚いたのはロビンの声だ。年明けのライブで突然声が出なくなり、3週間くらい?貝の生活をしていたロビン。完治したとはいえ、少し心配していたが、その休息がのどに逆に良かったのか、声が本当に綺麗になっている!透き通るようなボーカルに驚かされた。

 本当に今回の新曲は驚かされるばかりである。もう50代を越えてきた彼らだが、まだまだ新しいものに挑戦し、しかし彼ららしさは失わず、前を向いて走りだしている。そこには経験値と熟練度はもちろん欠かせないけれど、「やってみよう」という気概がなければ、とうてい成しえない。4人そろえば怖いものなど何もない、そんな強固な意志とともに真剣に向かい合い作り上げた。「ロザーナ」はそんな曲だ。
 この曲を聴くときは、イヤホン、ヘッドホン(くれぐれも左右を間違えずに)で聴くか、ちゃんとしたステレオのスピーカーで聴いて欲しい。音楽好きなら当たり前のことだけど。念を押したいところなのだ。

 そろそろタイトルの話を。そう、この曲の歌詞だ。「ロザーナ」というくらいだから、誰かを想定しているのかと思いがちだが、ロビンの曲の多くは、「君」という歌詞も1人称とは限らない。「君」とはたいてい不特定多数の人のことをいうことが多い。私たちファンやメンバーも含めて。
 そしてロザーナも誰か一人を想定したものではない。

 「ドアを開けたら、見たような見たことない景色が、綺麗な色に塗りなおされて
  見えた」 (歌ネット)

 サビの歌詞である。私はこのサビを聴いたとき、あの代々木で幕が落ちた瞬間の光景を思い出さずにおれなかった。
 この歌詞にはこう続きがある。
 
 「君といられた長いようで短いこの季節を信じ続けた草木が揺れているよ」
  (同上)

 「君(ロザーナ)」はやはり、メンバーのあなたたちと私たちだったんだな。この二つの歌詞でそう確信できた。そう思うと胸が熱くなる。
 そして、彼らは最後にこう歌う。

 「走り出したら、次のゲームを始めよう ロザーナ ロザーナ」(同上)

 もうすでに彼らは次のステージに走り出している。この新曲がそれを体現しているのだ。2本のギターで、ベースで、ドラムで、キーボードで、アレンジで、声で、そして歌詞で。全てで彼らの今と今からを示している。

 最初聴いたときは、「ALRIGHT」の方が良かったな。とか思ったが、今はもうこの曲のトリコである。もしかしたら、一番好きかもとまで思えてくる。それくらいこの新曲には力がある。そう、「魂が歌って」いるのである。
 この曲を一日も早くライブで聴きたい。なりふり構わず踊りたい。ライブで盛り上がることは間違いない。

 曲のアウトロは、ド派手なエマのギターを中心に盛り上がり、やがてドラムとリフで静かに終わっていく。最後の音の余韻が完全に消えると、またリピートせずにいられなくなる。イエローモンキーの曲は中毒性があると良く言われるが、この曲はその最たるものだろう。

「凍りつくような悲しみ 溶けるほどの喜び
 迷い続けた答えはなんて言ったの?」   (同上)

 ーもう一生解散はしませんー

 昨年の祭りはほぼ終わったが、イエローモンキーは終わらない。彼らはまだまだ先を走っていく。私たちはついていく。どこまでも。
 「ロザーナ」を聴いて、私はその思いを一層強くした。
 
 今後も新録のアルバム発売、東京ドームライブなどが発表されているが、それ以外でも彼らは私たちを楽しませてくれるはずだ。それを今か今かと待つ日々である。
(実際、12月のライブは遠すぎる。。。)
 とはいえ、彼らとともに生きる人生がまた始まったのだ。あわてず(でもできれば早めに)、彼らの動向をチェックしていくこととしよう。

 「ロザーナ」はあなたを裏切りません。

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