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ロックンロール・マジック

ザ50回転ズの3人が架けてくれたロックンロールの魔法は、止まっていた時間を動きだしてくれた。

もうかれこれ何年も同じ日々の繰り返しを生きている。
私の人生は13歳のある時に時間が止まってしまった。その日に生まれた心の溝は幅が広くて、どう頑張っても渡ることができなくて、飛び越えようと思っても落ちてしまうのが怖くて勇気が出ない。何回か、もしかしたらできるんじゃないかと足を踏み出してみても足が震えて竦んでしまう。

でも、たまにその溝に橋をかけようとしてくれる人たちがいた。その人たちは音楽で私の心の溝に橋をかけてくれる。渡っておいでよ、と一方的にじゃなくて、一緒に渡ろう。向こうは楽しいから。と声をかけてくれる。

彼らの見た目は3人ともおかっぱ頭で、いつみても変わった人だな。なんて笑ってしまう。名前はなんて言ったっけな。確かザ50回転ズとか言ってたかな。
なんて色々考えていても始まらないと、せっかくかけてくれた橋を今回は渡ることにした。
渡ったところでいつもと同じ未来が待っている。どうせ何も変わらないと自分で自分の人生を決めつけていた。

その橋を渡ったとき、新しい世界が見えた、橋を渡った先にあったのはギラギラしていて耳がどうにかなるんじゃないかと思うぐらい爆音で音楽が流れていた。「あれ、さっきの3人はどこに行ったんだろう。」なんて考えてたら私の目はその音楽を鳴らしている人たちを捉えた。
「あ、さっきの3人だ。」そう思った時、彼らをみているたくさんの人の存在に気づいた。その人たちはとにかく幸せそうで、握りしめた拳をあげていた。その空間のなかにいてる人たちはどこか自分と似ている気がして、もしかしたその人たちも彼らが架けてくれた同じ橋を渡ってきた人なんじゃないかと思った。

曲を演奏している彼らに目を向け直す。歌詞が聞こえる。全部は聞き取れないけど、聞き取れた言葉をいくつか頭の中で並べてみた

「なにもかも 変えちまう ロックンロール・マジック」

その言葉を頭でちゃんと理解できたとき、自分が見えていた世界がギラっと燃えて、見えている世界が明るくなった。それと同時に、今まで感じることのできなかった熱さと触れたことのない温もりが体中に走った。その熱さは燃えるような熱さで、ぬくもりは体中を駆け巡り心を包んだ。何故だか分からないけど涙がぼろぼろ零れ落ちる。

ずっと止まっていた時間が「もうそろそろ動いてもいいんじゃないの?」と私に問いかけてきた。返事を考える時間なんて今の私にはなかった。もうここしかない。ここで始めるしかないんだ。

ずっと冷たかった私の心に、やっと火が付いた。そんな気がした。

橋を架けてくれた3人が、私の心に明かりをともしてくれたのかもしれない。いや、そうだ。ある日突然私の前に現れて、突然橋を架けてくれたあの3人のおかげで、私の人生の時計はぎこちない音を鳴らしながらも、また動き出した。その音は聞くとなんだか恥ずかしくて、周りの人の音と比べて笑っちゃいそうになる音。
それでも自分の新しいスタートに何故だか心がほころんだ。

私は今まで通り、同じ道を歩き、あの橋を渡り、元いた場所に帰る。
いつもなら「もうここにはこれないな」と諦めていた道をまたゆっくり歩いて帰る。
もう私は、橋を自分でかけることができるんだ。

あの瞬間、3人が鳴らしたロックンロールの魔法に、私はかかってしまったんだ。

橋を架けたいときに心で唱える言葉は彼らが言ってたあの言葉

「なにもかも 変えちまう ロックンロール・マジック」

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