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永遠のロックヒーローと、10年間。

NICO Touches the Wallsと私と音楽と。

16歳、私は視野が狭かった。
人見知りで引っ込み思案で、思っていることも全部飲み込んで、息苦しい毎日を送っていた。
音楽はそれなりに好きだった。
だけど「みんなが聴いてるから」という理由で聴いていることが多く、心にはあまり響いていなかった。もっともらしい感想だけ言って、友人に不快感を与えないように。
「好きなものは好き」だなんて到底言えなかった。
馬鹿にされるかも、引かれちゃうかも。そんなことを考えていたから。
 

元々飽き性な性格なため、音楽もいつか飽きてしまうんだろうと思っていた。あの瞬間までは。
 

2008年の秋、私は当時好きだったアーティストの新譜を買うために、CDショップに足を運んだ。
目新しいCDが沢山並んでいたけれど、お目当てのCDだけを持ってレジに向かおうとした。

「このバンドすごく良いんだよ!かっこいいよ!」
知らない人が一緒にいる人にそう言いながら私の近くを通り過ぎた。
 

その人が指さした先には
NICO Touches the Wallsの”Who are you?”というアルバムが並べられていた。
いつもなら見向きもせずにレジに向かうだろう。
だけどこの日だけは違った。

“そんなに良いんだ。ちょっと聴いてみようかな?”
気軽な気持ちで試聴機のボタンを押した。

«壊せない 僕らの勝利(Broken Youth)»

ヘッドホンから流れてきたその音楽に、一瞬で心を奪われた。身体中に電流が流れる、とはこういう事なのか。頭の上に雷が落ちたかのような衝動に駆られたことを今でもはっきりと覚えている。
ひと目惚れ?いや、ひと聴きぼれだ。
世界が変わる音がした。それまで霞んでいた視界が一気に広がった。
私は買う予定だったCDを棚に戻し、”Who are you?”を持ってレジへ向かった。
 

家に帰ってCDコンポの再生ボタンを押した。
“Broken Youth”、”B.C.G”、”THE BUNGY”などギターラインのかっこいい曲が私の心をかき乱した。
大人しめの曲しか聴いていなかった私には新鮮な音だった。だからこそ、ワクワクした。
ライブに行きたいと思った。でもライブハウスに行ったことがないから怖い、1人では行けない、でも友人を誘う勇気もない。今思えばくだらない理由や、タイミングの問題ですぐに行くことはできなかった。

私がはじめてNICO Touches the Wallsのライブを見たのは福岡の夏フェス「HIGHER GROUND2012」(※現:NUMBER SHOT)だった。他にも好きなバンドが多数出演することや、その年、就活活動をしていたこともあり、ツアーには行けないかもしれない、これが最後のチャンスだ!と思い行くことに決めた。
この日はとても天気が良く、炎天下だった。
NICOの時間になると更に日差しが強くなり、
ステージに出てきた光村さんが開口一番、「出てきた瞬間に日差しが強くなってきた‥‥」と苦笑いしながらそう漏らしていた。
目の前で大好きなロックバンドが音を鳴らしている。一緒に行ってくれた母親そっちのけで1人で勝手にはしゃいだ。
その後から、上手くいかなかった事がいい方へ動き出した。結果、その年の秋ツアー(TOUR2012″ALGORHYTMIQUE”@Zepp fukuoka)に行くことも出来た。
アンコールの一番最後に「最後に1曲、聴いてくれますか?」といったあとに一番好きな曲が聴けた時は声を殺して泣いた。ステージは涙で滲んで見えなかった。

その後、社会人として働き出した頃から日々の忙しさから音楽に触れる機会は少なくなっていった。
もう音楽がなくても大丈夫だとすら思っていた。
だが、元気はいつまでも続く訳ではない。
昔からの性格が災いし、職場の人との人間関係の壁にぶち当たった。おまけに仕事は上手くできずに自己嫌悪の日々が続く。眠れない夜を何度も数えた。何もないのに勝手に涙が出てくる。
弱音なんて吐きたくないから精一杯強がってみせて、言いたいことも溜め込んで。積み重なった強がりが心も身体も壊した。
深い海で溺れてしまった。私だけは大丈夫。どこかでそう思っていた。弱い自分なんて、見ないふりをして、さらに強がって。

とある日、久しぶりにウォークマンの再生ボタンを押した。
 

«わかってるんだろう?どんな答えも 僕が出していくこと/気づいてるんだろう?どんな弱音も 僕の声だ(MR.ECHO)»
 

イヤホンの向こう側から聴こえてきた言葉が突き刺さる。

NICOが歌う曲の中には”葛藤”や”苦しみ”や”悩み”が数多くある。彼らの歌う”葛藤”はときに私の心の奥底を鋭利なナイフで突き刺してくる。
鋭利な曲がったナイフで、触れたくない心の内側をこじ開ける。勝手に傷ついて、勝手に泣いて。
だけどNICOの音楽には”立ち向かっていく強さ”もある。
強がっていたって、所詮私は立ち向かう勇気もないただの弱い人間だということに気付かされた。
 

弱音吐いていいんだ。違う選択肢を探してもいいんだ。
もう弱い自分を見て見ぬふりするのはやめよう。
 

ひとしきり泣いて、心のもやもやが晴れた頃、「ああ、やっぱり音楽っていいものだ。NICOの音楽、好きだ。」というシンプルな感情だけが残った。好きなものは好きでいたいと強く思った。
 

2016年、転職し、少し落ち着いた日々を過ごしていた。私は、約4年ぶりにNICOのライブへと足を運んだ。”ニコタッチズザウォールズ ノ フェスト’16″(@Zepp Nagoya)だ。この日をどれだけ待ち望んでいただろうか。この日の対バン相手は、NICOと同じくらいの時期に知って以来、大好きなバンドだ。多少遠くても行かない理由などなかった。ようやくあの夢にまで見た「好きなバンド同士の対バンが叶うのだ」と心が踊った。前日は遠足が楽しみすぎる子どものように寝れなかった。
あの日のアンコールでやった”THE BUNGY”のコラボレーションは二度と忘れないだろう。
 
 
 

私にとっての音楽は、日常に寄り添ってくれるほんの少しのおまじないみたいなものだ。

思えば高校生からの10年間、私にとって何かの「転機」になるとき、必ずNICOの音楽がそばにいた。進学する時、就職を決めた時、転職を決意した時。
ときに手を差し伸べくれるし、突き放される時もある。でも時に背中を大きく押してくれる。光を差してくれる。
 

私にとってNICO Touches the Wallsは永遠のヒーローだ。きっとこれからも。
 
 
 
 

«息をしてみて ただの幸せに気付いたら もう二度と溺れないよ(Diver)»
 

大丈夫だ。私はきっともう溺れない。
「好きなものは好き!」と言えるようになった。
自分で最善の選択も出来るようになった。
 
 

2017年
TOUR2017 “Fighting NICO”の佐賀GEILS公演。
47都道府県制覇の日に彼らはこう言った。

「好きな事でも、なんでもいい。何かを全力で続けていれば、いつかこんな景色が見られるから 。」
 
 

私もなにかに全力で取り組んでみたい。
好きなものだけじゃなく、今目の前にある夢を。
 

大切な何かに気付かせてくれるのは、紛れもなく
唯一無二のヒーローであり、大好きなロックバンドだ。

“出会えてよかった”なんて、薄っぺらく聞こえるから好きではないけれど、あえて言わせて欲しい。
 

NICO Touches the Wallsに出会えてよかった。
本当によかった。ありがとう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

あれからもうすぐ10年になる。
私は、音楽が大好きだ。

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