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スピッツへの思い

日々を照らす優しい光

初めて好きになって、今でも一番好きなアーティスト。
小学生の時に父の運転する車の中でかかっていたCDが、最初の出会いだったと思う。
恋に例えるなら、一目惚れではなかった。初めて聴いたときに衝撃を受けた、一度で魅了されたといった劇的なことはなかった。ものすごく惚れ込んだ訳でもなかった。
ただ、何気なく聴いていて、なんとなくいいなと思って、知らぬ間にメロディを覚えて、口ずさんだ。そして、歌っているのがスピッツというロックバンドだと知った。それから自然と色々スピッツの曲を聴くようになって、10年以上経った今でもずっと聴き続けている。
気がつけば当たり前に一番近くにいた。必然的に好きになっていた。
そんな初恋だったと思う。

両親に買ってもらったiPodで何度も繰り返し彼らの音楽を聴いて、スピッツはすっかりわたしの日常の一部になった。特に気持ちが弱っているときに聴くと、なぜだか心が落ち着いた。いつもそこには、変わらない何か確かなものが歌われている気がした。柔らかくてどこか懐かしいメロディ。落ち込んでいても、じっと聴いているとゆっくりといつもの自分を取り戻せるような気がしていた。

大学生になり自分でお金を稼ぐようになってから、ライブにも行くようになった。生演奏で聴く草野さんの歌声はCDに全く劣らないどころか、それ以上に透明で鮮やかに響いていた。美しかった。

「8823」のうなるメロディーに跳ねた。「楓」の歌声の切なさに釘付けになった。「涙がキラリ☆」の『二度と戻らないこの時を 焼きつける』という歌詞の意味を心の底から理解した。

2013年の夏、横浜サンセットの野外ライブ会場で、夜空の月を見上げながら聴いた「月に帰る」は特に忘れがたい。

『今日の日 綺麗に過ぎて行く
もうさよならだよ
君のことは忘れない』

どんなに楽しい瞬間にも、どんなに愛しあった人とも、いつか必ず別れが訪れる。でも、心から楽しんだこと、ひたすらに愛したことは消えない。忘れない。終わりは悲しくて、時に切なさや寂しさに絶望しそうにもなるけれど、そこには確かに救いの光がある。スピッツは、そんなささやかな灯りを様々な曲の中で表してくれているように思う。

そして、その優しい光にわたしはずっとずっと支えられてきた。

部活に明け暮れた中学生活、長い受験勉強を乗り越えた高校時代。友達を傷つけた日、母親と喧嘩した日。大学へ向かう朝の電車、アルバイトから帰る夜の道。初めて彼氏ができた冬、別れて一人で泣いた春。就職して一人暮らしを始めた部屋の隅っこで、自分で運転するようになった車の中で。
何度も何度もスピッツを聴いて、わたしは少しずつ大人になった。
たくさんの始まりと、終わりがあった。様々な孤独や不安や悲しみの中で、自分でも気づかない時でさえ、彼らの音楽に元気や勇気をもらっていたのだと思う。

既にわたしの人生の半分以上を共にしてくれているスピッツ。きっとこれからも変わらずに続いていく思い。
恋というよりも、
「ジュテーム?」
そんなところだと思う。

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