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ケツメイシ「仲間」

親愛なる4人の先輩たちへ

開けっぱなしの窓から春の夕方の匂いがする。
残業のお供として流していたラジオからケツメイシの「仲間」が流れてきた。
イントロを聞いた瞬間“あ、ヤバい”と思ったが遅かった。深呼吸をして気を紛らわそうとしたが
「つらい時はそっと後ろを見てごらん
オレ達が うなずいてあげるから」
というフレーズを聞いた瞬間何かが決壊し、涙がポロポロとこぼれてきた。
残業が辛いわけではない。
むしろこの残業は週明けに休みをもらうため進んでやっている。
周りに誰もいなくてよかったと思いながら涙を拭いた。

今からちょうど4年前の3月。
会社の経営不振を理由にクビを突きつけられた。
初めて転職した先でのクビ。
3人しかいない少人数の事務所だった。
昨日まで仲間だったはずの人たちはその宣告とともに態度を急変させた。
日に日に無視や嫌がらせが増えて行き空気は常にギスギスしていた。
仕事に行くのが嫌だった。
それでも生活のために仕事に行った。
何をされても笑って過ごした。
少しでも嫌な顔をしたら、負けたらすぐに辞めさせられてしまう。
どんな音楽を聴いても前向きな気分にはなれなかった。
そんな時借りていたiPodで初めてケツメイシの仲間を聴いた。
その時はいい曲だなーと思いながらも毎日を生きることが精一杯で歌詞の意味まで考えていなかった。
結局転職先は見つからないままその会社を退職した。

ある日気分転換にとお母さんからカラオケに誘われた。
正直そんな気分じゃなかったがお母さんがとても行きたがるので仕方なく一緒に行った。
せっかくだし最近聴いてるケツメイシを歌おうと思い仲間を入れた。
初めて歌詞を見ながら歌った。
新卒で入社した会社の先輩たちを思い出した。
「下を向いてないで次はガンバレよ
結果より気持ちだろ オレらに必要なのは」
まるで彼らに言われてるようだなと思ったら声が詰まった。マイクを持ったまま泣いていた。
クビを宣告された日もそれ以降も泣いたことなどなかったのに、声を上げて泣いた。
母はただただ背中をさすってくれた。

それから1カ月後。先輩達と集まることになった。
新卒でお世話になった4人の先輩たち。
今はみんな別々の職についてるにもかかわらず全員集合した。
一瞬であの頃の空気感に戻れる。
「転職したんですけど、クビになりました。」
笑いながら言った私に先輩達は
「そいつらはお前の良さに気づけなかった。ただそれだけだろ。」
「3人だろ?こっちは4人お前の良さを知っているんだから人数じゃ勝ってるよ。」
「諦める必要なんてない。」
「お前の凄さはオレ達が知ってる。」
と口々に励ましてくれた。
涙をこぼさないように笑ったから、きっとすごくブサイクだったと思う。

あれから4年。

“お前はそこで諦めるのか?”
諦めるなよって背中を押してくれたから
“ここまで来たのにやめるのか?”
辞めるなよって言ってくれたから
“悔しかったらそっから立ち上がれ”
励まし続けてくれたから
“越えてきただろ お前のやり方で”
越えることができた。

頼れば助けてくれる仲間もいる。
生きてて良かったと思える出来事が増えた。
今は日々楽しい事しかない。

1ヶ月後。
先輩の1人が結婚する。
またみんなで集まれる。

今度はブサイクな笑顔じゃなくて最高の笑顔で話ができそうだ。

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