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すべてを繋ぐ大事な曲

ET-KING「新恋愛」

2010年 横浜スタジアム。
1軍に昇格したばかりの選手が代打でコールされると、球場が沸きあがった。
98年の優勝に貢献し、長年チームを支えてきた立役者。佐伯貴弘。
2010年はほとんど2軍である「湘南シーレックス」だった。
応援歌のファンファーレ、一斉にメガホン、そして手があがる。
私はぞくぞくしてその光景を生で見て、手を伸ばし、声を上げていた。
ファンはずっと待っていたのだ。横浜スタジアムで、横浜ベイスターズのユニフォームを着た佐伯選手を。

佐伯選手の登場曲。
ET-KING「新恋愛」

ホンマお前が好きや 伝えたい愛をもっと
大事にするで 当たり前やろ お前がいれば そう強くなれる
ホンマお前が好きや 伝えたい愛をもっと
ずっと一緒や 当たり前やろ たった一人の お前やから

なんて素敵な曲なんだろうと思った。
関西弁で歌われるあたたかさと優しさ。
この歌には「愛」しかない。最高だ。

2010年のシーズンが終わると同時に、「湘南シーレックス」はなくなり、佐伯選手もチームを去ることが決定していた。
現役引退を決意しないこともあり、引退セレモニーの場も用意されてはいなかった。
佐伯選手に用意されていた球団最後の打席、舞台は横須賀スタジアム。
横須賀スタジアムも、湘南シーレックスのユニフォームも、佐伯選手には全く似合わないままだった。

翌日私は、当時のスタジアムDJだったケチャップ氏のブログを見た。
やはり佐伯選手のことがつづられてあり、私は涙をこらえながら読んでいた。
その中にあった「新恋愛」佐伯さんスペシャルバージョンの話。

ホンマお前が好きや 伝えたい愛をもっと
佐伯が打つで 当たり前やろ お前といれば そう強くなれる
ホンマ横浜好きや 届けたいライトスタンド
ずっと一緒や 当たり前やろ たった一人の お前やから

サビの部分がこう変えられ、流されていたということを、皮肉にも佐伯選手がいなくなった後に知ってしまった。
やっぱり「愛」しかなかった。最高だった。
「新恋愛」は、佐伯選手とファンを繋ぐ大事な曲だ。

2011年、東日本大震災。
プロ野球開幕を前に、私の住む仙台市は、風景が一変していた。
球界でも開幕していいのか、延期するのか、などさまざまな意見が飛び交っていた。
当然だ。誰も経験したことのない、大災害。
「壊滅的被害をうけた若林区荒浜と、Kスタは10キロしか離れていない」
そんなテレビの報道を、その中間地点に住む私は家でぼーっと観ていた。
「野球で元気になってもらいたいけど、果たしてそんなことをしている場合なのか」
みんなが悩んでいた。戸惑っていた。
私だってそう。元気になれる確信なんてなかった。

そしてプロ野球開幕の日。
試合が終わると同時に、メールが何通も届いた。
「吉村裕基と内藤雄太がお立ち台だよ!」
私たち家族は、この2人の選手を特に応援していた。
特に内藤選手は、この日サヨナラヒットだという。
事実だけで、目頭が熱くなった。
と同時に、横浜ベイスターズファンのみんなが連絡をくれたことが本当に嬉しかった。

後で聞いた話。
連絡をくれた友人たちは、安否以外、どんな内容でメールを送ったらいいだろうと気を遣ってくれていた。
「不謹慎」という言葉と、優しさ、不安が混在し、日本中が戸惑っていた。
あの時、誰がとったどの行動が正解かなんて今になっても誰にもわからない。
だけど、この嬉しさは共有しなきゃ!知らせなきゃ!っていうベイスターズファンのメールは、あの時確かに力をくれた。

そして、Youtubeで観たその場面。
サヨナラヒットでチームメイトが駆け寄っての祝福、内藤選手は頭をバシバシ叩かれていた。
チームに8年ぶりの開幕戦白星をもたらしたそのヒットは、キレイなヒットではなかったと言うけれど、私にとっては忘れられない大切なヒットになった。

内藤選手がバッターボックスに向かう時流れていたのは「新恋愛」だった。
やっぱり「愛」しかない。
「新恋愛」は、すべてを繋ぐ大事な曲だ。

あれから7年。
ET-KINGのいときんは昨年8月3日にステージ4の肺腺がんを公表し、ライブ活動を休止して治療に専念していたが、
昨年末、約4ヶ月ぶりのステージ復帰を果たした。
今年4月25日にはいときんも全曲のレコーディングに参加したアルバム「LIFE」のリリースも決定。
今後も治療を行いながら音楽活動は継続するとのこと。

昨年、ベイスターズはCSのファイナルステージを泥だらけになって這い上がり、日本シリーズで優勝を争った。
崖っぷちからの連勝。最下位ばかりだったチームが夢を見せてくれた。

NPBの東日本大震災復興支援スローガンを思い出した。
「がんばろう!日本」

がんばれない理由はどこにもない。
もうちょっとできるな、がんばれるな、私。

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