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未来へ急げ

2018.3.26 SixTONES 横浜アリーナ単独公演

明日のことは分からないけれど、彼らの未来が見たい。
忘れられないあの日に想いを馳せながら、ぼんやりとそんなことを思う。
 

3月26日、私は新横浜にいた。
鈍行と特急、それから新幹線を乗り継いで地元からここまで来たのは、ジャニーズ事務所に所属する6人組グループ“SixTONES”の横浜アリーナ単独公演を見届けるためだった。
CDデビューをしておらず、ジャニーズ事務所の公式サイトにおいて単独のページを持たない。彼らのためだけのファンクラブも存在しない。そんなジャニーズJr.として活動するSixTONESが、横浜アリーナのステージに彼ら6人だけで立つというのだ。
 

彼らの強みは、空間を隅から隅まで彼らのカラーで染めてしまえるところだと思う。SixTONESのオリジナル曲では、ワイルドなオーラで場を圧倒してファンを興奮の渦に巻き込み、絶対的な存在感を見せつける。ジャニーズの先輩たちの曲のカバーでは、決して二番煎じとは言わせないオリジナリティで聴衆を驚かせ、それでいて本家のカッコ良さを想起させる演出も忘れない。まさに「良いとこ取り」なパフォーマンスは、まるで余分なものを極限まで削り落とし、磨き抜いたダイヤモンドのよう。

そんな彼らの輝きは、横浜アリーナで1万5000人を前にしても惜しげもなく発揮された。
単独公演の幕が開き、メンバーを閉じ込めた檻を思わせるセットが置かれたステージでは次々と火柱が上がる。視覚にも聴覚にも衝撃をぶつけられ「とんでもないことが始まる」と一瞬で感じた。SixTONESが、横浜アリーナを彼らだけのモノにするのだ――待ちに待った記念すべき1曲目は、この日が初披露となるオリジナル曲“Jungle”だった。不敵な笑みをたたえ、檻の中からステージに彼らが放たれていくさまは、ジャニーズJr.という括りから解き放たれ、もっと広い世界へSixTONESが飛び出していく未来の序章のように思えて、鼓動が自然と早くなった。

その後も馴染みのオリジナル曲でぐんと引き上げた会場の熱気が辿り着いたのは意外にも、SMAPの名曲“らいおんハート”だ。それまでの獲物を狩りに行くような「攻め」のモードをガラリと優しさに変え、バラードで観客を聴かせにかかる。
しっとりと会場を包み込んだかと思えば、最初に披露した“Jungle”がもう一度始まり、再びワイルドな魅力を爆発させる。複数の曲をひとつの曲で挟むこのやり口には、ただただ痺れた。ファンの驚きと歓声に確信犯であるかのようにニヤリと微笑み、踊り歌うメンバーの姿はひたすら圧巻だった。
SixTONESは、ひとつのショーを完成させるうえで楽曲の使い方と雰囲気の切り替え方が上手い。大胆とさえ思えるセットリストと演出でファンの想定を良い意味で裏切りながら進んでいくパフォーマンスはあまりに痛快で、1秒たりとも目が離せなくなる。エンターテインメントと呼ぶに相応しいそれは、見る者をみな虜にしてしまうのだ。
 

彼らのグループ名“SixTONES”は、6人が6通りの音を奏で、さまざまな個性を持つ原石であることを表している。それが色濃く現れたのは、各所に散りばめられたそれぞれのソロコーナーだった。
次々と出てくるメンバーとステージを歩きながら楽しげに歌い、ポップな輝きを放つ髙地。彼が作詞したというソロ曲を美しいビブラートで力強く歌い上げた京本。演技のようなダンスで憂いを帯びた自身の世界を創り上げた松村。歌詞や動きに連動したスクリーンの映像を用いたダンスで繊細に魅せた森本。美声を響かせ、彼がアイドルであるとともにひとりの歌手であることを私たちに思い知らせたジェシー。オリジナルのグルーヴィーなラップで会場を飲み込んでゆく田中。

バラバラな6つのカラー。1つずつ堪能するだけでも満足してしまいそうになるが、彼らはそんなところで決して終わらない。この日1番の衝撃が私たちに食いかかったのは、ソロコーナーの最後を飾った田中のラップが終わったあとだった。始まったのは、彼らが歌ってきたオリジナル曲のリミックス。これまで彼らが歩んできた軌跡を目まぐるしく変わる歌詞と音が示していて、こんなことをやってのけるグループが他にいるのだろうかとさえ感じさせる迫力に身震いするばかりだった。同時に、これからのSixTONESをこの目で見届けたいとも強く感じた。

私にとって、ジャニーズJr.を応援するというのは少しリスキーなことだった。Jr.内のグループの解散やメンバーの脱退は公式に発表されてこなかったし、誰かの退所だってそうだった。いつ消えてしまうか分からない不安定な存在であるから、応援することに僅かな躊躇いが生まれていた。CDデビューするグループがいる中、キャリアを積んでもその時期を未だ掴めないJr.もいる。でもSixTONESは、そんな私の不安や焦燥でさえも信頼と歓喜に変えて、これからの景色が見たい、未来が見たい、と思わせてくれた。ある雑誌では「Jr.っていう肩書きのままデビュー組を越せたら面白い」と語ったり、YouTubeの公式チャンネルではグループ最大の目標に「社会現象」「世界的ヒット」を堂々と掲げられる彼らが頼もしくて仕方がないのだ。
 

<つまづいても心配ないからさ/ほら、その目を開けてよ>
<1つの奇跡は 2つに増えてく>

本編最後に歌われた彼らのラブソング“Beautiful Life”にこんな歌詞がある。6人の奇跡が1万5000人と6人の奇跡になったあの日。もっとすごい景色を彼らが見せてくれると確信できたから、SixTONESを信じているから、どこまでも彼らについていきたい。計り知れない輝きと無限大に広がるカラーは、きっと世界をも染めてゆける。
SixTONESの未来へ、急げ。

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