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布団の中に広がる自由

BUMP OF CHICKENの「ディアマン」に共感して

高校に入り、寮生活をすることになった。
一つ上の先輩と同じ部屋。
「先輩」。この事実を何の疑問も持たず、ただ単純に受け入れていた。しかし、いざ寮生活が始まるとその本当のきつさを思い知らされた。

学校が社会の縮図というならば、寮はいわばそれをまた縮めたものに違いない。
部屋の掃除、ゴミ捨て、そういったものはすべて率先して行なわなければならない。先輩がベッドに入ったら、わたしも課題をほっぽりだして机からはなれ、電気を消して床についた。朝のアラームは一音目で止めた。

もともと集団行動や規則正しい生活が苦手であったわたしは、こんな生活に身も心もすり減らされた。

そんなときによく、ベッドの中でBUMP OF CHICKENの曲を聴いた。

実を言うと、それまではあまりBUMP OF CHICKENの音楽を熱心に聴いてはいなかったし、なぜこの時期から取り憑かれたように聴きはじめたのか、未だにわからない。だが、この頃のわたしは貪るように彼らの曲を聴いていた。

なかでも「ディアマン」にはとても思い入れがある。

この曲と出会うまで、わたしはテレビや雑誌でミュージシャンが取り上げられる際に、「共感できる歌詞が魅力!」などとコメントするファンを見て鼻で笑ってきた。「どこがだよ、こんなドラマチックな出来事ってある?」とか思っていた。
でもこの曲を聴いたときにはじめてわかった。
初めて感情にぴったりと沿う曲を見つけた気がした。
 

〜布団被ってイヤホン ラジオなかなかのボリュームで キラキラした音が 体を走り回った 
大好きなシンガー なんで好きなのか解らない
目を閉じれば すぐ側にいた 確かに〜
 

はじめてこの曲を聴き涙が溢れた。そうなのだ。まさに。わたしは寝ている先輩の横で布団を頭まで被り、大音量でバンプを聴いている。泣いた。声を殺して泣いた。ゆっくりと鼻をすすった。溜まっているものが出ていく感覚があった。

それから毎晩この曲を聴いた。先輩が寝静まった夜中に一人、布団を頭まで被って聴いた。

つらいことが多くあった。朝は逃げるように登校していた。でも、この曲のおかげで少しの間、厳しい寮での暮らしを忘れ自由になることができた。この曲に出てくる少年に自分自身を重ね合わせた。

藤原さんがどんな思いでこの曲をつくったのかは知らない。だけど、こんな形でわたしを助けてくれた。

BUMP OF CHICKENの曲はヘトヘトになったわたしを一生懸命励ますわけでもなく、無理やり元気づけて背中を押すわけでもなく、ただそっと寄り添ってくれる。そんな音楽だと思う。

春から大学生になる。
上京し、夢の一人暮らしがはじまる。
先輩がいなくなってからこの曲を聴くことは減ったが、また四月からお世話になりそうだ。
 

〜その声とこの耳だけ たった今世界に二人だけ
まぶたの向こう側なんか 置いてけぼりにして〜
 
 

これからも側にいてください。

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