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等身大を映すバンド

無頼なNICO Touches the Wallsのロック

 2017年7月23日、福岡で行われた夏フェス「NUMBER SHOT 2017」。当日の気温の暑さと出演したバンドたちの遺憾無く発揮された熱気と重なって会場は異様な盛り上がりを見せていた。そんな中フェスの中盤あたりで登場したのがNICO Touches the Wallsだった。リハのためにステージに姿を現した彼らは客席に手を振る訳でもなく淡々と楽器のチューニングを合わせたり楽器の感触を入念にチェックしていた。
 他のバンドはリハでも本番と同じように客席を煽ったりして会場のボルテージを上げていたのだが彼らはそんなこともせず、着々とリハをこなし何曲か歌った後、Vo光村龍哉が一言だけ呟いた。「じゃあ本番よろしくお願いします。」
 一見他のバンドにくらべてテンションが低い感じもするがそうではない。これが彼らのスタイルなのだ。彼らは客席に向かって過剰なほどの盛り上がりを要求はしないのだ。自分たちが奏でるロック、もっと言えば音楽の力を強く信じているからこそ客席に音を託しているのだ。現に本番では盛り上がりが欠けることはなく、フェスの熱狂も止むことはなかった。
 

 僕がNICO Touches the Wallsが好きな理由。それは音楽やライブに向き合う姿勢。もちろん楽曲の良さ、歌詞、演奏力の高さも好きな理由の一つだ。ただ彼らのその姿勢は全くと言っていいほど媚びない。自分たちが作り上げた音楽に盤石な自信があるからこそファンに対して盛り上がることを強制しない。一切をこちらに託してくれる。託されたファンからすればこんな嬉しいことはない。だからこそこちらも一生懸命応えようとする。そういった関係を築いてきたからこそ、ライブでは演者とファンの相乗効果が生まれるためボルテージが上がり続ける。 彼らのそんな姿勢を象徴するエピソードがある。昨年に行われたツアー「Fighting NICO」のライブ中のMCでVo光村は「勝手に楽しんで帰ってください」と言ったという。ファンと自分たちの音楽を信頼してるからこそこんな言葉をかけられるのだろう。
 

 音楽の力を信頼するということは音楽を愛するということと同じだと思う。NICOは屈指の音楽マニアだという。特にVo光村は洋楽から邦楽、歌謡曲全般を聞くほどの音楽大好き人間だという。だからNICOの曲はロック調な曲もあればカントリーを入れた曲やムーディーなバラードもあるなど幅広いレパートリーがあり、そのどれもが魅力的だ。こういう芸当ができるのも様々な音楽のジャンルに精通し、引き出しを開けることができるからこそNICOの音楽はいつも広い世界をファンに見せてくれる。
 

 NICOの音楽との姿勢について書いてきたけれど、これは僕にとっては憧れの生き方でもある。飾らない、自分をしっかり持つ。書くのは簡単なことだが実際これを貫くことは結構難しい。今年NICOのメンバー全員は33歳を迎える。自分も30代を迎える頃にはこんなかっこいい大人になれるのか?とりあえず今からNICOの曲を聞いて勉強してみようと思います。

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