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前衛を懐古する

cinema staffの物語

「物語は砂漠から海へ」

2011年に発売されたセルフタイトルアルバム『cinema staff』。
このアルバムの答えを見た気がした。

前衛懐古主義は、これまでに出たアルバムの中から限定したアルバムの曲のみを演奏するライブである。
part2である今回は『into the green』『SALVAGE YOU』『cinema staff』の三枚のアルバムから演奏された。
今回のライブにおいて主軸を担っていたのはセルフタイトル『cinema staff』の曲たちだっただろう。他の二枚に比べて曲数が多いというのも勿論原因の一つだが、このアルバムの癖の強さも大きな要因だったように思われる。難解だがポップなメロディー、フィクション性が一際強い歌詞の曲が集まったこのアルバムは、以前からファンから名盤と呼ばれていた。
しかしそれは現在のファンから見た印象である。本人たちは当時を振り返り、「発売当時このアルバムのツアーをやってもこんなに人は集まらなかった」と、ややネガティブな思い出を語っていた。個性が強すぎてすぐには受け入れられ難かったのも確かだろう。

そんな『cinema staff』の曲たちだが、ライブであまり演奏されない曲が多数収録されていたこともあり、今回でその魅力を再確認することとなった。
印象的なギターリフの『You Equal Me』、ベース三島のシャウトが光る『super throw』、独特なドラムパターンが癖になる『cockpit』、ボーカル飯田の伸びやかな歌声が映える『skeleton』。
また、『cinema staff』の初回特典だった『Seattle meets realism』も披露された。現在は入手困難であり、ライブでしか聞くことができないので貴重な機会となった。

本編最後の『海について』の直前に三島から発されたのが冒頭の言葉である。
今回のライブの1曲目であり、『cinema staff』の1曲目でもあった『白い砂漠のマーチ』。
そして『cinema staff』の最後の曲でもある『海について』。我々はずっとこのアルバムの物語の中にいた。
この曲を聞く度に思い出す景色がある。JAPAN JAM BEACH2016の時に見た『海について』だ。海に焦がれた彼らが、海に向かって演奏する姿。広い海原に響くハーモニカの音。聞きながら私はあの日の海に引き戻された気がした。
今日はライブハウスだが、この曲が演奏される時、いつだってそこは海となる。

セルフタイトルアルバム『cinema staff』の曲について特筆してきたが、今回のライブでは『into the green』『SALVAGE YOU』の曲も勿論演奏された。だがそれらはあくまで『cinema staff』の物語の中に組み込まれていたように聞こえた。
『cinema staff』の世界観を拡大化し、彼らの歴史を詰め込むことで、[cinema staff]というバンドの在り方を見せつけていた。

アンコールで披露されたのは最新曲『HYPER CHANT』。
FC岐阜のオフィシャルサポートソングとして描かれ、サッカースタジアムやライブハウスでみんなに歌ってもらえることを意識された曲である。

〈駆け上がる、深い緑の上 その足を回し続けて
あの日から未だ誇り高く 俺たちは旗を掲げ続ける〉
『HYPER CHANT』

爽やかでありながら、これまでのcinema staffのサウンドと繋がっている勢いの良さ。

本編のMCで飯田は「また会いたいと思って歌う」と話していた。
彼らはきっとこれからもcinema staffの歴史を刻み続ける。
この先のcinema staffに私はまた会いたい。

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