398 件掲載中 月間賞発表 毎月10日

2017年4月5日

誉 (16歳)

背中を押すための、

天野月活動休止宣言に寄せて

本日ライヴで発表させて頂きましたが、わたくし天野は、今年の8月以降、無期限活動休止に入らせて頂きます。』
天野月のこのツイートを見た瞬間、血の気が引いた。悪い冗談であればいいと思った。けれど、同時に「想像していた通りだ」とも。
『うちへ帰ろう 何者でもなくなったわたしから もう一度歩きたい』。先日配信が始まったばかりの『帰り路』という曲の一部分だ。3月17日のブログにあったこの一節は、ポニキャンの担当さんが書いてくださったというたくさんの文字の中のほんの何十文字。けれど、確かにその部分だけが異様な光を放っていた。
最後に彼女自身の言葉でこう綴られていた。
『詳しいことは言わないです。聞けばわかると思うよ。だから、聞いてね。』
17日の時点で容易に想像できた。これは彼女の宣言ではないか。もう一度歩きたい以前に何者でもなくなりたい彼女の、何者でもなくなるための曲。そして、もう一度歩くために、帰り路を迷うことなく歩くために、自分自身の背を押す曲。
私は彼女の宣言をこの耳で、心で、受け止めなければいけない。小学校の頃に知り、以降ずっと応援し続けた彼女の思いを知らなければならない。

『少し補足をしておきますね。
自身のライヴ・リリース活動の無期限休止、です。ライヴMCでも、そう言いましたです。
ライヴ、とっても楽しいです。本当に楽しい。あ〜〜楽しかったっていっつも思います。だから休みます。』
音楽界から消えるわけではないと言いたいのだろう。確かに彼女が音楽に携わってくれるという事実だけで私の心も少しは軽くなった。彼女が音楽をやめてしまうのが一番怖い。何せ一度は活動を停止して、名義を変えた人だ。今度こそ二度と音楽をしないかも知れない。散々考えた最悪の事態はどうやら免れそうで、けれど彼女の声を聞けないのは私にとって死活問題で。
この発表が午前中ならばエイプリルフールだと笑い飛ばせたなあとぼんやり今でも考えている。16周年の記念日だから尚のこと。けれどこの補足がツイートされたのさえもう4月2日になった頃で、その日付が教えるのはろくでもない現実。Twitterで喚き散らしてひとしきり泣いて、それでもどうしても諦めきれなかったので踏ん切りをつけるためにこの文章を書いている。

とは言ったものの、『帰り路』も、受け止めきれるか不安でまだ聞けていない私だ。この文章が書きあがったとしても踏ん切りをつけられないのは目に見えている。8月に弾き語りライブをして無期限の活動休止期間に入るらしい。まだ4か月もある。それまでに踏ん切りをつけられたらいい。何度も泣くだろう、何て言ったって一番長く見てきたアーティストなのだ。大阪在住ゆえに一度もこの目で見たことはないけれど、彼女の活動は一番見てきた。
この文は、彼女の声を聞くことを諦めきれない私の、彼女を諦めるための文。そして、『帰り路』を聞くために、彼女の背を見送るために、私自身の背を押す文。

『帰り路』を聞いてから、アルバイトを探して8月までにお金を貯めようと思う。きっと弾き語りライブは東京だ。東京に行く資金を貯めて、彼女の姿をこの目に焼き付けたい。チケットを取れるかどうかがまず問題ではあるが、取れなかった時はその時とする。
 

天野月が音楽をやめない、それだけで十分だ。

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