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KEIJU as YOUNG JUJU、現代都市生活の“孤独”

最新作「Right Now feat. KEIJU & YZERR」を踏まえて考察

 <I know, I know, you don’t wanna be alone>………現代の都市生活は、便利で、満たされていて、そしてどこか孤独だ。

 DJ CHARI & DJ TATSUKIが、ヒップホップクルー・KANDYTOWNよりKEIJU as YOUNG JUJU、BAD HOPよりYZERRを迎えてリリースした新曲「Right Now」。同曲は、今年1月に<ソニー・ミュージックレーベルズ>とのメジャーディールを締結したKEIJUにとって、貴重な一作となった。これは、同曲がメジャーアーティストとして参加した第1作だからという陳腐な理由ではなく、彼が2017年に築き上げたひとつの“都市論”が、そこに内包されているからだ。

 KEIJU(当時の名義はYOUNG JUJU)は、昨年5月にtofubeatsが発売したアルバム『FANTASY CLUB』にて、収録曲「LONELY NIGHTS」に客演参加。同曲は、昨年リリースされた国内ヒップホップにおいてアンセムと評され、瞬く間にYOUNG JUJUの名を世に広める契機となった。『FANTASY CLUB』は、この時代における「分からなさ」をストレートに表すことをテーマとした、自己内省的でパーソナルな作品だ。そんな同アルバムの制作時、tofubeatsは若手ラッパーを客演に迎えた楽曲を設ける意向を示し、彼と同じく<ワーナーミュージック・ジャパン>に所属、当時クルーの名前を冠したメジャー1stアルバムをリリースしていたKANDYTOWNの一作品と出会う。これが、同アルバム『KANDYTOWN』には収録されず、彼らのフリーライブにて後に配布となった「Song in Blue Remix」だ。同リミックス曲に参加したYOUNG JUJUは、自身のヴァースでオートチューンを使用し、凛とした歌とフロウの狭間を漂うような声に、tofubeatsを含む多くのリスナーが魅了された。これが決め手となり、tofubeatsはYOUNG JUJUを自身の作品へと招待したという。また、同曲のリリックに目を向けると、<やりたい放題 君はもういない>や<あの時 俺はなぜ let you go>など、恋人との別れが歌われており、歌い手の“孤独”な姿が思い描かれる。

 そして「LONELY NIGHTS」でも、YOUNG JUJUはオートチューンを用い、憂いもありつつ、とてもエモーショナルなヴァースを披露。冒頭で紹介した<I know, I know, you don’t wanna be alone, yeah>というリリックのように、『FANTASY CLUB』の世界観に寄り添い、満たされながらもどこか“孤独”を感じる、都市生活で微かに感じる寂しさを歌った。スマートフォンで世界中の誰とでも繋がれる現代でも、やはり一人の時間はやってくるのだ。

 さらに「Right Now」には、KEIJU as YOUNG JUJUとして客演参加。BAD HOPにおいて作品のディレクションを担当し、「Ocean View」や「Life Style」などで見事なまでにオートチューンを使いこなしたYZERRとともに、作品に華を添えている。同曲では、KANDYTOWNの作品では多く見ないオートチューンを使用することで、ソロアーティストとしてのオリジナリティを確立し、同時にメロディを歌うこともできるシンガーとしてのポテンシャルも感じられた。そんな「Right Now」のリリックは、別れ際の恋人への想いが<訳もなくまた I miss you>などのリリックでストレートに歌われており、フックでは<Baby, I don’t wanna be alone>とも歌唱。オートチューンの使用を始め、「LONELY NIGHTS」では<you>(=君)だった主語が、<I>(=俺)に置き換わっており、同曲へのアンサーソングとも受け取れる。まさに現代を生きる若者(=シティボーイ)であるKEIJUが、“孤独”になることへの不安を歌うからこそ、このテーマがよりリアルなものとして響くのだろう。現代の都市生活を考える上で、“孤独”という要素は切っても切れないのだと、tofubeatsやKEIJUは音楽を通して伝えているのかもしれない。

 そんなKEIJUは、1月28日に初の主催イベント『KEIJU as YOUNG JUJU Presents”7 Seconds”Supported by PIGALLE』を開催し、今後はメジャーシングルをリリースするとのこと。tofubeatsも、TVドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』(テレビ東京)に主題歌「ふめつのこころ」を書き下ろしたほか、同ドラマの劇伴も担当。今後さらに活躍の場を広げるであろう2人が、2018年には何を歌うのか。そこには、今を生きる上でのアンサーとなる鍵が隠されているのかもしれない。

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