908 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

11歳のLEGO BIG MORLと過ごした1年と12歳の誕生日

心臓を掴まれて全てが覆された

結成日を誕生日というバンドがいる。

LEGO BIG MORLだ。

1年前の2017年3月28日、彼等はこの日に結成11年目を迎え、ワンマンライブを行った。
今思い返してみても、盛大な誕生日パーティーだった。終盤に彼等の代表曲のひとつ「RAINBOW」で惜しみ無く照らされるステージを背景に紙吹雪が飛び散った光景は、11歳の彼等をこれでもかといわんばかりに祝福しており、その光景に目頭が熱くなった。とても幸福に満ちた11歳のスタートだった。

その翌日、2017年3月29日、過去最高傑作と言い放っていた5枚目のアルバム「心臓の居場所」がリリースされた。
月並みな言葉だが、本当に衝撃的な1枚だった。看板に偽りなしとは正にこの事だろう。発売から1年経った今でも、あの身体の芯に刺さるような感覚は色褪せないし、1冊の美しい物語を読み終えた様な気分と、初めて聴いた時に流した涙ははっきり覚えている。

「心臓の居場所」の曲の全てがあまりにも好きで、告知されたアルバムツアーは3ヶ月の11公演という限られたタイムリミットの中で都合の付く公演は全て行った。どこへでも行った。
バンドのアルバムツアーに行ったことのある人なら経験のある話かもしれないが、これを逃すとアルバムに収録されている全ての曲がライブで聴けなくなるかもしれないという焦燥感。これだけがその時の私を駆り立てていたし、自分でも驚く程の行動力を発揮していたと思っている。
それ故かツアーの最終公演に行くのがとても怖かった。これでこのアルバムの曲が全て聴ける日が終わってしまうという事が私にはとても怖かった。
けれどもいざ公演を目の当たりにしたら、そこには次への、未来への期待をさせてくれる結末しかなかった。
もちろん暫くライブで聴けなくなるであろう曲があるのは恐らく間違い無かっただろう。なので今日このライブを全て染み込ませて帰れたら、と入場してから公演が始まるまでに思えていた。音楽は目に見えないし、文字として記録することが出来ない。いつか忘れてしまうのかもしれない自分の記憶に留めることしか出来ない。あの公演から数ヶ月経った今となっては全てを思い出せるとは言い切れないが、あの日に聴いた「心臓の居場所」に収録されている「melt」のメロディが全身の力が抜ける程に美しくて、大袈裟な物言いかもしれないがその場で倒れてしまいそうな程だった事はまだ脳裏に焼き付いている。
また、この日とその前の公演の2公演のみに披露された新曲「一秒のあいだ」で彼等の次の未来に心がとても踊った。
 
 

いつからLEGOにこんなにも心揺さぶられていたのかと思うと、決して長いわけではない。
2015年の12月にとあるツアーでLEGOが地元のライブハウスに来た。この時はなんとなく音楽を聴いたことがあり綺麗な歌詞のバンドだな、くらいにしか思ってなかった様な気がするうえに、メンバーの名前どころか人数すらもよく知らないという程だった。実際この日も別の出演バンドを目当てに見に行っていた。
この頃の私はある意味身辺整理のようなものを行っていた。この時点で既に20代半ばであり、なんとなくライブからの「卒業」の準備をしていた。趣味に年齢なんて関係無いし、SNSを開けば自分と歳が変わらない人やもっと歳上の人達がライブに楽しそうに足を運んでいるのは分かっているものの、いざ現実を見渡したときに「いつまでこんなことしているのか」という言葉にし難い空気や言葉に触れる事が増えた。20代そこそこの妹の友人にアイドルが好きな人がいるが「25歳までには卒業したい」と言っていたそうだ。ジャンルは違うし、理由は人それぞれあるだろうが何となく言わんとしていることは察していた。
また諸説あるが人間の脳は25歳までに完成するらしく、それ故に新しいものに触れることに時間が掛かる、という話を聞いたことがあった。当時既に私も該当年齢を迎えており、その話に思い当たる節も少々あり音楽やライブでそういった衝撃を受ける事が減るのかもしれないし、なんとなく寂しいが「卒業」の準備にはいいきっかけなのかもしれないなとぼんやり思っていた。
ところがあの日初めてライブを目撃したLEGOはとてつもなかった。ただただ楽しかったのだ。
曲もタイトルも殆ど知らない、なんで今まで、少なくとも今日までにちゃんと全部聴いてこなかったんだという後悔とその日の楽しさが綯い交ぜになった。
思えばあの日に私の中にLEGO専用の容れ物が出来た。曲を聞く度、ライブに行く度に容れ物が満たされていくのが分かった。そして11歳の誕生日パーティーと「心臓の居場所」でその容れ物が決壊している事に気付いた。出会った時の大きさでは収まらない事に。
ああ、とんでもないバンドを好きになってしまった、と容れ物から溢れた感情がぼろぼろと目から溢れる事で気がついた。
脳の年齢がなんだ、現実がなんだそんなもの知るか、私はあのバンドに全て覆されたんだと言わんばかりに翌年にはもう一度彼等の音楽に触れたくて遠征していた。
 
