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当たり前、を見つめる

RADWIMPSと愛と生

〈今まで僕がついた嘘と 今まで僕が言ったホント/どっちが多いか怪しくなって 探すのやめた〉

RADWIMPSの『有心論』。帰り道にこの曲を聴くと、ミュージックビデオさながら、思わず一歩一歩踏みしめるようにして、じっくり時間をかけて歩いてしまう。この曲のトーンが、今抱えている悩みとか、直面する問題とか、そういうことに向き合うために必要な気分と同調する。私にとって大切な時間。
 

服は自由だからこそ悩む。発車の5分前に駅に着く。月曜の1限目は眠い。バイトは、あるとダルいのに無いと物足りない。

私が大学生になって経験した事。これらが日常になって、もうすぐ一年が経つ。

私は、そもそも大学に通える環境になかった。父には反対されたし、家計が厳しいことも知っていた。
それゆえに、通い始めた頃は感謝の気持ちより、後ろめたさの方が大きかった。ところが、時が進むにつれ、気が付けば“大学生の私”が当たり前になっていた。

私の中で、“特別”のフィルターの目は粗くて、通り抜けたものが日常に散らばっている。
しかも、 そこに散らばったものこそが自分で作り出した“当たり前”なのだ、というその事実になかなか気がつけない。

だけど、失って初めて“寂しい”とか“悲しい”という感情が、それを教えてくれる。時に、教えてくれる、なんてやさしいものではない。柔らかいところに深く突き刺さって、痛みを伴うことで知る。

そんな中でRADWIMPSの音楽は、失う前に、また、寂しいや悲しいとは別の感情と一緒に、“当たり前”になったあれこれに気づかせてくれる。

〈普通に生きて 普通に死ぬ それだけすごいことを普通にする〉『ヒキコモリロリン』

〈今日が これからの人生の 始まりの一日目なんだよ/昨日が今までの人生の 一番最後の日だったんだよ〉『叫べ』

〈ゼロで生まれた僕なのに 今名前を呼ぶ人がいて/当たり前などない脳に 産み落としてくれて ありがとう〉『‘I’Novel』

聴いた時、思わずドキッとした。確かに、「生き」ることも「死ぬ」ことも、あまりにも「普通」になりすぎている。これから先、同じ「今日」が帰ってくることはない。当然のように自分の「名前」を名乗って、呼ばれたら振り向いていた。
その全部、これまで気にも留めなかった。それらを曲の中にそっと織り込んで教えてくれる。

にも関わらず、生活に滞りがなければないほど、せっかく教わったことを忘れてしまう。そんな自分が情けない。
 

先日、いつもは明るい大切な人が悲しむ姿を見て、思わずうろたえてしまった。

〈今日で人を愛せるのは人生最後だって思って生きれたら きっと優しくなれるから/一生分毎日愛せるから〉『ヒキコモリロリン』

思い返してみれば、私はあなたに「明るくて素敵ね」なんて言ったことがないんだ。

あなたと話せることも、新しい約束を交わせることも、明日があることも、そのどれもに終わりがあるって思えたなら、きっと“当たり前”に甘えないでいられるのかも。

作詞作曲を担当する野田洋次郎。彼はライブのMCなどで、よく言っている。
「好きな人には好きってちゃんと伝えてください」と。

初めてこの言葉を聞いた時は、キザな人なのかな?って思った。けれど、どうやらそういうことではなさそうだ。

多分、「一生分毎日愛せる」人になるための方法を教えてくれているのだろう。

私は今のところ生き続けて19年だ。この期間にも数えきれないほど見過ごしてしまった“当たり前”。大学生の私、という現在進行形の“当たり前”を、失う前に気づかせてもらった私は幸せだ。
 

だから、まずは伝えたい。

たくさんの当たり前に気づかせてくれてありがとう。
生きること、愛すること、教えてくれてありがとう。

大好きです、RADWIMPS。

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