398 件掲載中 月間賞発表 毎月10日

2017年4月5日

川鍋良章 (35歳)

新しい時代を俺たちCrewと“共に”足跡刻むロックがある

UVERworldにしか成し得ない偉業、それが男祭り

いつからか、彼らは大きく方向転換をした。アニメやドラマなど、テレビのタイアップを打ちまくる大衆バンド路線から、ライヴに重点を置くロックバンドの原型そのものの路線。それにより、彼らと同世代よりも10歳近く若い層のファン獲得に成功する。10年後の現代、まさか彼らがこういう無二な存在になっているとはデビュー当時想像もつかなかった。

男ばかり23000人が集った空間である、その熱量ったら半端なかった。まるで海外サッカーのエスパニョーラの過激なオーディエンス会場のような熱気。地割れするほどの重音ボイスが休み無く響く、まるで格闘技道場、野球試合前のベンチ……草食男子時代と言うのは絵空事であるかの如き、男臭く、青々しく、力強い光景だった。

UVERworldが不定期的に行ってきた、男の聴衆だけを集めた、最大規模のライヴ「男祭り2017」である。
昨今は観衆を性別で分けてライヴを開くバンドや歌手が多い。しかし、動員数など、全てがうまくいくとも限らないとも聞く。この日の、さいたまスーパーアリーナの会場を見て思った、この手の性別に分けたライヴを成立させられるだけの男女比率が均一化できてる若手バンドって、UVERworld以外にいないんじゃないかと思える空間。

そんなUVERworldのライヴが持つ最大の武器はTAKUYA∞のカリスマ性に他ならない! この日も大爆発だった! MCの巧さは邦楽界トップと言って過言じゃないだろう。まるで、あの矢沢永吉を彷彿とさせるかの如く、言葉ひとつで大衆の心を掴む熱さ。しかし、TAKUYA∞と歴代の偉大なロック歌手との違いは、自分を鼓舞しながらカリスマ性を発揮するのでなく、観客と視線を合わせる所にある。
この日は「自分に向いてることでなく自分で選んだことをやれ!」と言い放った。彼は誰しも何かしらの才能があって、それに合った人生が歩めると限らない“人生の苦み”を知っている。彼自身もロック歌手が本望であるわけではないと言う。「筋肉付きやすいしボディビルでもやってたかもな」と冗談めかして言う。
しかし、「自分で決断した以上は、その道を進んで、いつか俺に自慢できるような生き方をしろ」と叫ぶ。オーディエンスも負けじと雄たけびで返す。そこに有名人もオーディエンスも差はない。同じ高さの視線。思わず、鳥肌が立った。熱き男同士の契りが、とてつもない巨大な空間で、とんでもない人数で交わされているのだから。

そういう筆者も人生上手くいかないことが多い。体を壊すわ、会社勤めがままならなくなるし、会社独立してからは怒涛のように時間が過ぎ、泣き、笑い、泣き、泣き、泣き……人生なんてうまくいかないことの方が多い。そんな時に、ふと思う。何のために、何を目指して自分は頑張っているのだろうかと。
恋人も久しくいない。仕事に追われ仲間とも疎遠になってきた。親とさえも、まともな会話ができてない。けど、この先も生き続けるんだろうなという漠然とした時間の消費。何のための消費……。
昨年末の「COUNTDOWN JAPAN 1617」幕張の舞台でTAKUYA∞は言った。TAKUYA∞も孤独な時期はあったそうだ、ひたすら詞(ポエム)を書き続けたと。けど、それを彼は「必要な孤独」と表現している。

俺にも、今のガムシャラを、孤独で先の見えない不安を「必要だった」と胸張って言える日が来るのだろうか?

そんな自分の近況を思い浮かべながら、この日の「ALL ALONE」の一説《死ぬ間際に お金や物を欲しがる人なんて居ないでしょう? 僕達はそんなものを 探す旅をしてるんだろう きっと世界が無くした物だろう 正しい愛と夢 お前らに 言ってんだよ》は特に胸に突き刺さった。個人的に最も好きなUVERworldの歌詞だ。けど、この日は、多くの同性と聞いた環境がそうさせたのか? なんか違った。おそらく、会場中が同性だからだろう。年齢は上のほうだろうけど、なんとなく、この男祭りの会場にいるCrew達が、仲間に思えて、ライバルにも思えて、頑張らばければと思うと同時に、死ぬ間際に欲しいと思えるものを探し求める自分の中の余裕を見つけようって、簡単なことだが、見失っていた。TAKUYA∞の歌声に、はっとさせられた気がする。

TAKUYA∞は感情をドスレートにぶつけてくる。
その純真さと愚直さには心揺さぶられ感動するとしか言いようがない。
力強くも美しい歌詞が印象的な最新曲「一滴の影響」の一説《真面目に生きていれば いつか報われる そうやって言い切ってしまえば それは嘘になる》にも表れているように、UVERworldは聴き手の人生のリアルを残酷に表現しつつも、《ずるい奴が笑う世界 そう言いながら物事が ゆっくりでも良い方向に進むと信じ 今日も 正しく生きようとする君は素敵だよ そんな自分を君も愛してあげてよ》と、その中で光を見出しポジティブな方向に導く。
その寛容さと共感が、彼の書く詩そのものが、人生の応援であり指標になる。

相変わらず、TAKUYA∞と同世代の筆者世代ドンピシャの旧曲は演らなかったが、「お前らに聴かせたい珠玉のバラードがあるんだよ」と、いきなり《好きだよと~今日も言えないまま~》と往年のバラード「君の好きなうた」を歌い始める。急なことに驚くが、演奏は一節で終わる。「何おめ~ら目うっとりさせて聞いてんだよ!気持ち悪りぃんだよ、バカヤロー!」と「バーベル」が歌われる。最高過ぎる!

カオス化して収集付かなくなりそうな危うさを持った、この日のライヴ、「PRAYING RUN」「ナノ・セカンド」「IMPACT」と怒涛のロックナンバーが連投され、煽るだけ煽られ昂ぶった男Crew達をコントロールするように観客の中に飛び込むTAKUYA∞の姿は、まさに“新しい時代に足跡刻む”カリスマそのものだった。

誰もが持つ弱い側面を救う歌詞の数々と、大衆を奮い立たせるパフォーマンスで23000人の男を大興奮の坩堝に導き、そこらのバンドでは到達できないロックの桃源郷を実現して見せた「UVERworld男祭り」、半端なかった……興奮と同時に感じた感動を胸に抱えながら、足裏に感じる感触を確かめながら会場を後にした。次は東京ドームだとメンバーは言った。高みを目指し続けている。それがいつ実現化するかは分からない。

しかし、UVERworldは歩みを止めない。

――だから俺も止めない。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
音楽について書きたい、読みたい