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Base Ball Bearはこれからだ

別れと出会い、そして新たなステージへ

私はBase Ball Bearというバンドは四人が絶対だと思っていた。
高校の文化祭に出る為に結成されたバンド、Base Ball Bear。一見そうでもないように感じるかもしれないが、その絆は普通のバンドより固く濃い。それは彼らの仲の良さは勿論バンドならではの演奏にこだわる姿勢や自分達が信じるロックを突き詰めた曲達に表れていて、この四人の絆があるからこそここまで極められるのだと私は思っていた。
だからこそ湯浅脱退という事件は私の中のBase Ball Bear像が破壊され、当時は混乱で彼らの音楽が聴けなくなった。あの四人でなくなったという事実、誰が欠けても成立しないと思っていたからこそ彼らはこれからどうするのか?私の脳裏には最悪の事態が浮かんだ。
でも彼らはサポートを入れ、これからも演奏するという選択をしてくれた。懸念もあったが続けてくれるという事にその時は胸が苦しくなり涙が止まらなかった。

これまでとは違う形態、それは「絶対的」から「可能性を秘めた」ものに変わったと私は思った。今までとは違った音の重なりあい、様々なサポートギターによる曲の変化、それは生音にこだわっていたべぼべに多くの刺激と切欠を与え、それまで使わなかったシンセなどを入れた「光源」がそれに表れていると勝手に思っている。
確固たるものが良いように崩れ新しい変化は彼らの演奏スタイルにも影響し、リフを弾かないといった三人での演奏もするようになっていった。最初物足りなさを感じるかと思っていたが、音の厚みや響き、歌声が鮮明に感じ耳にこんな表現もあるのかと鳥肌が立った。だから追加公演で「これからは三人で演奏する」と発表になった時不安もあったが、これからべぼべは新しくスタートするんだ、と思えこれまで支えてくれたサポートギターの方々への感謝と三人でのべぼべへの期待でどきどきした記憶がある。

そして迎えた三人で本格的に始動する始まりのフェス。奇跡的にチケットが取れた私はその場所にいた。
かつては湯浅、この間まではサポートギターがあった所にはベース、前までのベースの定位置にはギター。見慣れない位置に戸惑いながらも本当に三人なんだという実感がゆっくり沸いてきていた。
いつも通りリハをして、いつも通りのSEで入ってきた彼ら。三人でのステージがすぐ始まろうとしていた。

MCで小出さんがこんな事を話していた。
「僕らのキャリアの中でも珍しいイベントなんです。というのはも、今日殆ど先輩がいないんです。下手すれば一番年上っぽくて。でも4ピースから3ピースバンドとして本格的にやり出すのは今日が初なので、気持ちは若手で、音は中堅らしさを出していきたいと思います!」
そんな前置きから始まった曲はリズム隊の音が際立ちムードな雰囲気の中に甘酸っぱい歌詞が響く「文化祭の夜」。そのままRHYMESTERとのコラボ曲「The Cut」にいき、ラップの部分をスタイリッシュに歌いきってくれた。「文化祭の夜」は最近ライブでもやっていなかった為とても驚いた。しかしMCの「気持ちは若手、音は中堅」という言葉がそのまま表れている選曲で、その後の「The Cut」への繋ぎも他のバンドとは違った落ち着いた雰囲気を作り出してくれた。そこが流石べぼべ、最年長の風格を見せてくれたと感じとても嬉しかった。
「PERFECT BLUE」「ドラマチック」といったきらきらと眩しい青春をテーマにしたべぼべの十八番を間に挟みながら迎えた終盤の曲は「真夏の条件」と「十字架You and I」だった。

「真夏の条件」はツインギター、「十字架You and I」はサビのギターが特徴的で三人、ましてやギターを奏でるのはボーカリストの小出祐介さん。そんな事出来るのかという不安と戸惑いが頭を占めたがそれはすぐに驚愕に変わる。どちらも歌声、ギター、ベース、ドラム、すべてが綺麗に響き合いまるで新しい曲のような新鮮さを感じた。
特に「十字架You and I」のギターソロ、本来なら伸びやかな音が響く所を小出さんがギターソロを務める事によってカッティングに変わり、また違った音が会場全体に響き渡る。
そのカッティングは今まで見たことがない程に速く、何かに取り憑かれたかのように体を折り曲げ激情的に弾く彼の姿に圧巻され目が離せなかった。

本格的に三人になる事、それは一人一人の負担が大きくなり今より高い表現力と技術力が求められる事であると思う。今まで自分達のロックを追い求めてきたべぼべが更に極めるという事は並大抵の努力では敵わないのは素人ながらにも分かる。良い音楽を届ける、ファンの為に頑張ってくれている事は嬉しい事だが、メンバーに負担がかかりすぎる事はまた湯浅のような事を引き起こすのではないかと私は密かに思っていた。
でも、それは杞憂に過ぎなかった。演奏を見て、べぼべは三人になる事で今までよりも頑丈な結束力を持ち更なる高みへと目指しているように生意気ながらにも感じた。

これからフェスに多く出演する事が決まっているべぼべ、同時にツアーも始まり制作も平行して行うと話していた彼ら。その胸の内はどうなっているのだろうか、視線の先にはどんな光景が広がっているのだろうか。
三人での本格的なスタート、それを飾った最初のこの曲の歌詞に全て込められているんだと思う。
『changes さぁ、変わってく さよなら 旧い自分
新現実 新しい何かが待ってる
changes さぁ、変わってく 失うものもある
でもいいんです ひとつ頷き、駆け出す
さぁ、すべてがいま変わってく すべてが始まる
新現実 誰の物でもない 新しい自分』
「changes」。別れがあるからこそ、出会いもある。「これからもこの三人で、この音楽を続ける」という意思を持って「旧い自分」を捨てたBase Ball Bear。その新たな門出に、これからのべぼべに、昔の彼らに、私は大きな拍手を送った。その背中は頼もしく、これからの輝かしい彼らの姿があった。

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