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新潟のスーパーヒーロー

五十嵐一輝さんの曲に出会って音楽療法を始めた

「五十嵐一輝さん」
 私が今の道に進むきっかけになった歌を歌っている新潟のボーカリストだ。
インディーズバンドが好きな人、ライブハウスが好きな人は「Up dripper」「午前四時、朝焼けにツキ」のVo.Gtだと言えば分かることが多いと思う。
 私がそのボーカリストに出会ったきっかけはYouTubeだった。“あなたへのオススメ”で自動再生された、新潟の若者たちのラジオ番組の録音。いつもならラジオは聞かずに次の曲に飛ばしてしまうが、その日は何故かそのまま流していた。この時に最後までこのラジオを聞いて本当に良かったと思う。もしタイムマシンで過去に戻れるなら、自分を褒め称えてあげたい。

 彼の曲に出会ったちょうどその時期、何もかもが上手く行っていなかった。どん底、というと大げさかもしれないがそのくらいの気持ちだった。家に帰るのはほぼ毎日、日付が変わってから。お風呂と数時間の睡眠をとるためだけに家に帰る。正直、まともに“人間らしい生活”を送れていなかった。
 少し特殊な職種で、常に人の問題を悩んで考えていた。必死に考えて行動しても結果が目に見えて出ることはほぼない。周りと自分を比べて、“他の人だったら違う結果になっていたのではないか”と毎日思った。命の終わりに携わることも多かった。
正直、疲れていた。もう頑張れないほどに。
 自分がやっていることに意味を見出せなくなって、どうしても苦しくて辛くて逃げ出してしまいたい時に、五十嵐さんの歌に出会った。「eye contact」という曲だった。
 

「君は言った僕に言った 今まで気づけなかった幸せの見つけ方をあなたに教わったって」
「君は言った僕に言った 今とても幸せだよって 嘘みたいに 君は笑ってた」
 

 聞いた瞬間に衝撃を受けた。悲しい歌だった。でも、とても優しい歌だった。「大切な人がいなくなってしまった後に自分ならこう思うだろうと思って書いた曲だ」と言っていた。
 
 私はいつの間にか、人に対して“何かをしてあげなくてはいけない”と思っていて、“何かを与える”ことが必要だと思っていた。自分の考えを押し付けて、人の心に目を向けることを忘れていた。この曲を聞いて、改めて気付かされた。
 大切な人がいなくなることは悲しいことだけど、その人も自分も最後に“幸せだった”と思えることが何よりも大切だ、とも思った。“命”の身近にいたはずなのに、目先のことに追われて大切なことを忘れていた。いつも悲しむだけで、何も努力してなかった。何も分かろうとしてなかった。自分が辛いから逃げ出そうとさえしていた。そこにある現実は何も変わらないのに。

 結果が変わらないとしても、せめて後悔しないように人に接していこうと思った。「もう一度頑張ってみよう」そう思えるようにもなった。曲を聞く前と聞いた後で心境の変化があったのは明らかだった。

 昔上手く弾けなくて、もう二度とギターを触るつもりもなかったが、曲を聞いて、その日のうちに県外の実家にギターを取りに帰った。彼が作った曲をどうしても弾きたかった。ほぼ初心者で全く弾けなかったが、彼がカバーしていた曲と同じ曲のカバーを練習したりして満足していた。気持ち悪いかもしれないが、彼がステージで使っていた青いレスポールに憧れて、青色のエレアコも新しく買った。自分なりの決意だった。

 そんな自己満足な練習を続けている中、自分が活動をしている場所で“音楽療法をやらないか”と声をかけられた。「やらせてください」悩む暇も無く、自分でも驚くほど即答していた。純粋に“やりたい”と思った。

 “音楽に救われた”という言葉は本当によく聞く。音楽好きなら一度は言ったことがあるだろうと思う。“音楽は何も問題を解決してくれない”これも同じくらいよく聞く。でも私は間違いなく五十嵐一輝という人が作った「eye contact」という曲に出会って救われていた。

 私が彼の曲を聞いて救われたように、私も音楽を通して、音楽療法を通して、人のためになりたいと思った。人のためになりたい、といったら善人のようだ。ただ、“自分を救ってくれた音楽に携わっていたかった”、“その人達が抱えていることも音楽なら何か力になれるかもしれないと思った”のほうが本音かもしれない。
 私自身が音楽に救われた経験をしているからこそ、数ある心理療法の中で“音楽療法”をするという選択が出来たんだろうと思う。そして、そのきっかけをくれたのは、五十嵐さんが作った歌だった。あの日聞いた「eye contact」という曲だった。私は今も自分が何をやっているか分からなくて悩んでしまいそうな時は、彼の作った曲を聞いている。
 今度、音楽療法で「eye contact」を弾こうと思う。自分が救われた、大好きな曲を自分の手で演奏できることが本当に嬉しく思う。本当に夢みたいな話だ。

 書いているうちに盛大なラブレターのようになってしまった。でもそれもあながち間違いではないように思う。私は五十嵐一輝という人の作る曲が本当に大好きだ。
 彼の作った音楽や彼が歌うことが、たくさんの人を救ってきたことを目にしてきた。音楽療法の中でも五十嵐さんの曲に救われたことは数え切れないほどある。
 私を含め色んな人が救われてきた彼の曲が、もっともっと多くの人に届けばいいのにな、と思う。でも何より、楽しんで歌を歌っていて欲しい。1人のファンとして本当にそう思う。

 今度、彼の新しいバンド「シルエ」が初ライブを行う。前のバンドの解散で色んな意見を持つ人がいるが、私は“彼が選んだ音楽”を、“自分を救ってくれた曲を書いた人の音楽”を信じて、これからも応援していくんだろうと思う。
 心から、五十嵐一輝さんの作った曲に出会えてよかった。

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