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スピッツを好きになった訳

23年前に知ったスピッツというバンドが、今になって心に入ってきた理由

きっかけは、フットネイルのデザインを新しくしようと思った事だった。
 

2月末、私の住む地域ではもう春の足音が聞こえてくる頃。そろそろフットネイルのデザインを替えよう、とスマホを開いてみるも、コレというものがなく、自分のイメージからデザインを作り上げる事にした。
春だから、淡いピンクと新緑の色、それにグレー…なんて色味を考えている時にふと浮かんだのが、スピッツの「春の歌」だった。

23年前に大ヒットしたロビンソンで彼らを知り、そこから何となく私の青春の一部として存在していたバンド。周りにはスピッツファンもいたし、その子の影響でハチミツやインディゴ地平線を聴いたこともある。
でも私の中ではあくまで、スピッツは「青春の1ページ」であり、あの時代-90年代後半を駆け抜けた他のアーティストと同じ立ち位置だった。

そんな青春の影を感じるバンドの、その後の歌のうちの1曲として、春の歌はなんとなく知っていた。
どうして自分の中にその歌が浮かんだのかは分からないけれど、私がイメージするネイルのデザインと合ってそうだなと思い、実際ネイルをしながら春の歌を聴いてみた。私のイメージが膨らむように、最初から最後まで初めてちゃんと春の歌を聴いた。

正直、ネイルに集中しているので歌詞の意味まで考える余裕はなかった。
むしろ歌詞よりも、メロディーや、テンポや、ボーカル草野マサムネの声が合わさって、ひとつのイメージとして心の中に入ってきた。
「こうで、こうなったから、こうです」みたいな入り方をしてこない。理屈じゃなくて、大きなひとつの集合体。色。質感。空気感。それらが私の欲するイメージと合致して、あっという間にスピッツの世界へと惹き込まれた。

その日から私は、某動画サイトで彼らの曲を聴いた。いや、聴きまくった。
スピッツの音楽を聴けば聴くほど、私の中に入ってくるものは、「イメージ」だった。赤、青、水色、灰色、オレンジ色、暑い、寒い、生温い、涼しい、澄んでいる、澱んでいる、柔らかい、硬い、ベタベタ、サラサラ…それらのイメージが私の想いの一部とリンクして、心を温めた。
思考を押し付けない、聴き手の自由を尊重するような楽曲の数々に、私の心は癒され、揺さぶられ、魅了された。
数日後には、今までの人生で1回しか買ったことのないCDというものを、何のためらいもなく買った。
届いたCDを毎日聴き、つい1か月前まで全く聴くことのなかったスピッツが、今は私の生活の一部になりつつある。
 

それにしても不思議なものである。スピッツの曲はあの頃何度も何曲も耳にして、特に嫌いなわけでもなく、それでもハマることはなかったのに、どうして今になって魅了されたのだろう。

そんな事を考えた時、あるアーティストの事を思いだした。
そのアーティストの事は、10代の頃からずっと大好きだった。大人になって音楽自体にさして興味がなくなっても、そのアーティストの曲だけは聴き続けていた。でもここ数ヶ月、私はそのアーティストの曲を聴いていない。というか、聴きたいと思わなくなった。嫌いになったわけじゃなく、どちらかというと「肌に合わない」といった表現がピッタリだ。
そして肌に合わない理由は、多分、その人の曲に「押し付けがましさ」を感じてしまったのだろう。ちょっと前まではそのメッセージ性やドラマティックな楽曲に支えられ、励まされ、元気をもらっていた。
でも今の私には、肌に合わない。

私が、大きく変わったのだ。

その時期も思い当たる。
昔から人目を気にしてきた私が、そんな私を卒業しようと心の深くから感じた時期が、ちょうど数ヶ月前。その時期以降、私は「頑張る」とか「憧れの自分になる」とかそういうものを、意識的に避けるようになった。
自分が好きなものを、楽しいと思う事を、穏やかでいられる場所を、好きな食べ物を、ラクする術を、周りの目を気にして抑えていたあれこれを取り戻すように、欲するようになった。

そうしてその先に自分の必要とする音楽が、スピッツだったのだ。

そう考えると、今のタイミングで再びスピッツの楽曲に出会えた自分は幸せだなと思う。今の私の肌に合う音楽と出会えて、とても心強い。私の心境の変化を静かに肯定してくれるようで、とてもありがたい。
せっかくこうして出会えたのだから、これからも私はとことんスピッツの楽曲に甘え、その曲の持つ様々なイメージで私の心に寄り添ってもらい、私の人生に穏やかな時間を与えてもらおうと思っている。

それはとても自己中な発想かもしれない。でもそれで良いのです、だって私は自分の人生の為にスピッツの曲を選んだのだから。

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