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共に生きてくれるストレイテナー

不透明な時間に寄り添って

「この音楽が救ってくれた」
「いつもこの曲を聴くと元気が出た」

よくある文句。私はいつもピンとこない。

たしかにずっと昔から、音楽は好きだった。
音楽を聴けば、気持ちが盛り上がる。逆にリラックスすることもできる。

でも音楽は私を助けてくれない。
音楽を聴いても、現状は何一つ変わってくれない。

音楽を聴いて救われた、なんて、ただの気の間違いで、安っぽい言葉だ。辛い場面に立ち向かわなければならないのは、いつも私。ひとりぼっち。

昔から私はどこか捻くれていた。
だからこそ音楽に対して、ずっとこんな風にしか思えなかったのだろう。

大好きな音楽も、大好きな友達も、大好きな家族でさえも、辛い時に優しい言葉をかけてくれても、ずっと孤独を感じていた。

そんな私にも一端に、大好きだと思えるロックバンドがいた。

“ストレイテナー”

気づけば長い付き合いになっていたストレイテナー。
出会いはいつかのフェス。
観たいバンドもないなぁ、なんて思っていたとき、「名前だけは聞いたことあるぞ」と思い、なんとなしに観にいった。

「これがロックバンド」

思わず呟いてしまう程の衝撃だった。
はじめから終わりまで、一部始終”かっこいい…!”と思わせる魅力。
そこからは転がる岩のように、どんどん突き進みのめり込んでいった。

CDを買い漁り、アルバイトでお金を貯めて、行けるライブにはとことん行った。
通学中も、家に居る時も、その時の気分で色んな曲を聴いた。
気分を上げたい時はかっこいい曲、落ち着きたい時はバラード。
私を色んな気持ちにしてくれた。

それでもやっぱり、”音楽に救われる”意味は私には分からなかった。

高校、大学と卒業し、無事に就職することができた。
月日が経っても、ストレイテナーへの熱意は変わらなかった。

この頃、私は新生活に向け引越しをした。

実は昔から、私は祖父と折り合いが悪いかった。
逃げるように一人暮らしをしたが、実際に少し距離をとってみると、わだかまりなんてどうでも良くなり、気づけば普通の家族になっていた。

「これから空いた穴を埋めるように、おじいちゃん孝行しよう」

そう心に決めて数年後、祖父は亡くなった。

「今までの穴は果たしてどの程度埋まったのだろう」

「私という最低な孫をどう思っていたのだろう」

後悔の想いと、現実を受け止められない気持ちが、私を支配していた。
辛く悲しい気持ちしかなかったはずなのに、何故だか涙は出なかった。

訃報を両親から貰った深夜、眠れない私は音楽をかけた。
無意識だった。

“LINEAR”

落ち着きたい時に聴く、大好きなアルバムの一つだった。
何度も聴いた、あのイントロが流れてくる。

『信じなくていいよ そんな悲しいニュースを』

聴き馴染みのあるはずの、あのフレーズが聴こえてくる。

“LINEAR”のトップバッターである、
“CLARITY”

優しく、全てを許してくれるような、声、メロディー、リズム。

「信じなくていいよね、まだ信じられないよ。いつか訪れると分かっていたけど、今の私には辛すぎる」

そう思い、私は、たくさん泣いた。

そのまま”CLARITY”を聴きながら私は眠りについた。

翌朝、私は実家までの帰路に向かっていた。

まだまだ受け止められなかった。まだ信じられなかった。
でも、きっと時間が解決してくれる。
同じ悲しみを持った家族や、大好きな友達が支えてくれる。
そうしてきっと、土に還るように、自然に受け止めていくんだ。

ああ、ストレイテナーがいてくれて良かったな。
ストレイテナーの音楽は、私と辛い時間を共に過ごしてくれた。

そう思った。音楽が私を支えてくれたのだった。

“CLARITY”は私にとって、辛く苦しいときを励ましてくれたのではなく、一緒に過ごしてくれた大切な歌だ。

『信じなくていいよ』、そのフレーズが、私を救ってくれた。

ストレイテナーのすべての曲が、

優しさに溢れる声が、全てを包むようなギターが、支えてくれるベースが、背中を叩いてくれるようなドラムが、

まるで隣に居てくれているようだった。

それからは、悲しいことがあったときはいつもストレイテナーの音楽を聴いてきた。
悲しいときだけではない。嬉しいとき、楽しいとき、苦しいとき、悔しいとき。
ストレイテナーは悲しい人に、孤独な人に、全ての人に寄り添ってくれる。
そして、「本当は一人じゃないんだよ」と、教えてくれるような気がする。

音楽だけじゃない。
家族、友達、様々な人がついてる。
たまには弱音を吐くのも良いのだろう。

音楽は私を救ってくれる。

私に関わる様々な人、音、思い出。
支えてくれるものはたくさんある。

さて、今日は何を聴いて寝ようか。
1日の終わりに、私の今日のこの気持ちに、どの曲に寄り添ってもらおうか。

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