890 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

転がり続けろ、王道ロックバンド

彼らのUNISON SQUARE GARDEN

 2004年7月。ある男は、自らがボーカルを務めるロックバンドをやってみたいと思っていた。高校時代のバンド仲間にベースの上手い奴がいたので、そいつをベーシストとして誘った。次に、2人でドラマーの候補を色々選んだ末、最有力候補の後輩に断られたので、同じく高校時代のバンド仲間の1人を迎え入れる結果となった。
 同月に初スタジオ入り。初めて演奏されたオリジナル曲の名前は”星追い達の祈り”である。
 ――そして結成されたバンドが、後のUNISON SQUARE GARDEN。

 彼らはライブを中心に活動し、着々とその名を世間へ広めていった。然し、易々と彼らの思い描いた「カッコいいロックバンド」が受け入れられたわけではない。縦横無尽にステージを動き回るベース、キメを多用した主張の激しいドラム、甲高く感情表現の激しい歌声に何処か浮世離れした歌詞、etc.……。
 大会で結果は残せても、全ての審査員にその独自性がまともに評価されていたわけではないだろう。寧ろ、Ba.田淵智也の世界観と作曲家としての資質は蔑ろにされる事が多かったという。Vo.&Gt.の斎藤宏介にのみ、あるメジャーレーベルから声が掛かった事もあるというのだから、やはり当時はあんまりな評価だったのだろう。

<ロックだけで 暮らしていけるなんて 言い訳にしか聞こえません(センチメンタルピリオド/UNISON SQUARE GARDEN)>

 だけど、それでも。

<モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを(フルカラープログラム/UNISON SQUARE GARDEN)>

 ロックバンドはロックバンドで在り続けたい。

 活動を続けて4年、トイズファクトリーよりメジャーデビュー。翌年4月には初のフルアルバム「UNISON SQUARE GARDEN」をリリースし、邦ロック界隈にその名を知らしめた。キャッチコピーは”ロックバンドは、楽しい”――至言である。
 音楽番組のタイアップも貰って、ラジオでも曲がどんどん流れ、一気に国民的スターなどというわけではないが上昇気流に乗っていた……のだが、ここで彼らは一旦完成してしまう。

 あらゆる分野において、壁にぶつかるというのは当然の事である。だが同時に、受け入れ難い事でもある。数人で活動し展開していくバンド音楽の――それもメジャーデビュー済みであるなら猶更だろう。実際、2ndフルアルバムを出していた辺りのバンド内の空気は最悪だったと、後に語っている。
 2010年11月――それまでバンド内外で発表している、ほぼ全ての楽曲の詞曲を作っていた田淵にとって分岐点となる事件が起きた。斎藤が詞曲を行った楽曲「スカースデイル」が4thシングルとして発売されたのである。
 それまでバンドの楽曲制作を担っていた人物からしたら、プライドを傷付けられる程度の衝撃では済まなかっただろう。
 停滞を終わらすには変化しかありえない。誰が悪いでもなく、皆が変わりたかった。だから、彼もバンドの為に新たな進化の方法を模索する。

 2011年5月、田淵智也が作詞作曲した5thシングル「オリオンをなぞる」をリリース。UNISON SQUARE GARDEN史上初のピアノ・ストリングスが導入された意欲作である。アニメタイアップ効果も相乗してか、初の累計売上1万枚を超すなど好セールスを記録した。
 同年7月に発売された3rdフルアルバムではオリコンで初めて10位台にランクインするまでの伸びを見せ、徐々に壁を破る。

<「ココデオワルハズガナイノニ」(オリオンをなぞる/UNISON SQUARE GARDEN)>
 そう、ここで終わるはずが無い。終われない。だから、ロックバンドは足掻いた。

<頭では鳴っているはずなのに未完成バラ色ソナタ(マスターボリューム/UNISON SQUARE GARDEN)>
 彼ら流の、ロックンロールの鳴らし方を探し続けて。

「オリオンをなぞる」や「Populus Populus」で感じた手応えを信じ、進み続ける。
 ピアノ・ストリングス・ホーンが全体的に多用された大作の4thアルバム「CIDER ROAD」、更に4thとは打って変わってバンドアンサンブルを全面に押し出し、我流のロックとポップを融合させたサウンドの具現化を図った5thフルアルバム「Catcher In The Spy」。
 着々と進化し続け、5thではオリコン5位にまで上り詰めて見せた。

<君が握るその何でもなさそうな想いはもう輝きだした(シャンデリア・ワルツ/UNISON SQUARE GARDEN)>
<だけど花盛りなのでご愛嬌(天国と地獄/UNISON SQUAREGARDEN)>

 止まらない無敵感。

 ポップを追求しても実のところ、彼らの着地点はいつだってロックンロールである、はずなのだ。
 斎藤がポリープに罹って、バンドの軸である歌声に変化を起こさざるを得なくなった。歌声にマッチし、新たに活かせるような方向性・可能性を開拓した。
 思わぬ偶然でシングルが売れ、世間の注目を浴びた。それに冷や水をかけるように、自らの音楽性・路線解剖の為のアルバムを出した。
 一挙にタイアップが押し寄せてもそれに応え、曲を出し続け、名盤への繋ぎにし――更に、その名盤を新機軸へのクッションとした。
 未来永劫リスナーとは他人であると主張するロックバンドは、信念を変えぬまま転がり続けている。誰でもなく、自分たちが音楽を鳴らし続ける為に。

<蓋然性合理主義の正論に揉まれて 僕らの音楽は道具に成り下がる?(シュガーソングとビターステップ/UNISON SQUARE GARDEN)>
<ああ それでもまだちっぽけな夢を見てる 目立たない路地裏で超新星アクシデントみたいな事(プログラムcontinued/UNISON SQUARE GARDEN)>

 何処までも転がって行け、王道ロックバンド。
 

 ”ざまみろ、これは僕らの歌だ。”

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい