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少女から女性へ、そして母へ

宇多田ヒカルのこれまで、これから

ミーハーな私は時々で自分の中のベストアーティストが変わるが、一周回って再ハマりするアーティストが何組かいる。
宇多田ヒカルもその一人だ。
彼女のファーストアルバムが出た時、私は小学生だった。自分より少し年上のお姉さんが出したアルバム。そのアルバムの売り上げは今でも歴代1位を誇り、20年以上経った今も破られていない。
当時小学生の私に「歌詞の意味を理解しながら歌を聴く」という発想はなかった。歌詞カードを見て歌に合わせて口ずさむ、それが音楽の楽しみ方であった。
宇多田ヒカルの歌詞のすごさに気づいたのはそれよりもずっと後。一周どころか何周か回って再度宇多田ヒカルにハマった時に改めて聞いたファーストアルバム「First Love」。
今でもそうだが毎回このアルバムの曲を聴くと彼女の才能に驚かされる。
「In my room」の中では「火曜日の朝は廊下ですれ違ったけど 君は気づかない」
「甘いワナ~Paint It,Black」では「いつもあぶないことばかりしてるから どうしても気になっちゃう」「イジワルをされる度に近くなって行った二人」
そうそう、学生の時って廊下で好きな人を見つけるたびにドキドキしたし、こっちの気も知らないできっと向こうは私のことすら知らないんだろうなとか、若い時ってやんちゃだったりちょっと悪い人に惹かれるんだよなと、ティーンエイジャーらしい、親近感も勝手に感じる。
その一方で「First Love」の「最後のキスは タバコのflavorがした」
「Movin’on without you」の「指輪も返すから 私のこころ返して」など,
どんな大人な恋愛をしてきたんだと驚かされる。
その中で一番私が感銘を受けたのが「time will tell」の冒頭「泣いたって 何も変わらないって言われるけど 誰だって そんなつもりで泣くんじゃないよね」この歌詞を15歳が、いや作ったのはもう少し若い時かもしれないが10代前半の少女が書いたのか・・・なんて大人びているというか達観した子供なんだ・・・といつも衝撃を受ける。そしてこの曲のタイトルが「time will tell」、歌詞中にもあるように「時間がたてばわかる」
両親ともが音楽家という家庭で育ったからなのか、まるで早く大人になることを急かされたような、歌詞の世界観。
このころの彼女の声は今にも壊れそうな、儚くて脆く危うい感じがつきまっとっている。歌詞の内容からして明るい曲は少ないということもあるのかもしれないが、どこか影を潜めているようにも聞こえる。そんな点も彼女の人気の後押しになったのかもしれない。

それから順風満帆に音楽活動を続けていた彼女が「人間活動をする」ということで音楽活動を休止した。約6年。その間彼女にはいろいろなことが起こった。いや、起こりすぎた。
自身の母親の死、そして結婚、出産。彼女も20代から30代へ。
そして再始動後に発表されたアルバム「Fantôme」
母親に向けて書かれたのであろうと推測される「花束を君に」や「真夏の通り雨」
母となり今までと違う日常を送ることへの葛藤が見られる「二時間だけのバカンス」など、このアルバムに彼女の6年がぎゅっと凝縮されている。また今作では多くのアーティストを迎え入れるなどこれまでとは違う彼女の姿勢を感じる。
それでも宇多田ヒカルが帰ってきた。10代の頃の危うさは少し身を潜めつつあり、包み込むような大きく優しい歌声でまた日本の音楽シーンに帰ってきてくれた。
そして彼女は今年ツアーを行うという。ライブとしては7年ぶりで、ツアーとしては実に12年ぶり。ツアーでは「FirstLove」からも何曲か披露してくれるのだろうか。ティーンエイジャーから女性へ、そして妻、母になった宇多田ヒカル。
彼女はこれからどんな世界を私たちに提供してくれるのだろう。

そういえばここ数年彼女くらいの歳でデビュー、しかも自身で作詞作曲をし社会現象まで巻き起こすようなシンガーソングライターって現れてないなとふと思った。
あぁそうか。それが何年かに一度の逸材と言われる所以か。

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