 

2018年3月27日、そして2018年3月28日
LEGO BIG MORL最後の11歳の日と12歳の誕生日。
この2日間でメンバーがどこかで発言した誕生日パーティーと銘打ったライブが開催された。これほどまでに自分達の誕生日を大切にしているバンドやアーティストを私は他に知らない。
27日はアコースティックライブ、28日はロックライブと事前に告知されており2日間異なる演出でライブが開催された。
様々なバンドがワンマンライブやフェス、イベント等で弾き語りやアコースティックライブを行っているが、私は今まで機会が無く、今回のライブが初めてのアコースティックライブだった。
いつから始まったのか、台本なのかアドリブなのかすら分からないLEGO独特の会話から始まったアコースティックライブはまさに彼等にしか出来ないライブの始まり方だった様に思える。最初にも触れたライブの定番曲「RAINBOW」では普段はやらないフロアとのコールアンドレスポンスのレクチャーや、心揺さぶられる程澄んだカナタタケヒロの未来の弾き語り。笑いに溢れるコミカルなものから感動に包まれるもの全てを含めてこの日にしか出来ないであろう特別な公演でありとても心臓が震える公演だった。最後に「明日もいい日になるように」と手向けられた「a day in the live」の光景はとても素敵な11歳の最後だった。初めてのアコースティックライブがLEGO BIG MORLで良かったと心から思えた。
12歳のバースデーライブではバンドのバックに映像を映し出す演出が用意され、「end-end」では歌詞の物語を彷彿とさせる様な鼓動の数字が減っていくカウントが映し出されていてあまりにもそれが綺麗で、数字が減って行くことに不思議な恐怖すら感じた。
この日最後の曲「正常な狂気」で映画のエンディングテロップを思わすクレジットの流れにあまりの興奮で涙腺が歪み、曲の終わりと同時に締め括られる絶妙なタイミングのテロップと同時に映し出されたLEGO BIG MORLの次の未来であるツアーの日程が映し出された時の全ての興奮は言葉に出来ない程でただただその日の素晴らしさと次なるツアーが嬉しくてぼろぼろと泣いた。
次のツアーではアコースティックライブとロックライブの同日開催が告知され、あの日味わった濃密な2日間を1日で味わえるかもしれない未来に期待しかなかった。
12歳の誕生日パーティーもとても掛け替えのない公演だった。
誕生日パーティーでタナカヒロキは言った「これからもずっとやっていきますよ」と
何が起こるか分からない人生、いつまで行けるのか分からない。いつまでもバンドがあるのかも分からない。
「いい大人が」と言われてるのかもしれないし、言われるのかもしれない。「卒業」を試みた私の人生は素晴らしい音楽に出会えたあの日をきっかけにとんでもなく今楽しくて、今の自分の行動に後悔なんて全くしていない。ああ、とんでもないバンドを好きになってしまったなあ、とまた開催されるであろう誕生日パーティーで反芻する1年を私はとても楽しみにしている。
 
 

素晴らしい1年を有難う。11歳のLEGO BIG MORL

そしてお誕生日おめでとう12歳のLEGO BIG MORL

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい