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ここにきて見せるポルノグラフィティの新境地

カメレオン・レンズの向こう側

1999年
私は小学二年生。
長野の田舎に生まれ、学校に通い、友達と喧嘩した、遊んだ、先生に怒られた、褒められた。
人との関わり中でのコミュニケーションを学び幸せに暮らしていた。
世間的にはミレニアムへの期待、ノストラダムスの大予言など何かと熱気が渦巻いていた記憶がある。

19年の時を経て2018年
その間に、受験、上京、就職、出会い、別れ、様々な荒波に揉まれ、今現在27歳の私は東京に縋り付き、真っ暗な六畳一間で想いを言葉に起こそうと、19年前にはなかったスマートフォンにかじりつく。

19年の流れの中で一番人生を変えたきっかけは間違いなく音楽だ。
友達から借りた一枚のCDが私の人生を狂わせた。赤と青の2枚組。5周年で発売されたポルノグラフィティのベストアルバム。
別のクラスの奴が買ったからと頼み込みMDに焼いてもらい、翌日部屋のコンポで再生する。
『この曲知ってるな』と思いながら聞き流す。それが毎日、毎晩の日課だった。気がつけば歌詞を覚え、曲を覚え口ずさみ、気がつかないうちに体に染み付く。
気がついたら出来ていた、人生で初めての『好きなアーティスト』ってやつ。

我が家はおこづかい制ではなかったので、『テストで良い点取るからCD買ってくれ!』と頼み込み、初めて自分で手にしたCDがポルノだった。

高校になるとバイトを始め、『受験でしょ!』と咎める親を振り切り、名古屋まで遠征して初めて見たライブがポルノだった。

東京に進学してから、人間関係がうまく回らず拗らせてた日々の中行ったライブで、心に刺さって今だに抜けない棘を植え付けたのがポルノだった。

初めて出来た彼女。真夜中に消えた観覧車を見に自転車で2人乗りをしながら口ずさんだ曲がポルノだった。

別れたあと、虚無感の中曲の意味を一つ一つ理解して、心の整理をつけたのがポルノだった。

私の分岐点には常に彼らの音楽と言葉とライブがあり、時に聞き込み、時にライブの光景を思い出し、『胸張っていけ!自信持っていけ!』とかけられる声を励みに生きてきた。

去年ROCK IN JAPAN FESに初めて参加することを知り友人と急いでチケットを取り会場に駆けつけた。
過去『所詮J POPでしょ?』とマウントを取られたことがあって、自分がロックだと信じてきたものを貶されている気がして、『好き』ということを公言しないようにしていた時期があった。
その事を思い出しながら『どうなるんだろうか』と不安なきもちと、『ロッキンでポルノを見られる』という大きな期待。そのせめぎ合いの中ライブが始まった。
大きな歓声。普段のワンマンとは違う、若いロックファンの『かかってこいよ!』と言わんばかりの熱気。

私の心配をよそに、蓋を開けてみればいつも通りの圧巻のパフォーマンス。いや、いつも以上にエネルギッシュなステージと全力で食らいつくオーディエンスに涙が溢れた。
『所詮J POP』と言われた一番のバンドが、ヒット曲を軸に誰よりもロックで押し返してくる。
ライブで恒例のハネウマライダーでのタオル回し。周りのお客さんのタオルでステージが見えない。何年夢見た光景だろうか。
今、人生を通して信じてきたロックが、日本最大級のロックフェスで歌い、熱狂の渦中居合わせたという事がとても感動的で、今までの人生がフラッシュバックする。

Tamaの脱退。それでも継続を選択した2人が起こした小さな羽ばたきが、巡り巡ってbutterfly effectのように私を巻き込みここに集結した瞬間だった。

ポルノの音楽はロックか?ポップスか?
という問いがあれば迷わずにロックだという。

多種多様ジャンルを巻き込んだ曲を発表しながらも、彼らの軸にはやはりロックがある。

新曲『カメレオン・レンズ』
イントロはクラブミュージックのアプローチ。
初めて聞いた時『tofubeatsかな?』と思うほどの心地よさを感じた。
が聞こえてきたのは聞きなれた声。度肝を抜かれた。

岡野のボーカルはそのイントロに乗るように優しく入り曲が進行していくが、サビに入った途端言葉の力が グッ っと前に出る。
曲の力、言葉の力が前面に押し出され、トラックに乗りながらも新藤節炸裂のギターフレーズは頭に焼きつく。

時代の流れ、いわゆる『きてる音楽』を察知して試行錯誤しながらもロックと自らの楽曲に取り入れる。
ここが私が思うポルノグラフィティの一番かっこいい所だと思うのだ。

終盤に向けてギターが主張を強め、グルーブ感を生みながらも、絶頂に達する寸前でのキレのいいアウトロ。

カップリングにはDirty Loopsを彷彿とさせるアレンジのルーシーは微熱が収録されたり、最新アルバムにはMICROWAVEとイントロから耳を引く曲。ダンスミュージックアプローチの曲が収録される度に、『こういう曲をシングルで出して欲しい!』と思っていた矢先のカメレオン・レンズ
ロックの熱量と、ダンスミュージックの心地よさが混然一体となり押し寄せてくる。

これを来年20周年を華々しく迎えるアーティストがやってしまうのは、本当にすごいと思う。
現状に満足せず、常に新しいものを取り入れ自分たちの軸を通す。そして今、彼らの新境地が拓けた気がした。

思えば私も色んなものを身に纏い、時に脱ぎ捨て、時にかき集め生きてきた。
その中心には彼らの音楽があり、自分自身も大きな変化を遂げていることに気がつく。
彼らが新陳代謝を続けるように、私も止まってはいけない。

君の明日は What color?

彼らの勇姿を見届けるため、色を変えながらも明日も生きる。

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