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それは私の~TOGENKYO~だった フレデリズムツアー2017

小心者の私の小さな大冒険

 強がっていた。
 2017年の私は、楽しみにしていたアーティストの周年フェス参加などの予定があったにも関わらず、自らの体調不良と、介護をしている家族がフェス当日に熱を出した事で直前に行けなくなってしまったのだった。
 自分の体調不良は仕方がない。
 が、数日前、家族が症状を訴えた時、「早めに薬を飲んだらどうか……」と提案していたにも関わらず断られたので、あの時もっと行動しておけばよかったと自らの行いを後悔し、こっそり部屋で泣いた。

 SNS等ではできるだけ明るくふるまっていた。
 「ま、こんなこともあるよね」
 その気持ちは100%偽りだった訳ではなく、SNSは基本的に文字だけの世界なので微妙なニュアンスが伝わりにくい。それだけで繋がっている人にはなるべく明るい話題を発信したいし、ツールがなければ出会う事もなかったかもしれず、フェスやライブや趣味の話や何気ない日常を伝えてもらえるありがたい存在だ。
 私と繋がっていてくれる方々も、おそらくそれぞれの事情を抱えながら、優しく接してくれる人達ばかりだからだ。
 

 フレデリックを知ったのは、アニメ『恋と嘘』のOP『かなしいうれしい』だった。玄関掃除をしている時に、冒頭とサビのメロディーが脳内にリフレインしてとまらず、そこから、私のフレデリックが始まった。

 12月9日、『フレデリズムツアー 2017 ~ぼくらのTOGENKYO~』NEXS NIIGATA。
 覚悟はしていたものの、若いお客さんばかりだったと思う。
 それでも、今年最初で最後のライブ、(1曲だけでも聞きたい!)という思いの方が強かった。小心者の私の小さな大冒険だった。
 
 暗転したステージにひとすじの光が射し、
 『フレデリック、始めます。』
三原健司(Vo.Gt)氏の一言で始まったのはメジャー1stシングルの『オンリーワンダー』だった。
 完全に度肝を抜かれてしまった。
 今回ツアータイトルにも使われている通り、先行して発売されたミニアルバム『TOGENKYO』の曲がくると思っていたからだ。
 驚きとともにすぐに反応する会場、前方中央付近のオーディエンスの方々が中心となって、場内の観客を引っ張ってくれた。そのうちに左右から地元ファンなのかな? と思われる人達がパラパラとその流れについて一緒に手をあげて叩いていく。
 続くアップテンポなナンバーに、フロアは徐々に湧きだっていった。私もいつしか大きく手を叩いていた。
 それでも、ステージ上のメンバー4人の動きは勿論、どこにどんなお客さんがいるとか、照明はどんな演出をするのか等の観察をする余裕がまだあった。
 衝撃だったのは、ミディアムテンポの『スローリーダンス』だった。
 正直な所、アップテンポな曲であがるだろう事はある程度、予想がついていた。ライブ前にCDを購入し、ネットでPVを見ていたからだ。
 しかし、『スローリーダンス』には完全にやられてしまった。
 小刻みに小気味よく刻まれた前奏から始まり、

「せかされてもあせらないで踊りたい時踊ればいい
勝手なシューズ履いて 君は勝手に君とダンスする 勝手なセンス出して とても勝手な君とさ」
 (『スローリーダンス』歌詞より)
 
 この歌詞の通りに、勝手に体が揺れ、とろけるように歌の世界にトリップしてしまった。
 サビに繰り返される『雨』というフレーズを、掌や大きく全身を使って表現する、健司氏。優しく三原康司(Ba)氏のコーラスが混じり、時々メロディアスに主張する赤頭隆児(Gt)氏のギターラインと、正確にリズムを刻む高橋武(Dr)氏のドラム。どんどん歌の世界観に引き込まれ、音楽という雨が『カラダに沁みる』そんな感じだった。
 そこからは、完璧にハマってしまった。
 彼らの音楽は攻めながらにして、会場全体を包み込むような優しさに溢れていると思った。
 デジタルを駆使し、新しいのにどこか懐かしさを感じるメロディー。
 スパイスの効いた韻を踏む言葉選びと、ところどころに散りばめられたノスタルジックなフレーズ、時に聞き手に「君はそれでいいの?」とつきつけてくる厳しさと共に背中を押してくれる歌詞は中毒性が高い。
 メンバーと観客が一体となってリアクションするところと、それぞれに「ただそこに存在しているだけでいい」と肯定してくれているかのような……まさに『オンリーワンダー』の歌詞に描かれているような……自由さがうまく調和し、共存していて、とても心地よかった。

 少ないMCは、新潟にまつわる事をそれぞれの個性を交えて伝えてくれ、ほっこりと和み、神戸で行われる初のアリーナワンマンへの強い意気込みを語ってくれた。
 誠実に音楽と向き合っている姿を感じ、拍手を送れたのが嬉しかった。

 私の始まりの曲『かなしいうれしい』など、またフロアは加速度を増していき、

 「天国だって地獄だって楽園は君にあったんだ」
 (『TOGENKYO』歌詞より)

 「天国」と「地獄」と『桃源郷』を確立したダンスフロアはとまらない。
 アンコールラストとなった『たりないeye』の歌詞にあるようにフレデリックと見る景色がたりない。

 私はフレデリックによって、救われたんだな……と、今更ながらに思う。

 その豊かな表現力はどうやって培われたのか興味深く、これからの更なる進化の可能性に期待しかない。
 まずは4月30日の神戸アリーナワンマンの大成功を祈ります。

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