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真っ直ぐな言葉たち

SUPER BEAVERの楽曲の魅力

ビーバーを聴くようになったのは『美しい日』のミュージックビデオがきっかけだった。それまでに何度もバンド名は目にしていたし、数多くのフェスに出演していることも知っていた。けれど、あまりすすんでいろんなバンドを聴くタイプではない私は自ら彼らの曲を聴くことはなかった。それでも、なんとなく開いた動画サイトのトップ画面に『美しい日』が出てきた時、興味本位で見始めた自分がいた。
聴き始めてすぐに渋谷龍太の声に惹かれていた。「ああ、ボーカルの人、こんなに良い声してたんだ。」と今まで聴いてこなかったことを少し後悔した。さらに聴き進めると、今度は真っ直ぐな歌詞に心を掴まれていった。印象に残った歌詞の抜粋をここに載せることができないくらい、1つひとつの言葉、フレーズがすっと私の中に入ってきた。「もっと早く聴いておけばよかった…!」ますます後悔の念に駆られた。
軽い気持ちで見始めたミュージックビデオをきっかけにビーバーの他の曲も聴くようになり、どんどん彼らの音楽にハマっていった。『らしさ』や『秘密』は今では私の中でよく聞くプレイリストの仲間入りをしている。
そんな中で一番心を救われた曲が、昨年発売されたミニアルバム『真ん中のこと』に収録されている『ひなた』だ。これが発売された頃、私は落ち込んでいた。仕事で上手くいかない時期が続き、心身ともに疲れ切っていた。どうせ何も変わらない。このままの状態がずっと続くのではないか。私の悪い癖で、一度マイナスに考え始めるとなかなかそのループから抜け出せず、それに打ちのめされて何も動けずにいた。でも、そんな気持ちを変えてくれたのがこの曲だった。
“自分に期待しないなんて 自分を信じないなんて 虚しくてつまらない”
このフレーズを聴いた時、はっとしたことを今でも鮮明に覚えている。目の前が一瞬にして明るくなった気がした。悪いことが続くとどうしてもその現状に失望してしまって、立ち止まってしまう。でも、だからこそ、まずは自分という人間を信じて行動するしかないのだとそう思わせてくれた。今起こっていることを少しでも変えていけるかいけないかは自分次第なのだ。1人で抱え込み、悩み、その場にとどまり続けている自分がバカらしく思えた。
日々の生活を積み重ねていくと自分の気持ちががんじがらめになっていることがよくある。自分は何をしたくて、どうありたいと思っているのか。自分が大切にしたいと思ってきたことは何だったか。世間体や社会人としての在り方を意識し過ぎるが故に、それを見失いがちであると感じることが増えた。でも、ビーバーと出会ってから時々確かめるようになった。彼らの音楽に溢れている素直で真っ直ぐな気持ち=昔の自分は当たり前に思っていた気持ちを忘れていないかな、と。
“自分らしさってなんだ? こどもの頃は気にもせず 気に入らなければ怒って 好きなものを好きだと言って” (『らしさ』)
“秘密にしている 理由が 確信のない不安でもさ あなたが望む未来があるのは 自分を信じられたその先で”(『秘密』)
昔は今とは違って周りがどう思うかを気にせずに思ったままを話していたことや夢に向かってひたむきに努力していた自分を思い出す。あの頃に戻ることはできないけれど、いつの間にかできてしまっていた心のガードを開いて、もう少し感じたままに話し、動く瞬間があっても良いんだとそう思わせてくれる言葉ばかりだ。昨年みたいに落ち込み、立ち止まりそうになった時は必ずビーバーを聴くようにしている。荒んだ心がだんだん落ち着いて、原点回帰をさせてくれるから。そして、自分にとっていつだって原動力となるのは堅苦しい言葉ではなく、ビーバーの楽曲にあるようなシンプルかつ明快な言葉たちなのだ。
ビーバーの楽曲の中でほとんどの作詞を手がけているのがギターの柳沢亮太だ。彼が自分の日常を振り返りながら、客観的に捉えて書き起こされたであろう言葉たちは、いつどんな時でも、そしてきっと誰が聞いても胸に響いてくる。自分という人間、そしてメンバーたちと向き合っているからこそ多種多様な人々に響き、1人ひとりに問いかけるような言葉がうまれる。曲の捉え方は人それぞれでも、その人にあったハマり方をする。(余談だが、私に響いた『ひなた』という楽曲は“あなた”という言葉が出てくることから、きっと“あなた”と“自分”の関係性について書かれた歌詞だと思う。それでも対“あなた”としての歌詞ではなく“自分”に向けた歌詞として私には響いた。)どの言葉を切り取ってもシンプルで心にすとんと入ってくる言葉だからこそ、どんな人にも寄り添えるのだと確信している。
そんなバンドと出会えたことを心から嬉しく思うし、ビーバーがもっともっと多くの人々に届くことを切に願う。特に思い悩んだり、自分に嫌気がさしてしまう人にこそ聞いてほしい。きっと彼らの真っ直ぐな思いが温かくも力強くあなたの背中を押してくれるはずだから。

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