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悲しみと向き合う強さ

RADWIMPSと3.11ソングと青とメメメの記憶

「空窓(そらまど)」
 

昨年3月31日をもって休校となった福島県立浪江高校の生徒の手紙をもとに、
RADWIMPSが曲を発表した。

「できるだけその言葉から受け取った想いを、過不足なく音にのせようと思いました。」
というコメントの通り、これまでの3.11ソングにはない、直接的な内容になっている。
メロディーも、いつものドラマチックさが削ぎ落とされていて、
淡々と語られる言葉が、ただただ、あの日誰もが感じた悲しみを呼び起こす。
まるで感情の蓋を静かに外すみたいに。
 

RADWIMPSの音楽、活動は
3.11の影響を本当に大きく受けている。

東日本大震災が起きたのは、RADWIMPSが
東北での「絶対延命ツアー」を控えていた矢先だった。

そのリベンジとして、初の野外ワンマン、「青とメメメ」も宮城県で開催した。

思えば、RADWIMPSは、いつも誰かの痛みを痛すぎるくらいに、感じて、思って、歌ってくれた。
そんなRADWIMPSにとって、あの日の出来事は大きすぎた。
誰かの痛みに敏感なRADWIMPSが、あの日からどれだけの気持ちを受け取ってきたのか。

青とメメメは、それがひしひしと伝わってくる、そんな、RADWIMPSと、参加者みんなの、うずまく感情でいっぱいのライブだった。
 

私は、それなりにロックが好きだ。
それなりにロックバンドのライブをたくさんみてきた。
だけど、青とメメメはそれら全てと一線を画す体験だった。RADWIMPSの他のライブも含めてだ。
 

あの日の天気は最悪だった。
朝から雨が降った。天気予報も絶望的だった。
みちのく杜の湖畔公園のコンディションも悪くなり、
雨に降られた足もとはドロドロになるほどだった。

それなのに、なぜか開演直前にピタリと雨は止んだ。運命的な何かを感じずには居られなかった。
雨は嘘みたいにやんで、当たり前のようにライブは始まった。
 

「会いたかった」
感情と感情が、そう言ってぶつかり合うみたいだった。
ポジティブなエネルギーも、ネガティヴなエネルギーも
全て乗せて、ぶつかり合って、心から笑ったり、心が張り裂けるほど泣いたりした。
 

洋次郎は、被災したピアノで、時折泣きじゃくりながら「螢」や「ブレス」、「ブリキ」を歌った。
いつも隠している悲しみや喜びを、あの場所では誰1人隠さなかった。
私も泣きながら、美しく繊細なピアノの音色と、あの場所の静けさを一生懸命心に留めた。

降り続いた雨にぬかるんだ地面のせいで
ライブの終わる頃、気が付いたら足は泥まみれだし、たくさんの切り傷ができていた。
そんな事には一切気がつかないくらい
私はうずまく感情に精一杯向き合っていた。
 

青とメメメ。あの日の経験は、紛れもなく「強さ」だ。
喜びも、幸せも、悲しみも、後悔も
全ての感情にまっすぐに向き合った。
あの日あの場所で流れた涙は、まぎれもなく強さだった。

そして、青とメメメの記憶を持つ私は、それまでの私より強くなった。
感情と向き合うことは怖くない。
RADWIMPSが私にそう教えてくれた。
 
 

RADWIMPSは、その後もたびたび3.11ソングを公開している。

「春灯」「あいとわ」「空窓」

わたしたちはこの悲しくて優しい歌を聞くたびに、
そして、「青とメメメ」という特別な体験を思い出すたびに、
あの日に、今はもういないあの人に、胸が張り裂けてしまったあの人の痛みに
それぞれ想いを馳せる。
 

私たちには、3.11の記憶は痛すぎる。
だからこうやって、この日だけは蓋を外して
痛いけど、思い出すから。

そんな風に優しく歌ってくれる歌がある。
それだけで私も、あなたも、空の上のあの人も、
少しだけ救われるんじゃないか。
 

悲しみに向き合うことは、強さだ。

せめて1年に一度だけでも。
悲しむ強さをくれる歌を、今年も受け取ることができた。

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