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留学生とBUMP OF CHICKEN

強くて真っ直ぐな想い

2016年の8月に私の家にカナダからの留学生がきた。

空港の到着口で待っていると、BUMP OF CHICKENのウィルポリスTシャツを着て出てきた。

カナダからの留学生、日本の音楽やゲームやアニメが好きで、日本が好きになって、日本語を学びたいと思い留学を決意したそう。カタコトの日本語を話す彼ははじめて会ったときのキラキラした瞳が印象的だった。

到着した翌日、Tシャツのことを聞いてみた。なぜBUMP OF CHICKENのTシャツなのか。
「Tシャツは友達に送ってもらった。テイルズ オブ ジ アビスをはじめたときに、カルマを聴いて衝撃を受けた。イントロに心がひかれてボーカルの声に心を奪われた。彼らの歌が好きになって、日本を好きになった。だから日本語を勉強して歌詞の意味をわかるようになりたい。」
早口の英語でそう語る彼はやっぱり目がキラキラしていた。だから
「俺もBUMP OF CHICKENが大好きだよ。」
と伝えた。彼は「奇跡だ!」と言ってバグをした。

彼はとても純粋な人だと思う。
8年くらい日本語を1人で勉強していたらしいけど、それは全部BUMP OF CHICKENの歌の意味を深く理解するため。こんなに真っ直ぐな想いはみたことがなかった。
「音で伝わってくるものだけでも好きだけど、歌詞に含まれている意味を知って、彼らが大切にしているものを知りたい。」

それからいろいろあった。私よりBUMPファンの幼馴染とその甥っ子に偶然出会ってBUMPファンの輪を広げた。
そして、PATHFINDERツアーの発表があった。留学の延長申請中だった彼は、行けるかもしれないと泣いて喜んでいた。
幼馴染からBUMPのラジオがあることを知らされ、手紙を出すことをすすめられた彼は書いては消し、書いては消しの繰り返しで、多分1週間くらいかけてメールを書いた。漢字の変換は手伝ったけど、とても上手に気持ちを伝えているメールができた。送信する瞬間の彼は今思い出してもとても愛おしい。だいじょうぶ?と大丈夫!を何往復もして、BUMPはきっと読んだら喜んでくれるからと後押しして、やっと送信ボタンを押した。

送ってから3週後に聴いたBUMPのラジオで彼のメールが読まれた。彼の名前が呼ばれたとき鳥肌がたった。そしてすぐに彼に聞かせた。とてもうれしいと言ってくれたことが嬉しくて彼は泣いた。ありがとうとLIVEに来てねという言葉が嬉しくてやっぱり泣いた。彼はいつもPONTSUKAを何回も聞いて理解しようとしていたけど、その回はいつもよりたくさん聞いていた。

幼馴染のツイッターにたくさんの人からPONTSUKAの反響があったらしいく、優しいメッセージをたくさんもらったから、幼馴染が彼にもツイッターを始めることをすすめた。するとあっという間に広がって400人くらいのフォロワーさんがいた。改めてPONTSUKAのすごさを知って、彼はひとりでPONTSUKAのスタッフさんに感謝を伝えるメールを書いた。するとそれをまたPONTSUKAで読んでもらえて、すごく感動していた。そのおかげもあって、ツイッターのフォロワーさんは1000人以上になっていた。

彼のツイッターはひらがなとカタカナだけ。でもとても彼の人柄が出ている。優しくて前向きで真っ直ぐな心、何よりもBUMP OF CHICKENが好きだという気持ちが彼の選んだ日本語の中に滲み出ている。だから、みているほうは応援したくなる。

LIVEの抽選が始まって、彼は初めてBUMPのチケットを申し込んだ。それだけでも夢のような経験らしかったが、友人が福岡2日目のチケットが当たって、一緒に行けることになった。その時の喜び方は今思い出しても泣けてくる。

留学の延長申請がとおり、メンバーの誕生日や新曲の発表など、カナダではできなかったことをみんなで共有しながら、LIVEの日を待った。毎日学校やバイトをして頑張っている彼は本当にすごいなと思った。夜遅くに帰ってからも日本語の勉強をしていた。

そしてついにLIVEが明後日となった時、藤くんのインフルエンザによる公演の延期が発表された。これを伝えるのはとても心が苦しかった。振替公演の日程はわからない。行けるのかどうかわからない状況で、発表内容を伝えた。彼は「会うことは夢だからまたいつか叶える。待つ時間がもうすこし楽めると思っておくよ。」と笑顔で話した。
ツイッターにはたくさんの心配と応援の声が集まっていたそうで、「それだけで心がいっぱいだ。」と言っていた。
まもなくして、振替公演の日程が発表された。その日の朝、「とても神秘的な虹がでているよ。」と写真が送られてきた。それは太陽のまわりにできたリングのような虹。調べたらHaloと呼ばれる虹で幸運の虹と言われていた。素敵なお知らせの前触れだった。彼は3.18の振替公演に参戦できることになった。

そしてLIVEの前日、彼はとてもそわそわしていた。服は何にするか、荷物は何をもって行くか、遠足前の子供のようだった。眠れなくて夜遅くまでBUMPの歌の話をした。

LIVEに向かう車からマリンメッセが見えた時、彼は歓声をあげていた。気持ちが抑えられなくてずっと興奮していた。
彼は会場に入るとき、ドアの手前で立ち止まって息をはいて空を見上げ何かをつぶやいた。言葉はわからなかったけどその姿をみて泣きそうになった。
始まるまで、真っ直ぐステージを見つめ拳をギュッと握りしめ緊張感いっぱいに待っていた。暗くなって音が鳴りはじめると彼はうれしそうに目をキラキラ輝かせていた。ずっとみていたいなと思った。
ヒデちゃんが出てきてドラムの音を聴いた瞬間に彼の瞳から大粒の涙が流れた。嗚咽がもれるのではないかというくらいに泣いている彼をみて私も泣いた。そしてBUMPのみんなの音が重なっていくにつれて涙は泣き笑いに変わって、PATHFINDERとモニターにでたとき2人で拳を突き上げて叫んでいた。

LIVEが終わると、最高だったとつぶやいて強く強くハグをした。そのあとの帰る車で彼は静かに物思いにふけっていた。放心状態だったのかもしれない。

家に帰るとすぐパソコンに向かって感想を書き始めた。「ツイッターでたくさん応援してくれた人に早く伝えたい。」といって4時間くらいかかって感想を書いた。
「たくさんのひかりがひかっていてとてもきれいだった。そのひとつがBUMPをすきなひと。カナダではずっとひとりでした。たくさんのひかりのひとつだったこととてもうれしかった。」
この言葉が心にささって、本当にLIVEに行けてよかったなと思いまた泣いた。

彼は8月にカナダに帰ることが決まりました。でも、カナダで大学にいってさらに日本語や文化を学んで帰ってくると言っています。将来は日本の音楽を正しい英語に翻訳して世界に広める仕事をしたいと言っています。

彼が作る英語の歌詞はきっとBUMP OF CHICKENの優しくて、強くて、切なくて、いつも誰かに寄り添ってくれる、そんなところまで伝えてくれると思います。
 

彼が会場に入る前につぶやいた言葉
「あいにきたよ。」

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