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フジファブリックと私

デビュー14周年記念日のライブを見て

2018年4月14日、フジファブリックのデビュー14周年記念日。
この日にZepp DiverCityで行われた彼らのライブへ行った。

彼らの音楽が心に染み、いろいろな感情が何度も生まれ、笑ったり泣いたり、顔面が常に忙しかった。「最高」という言葉では勿体ないほど、「最高」な夜だった。

ライブが終わり、ひとりになった帰路で、ふと今までのことを思い返していた。

私がフジファブリックを知ったのは、2007年の春。
中高一貫校に通っていたのに別の高校へ行くことにし、中学の卒業式でひとり大泣きしていた私に、友人が「(当時よく聞いていた)キャプテンストライダムが好きなら、フジファブリックってバンド聞いてみて」と『虹』を教えてくれたのがきっかけだった。

ー 遠く彼方へ 鳴らしてみたい 響け!世界が揺れる!

「なにこの曲とても好き」と一瞬でびびっと来て、今までのアルバムをすべてCDショップで借り、高校に進学してからも長い通学時間によく聴いていた。翌年に出たアルバム『TEENAGER』の発売日には、バイト後急いで買いに行き、翌朝の電車の中でにやにやしながら聴いた気持ち悪い記憶がある。
摩訶不思議な世界や、どこか儚くぐっとくる世界、ぱっと明るくしてくれる世界、とにかく聴いているとまるでテーマパークのようにさまざまな景色を見せてくれる、そんな彼らが生み出す音楽が大好きだった。脳内で別の世界が広がっていく感覚が、まだあまり音楽と親しみがなかった私には新鮮でたまらなかった。

2008年、そんな私を見ていた母がライブのチケットを押さえていてくれた。
嬉しくてたまらなかったが、日程を見ると中間試験期間と重なっていた。「さすがにテスト中は行けない」と諦めた。行きたい気持ちは勿論強く持っていたが、高校生の私にとっては「中間試験」というのは大きすぎる壁だった。
代わりにその時「必ず大学受験が終わったらフジファブリックのライブに行く」と決心した。

この時は、まだその時の「フジファブリック」が続くものだと思っていた。だからこそ、「ま、今後も行けるしな」と諦めることができた。
その時の「フジファブリック」のライブに、受験後に行けるものだと思っていた。

2009年、大学受験生になり、勉強の合間に『CHRONICLE』のアルバムを聴いていた。おもちゃ箱のようにいろんな色・かたちをした曲が入っているこのアルバムがとにかく大好きだった。特に『Sugar!!』の歌詞には何度も何度も励まされた。走れ私。志望校行くために、全力で走れ私。聴きながら自分に言い聞かせた。

ー 全力で走れ 全力で走れ 36度5分の体温
  上空で光る 上空で光る 星めがけ

がんばったら、大学生になったら、絶対絶対彼らのライブに行くんだ。きっと生で聴いたらまた新しい世界を見せてくれるはず。そう信じていた。

2009年12月24日、「イブくらい息抜きしよう」と、午前中にセンター試験会場の下見と称して友人と埼玉から都内へ来ていた。
お昼頃、別の友人から突然「志村が死んだ」とメールが来た。
「え?どの志村?けん?」と返信すると、すぐに「ちげぇよバカ フジのだよ」と返ってきた。
なにいってんだこいつと思い、携帯電話で検索すると、ニュースにもあがっていた。
え?なにいってんだ世界。
その後、他の友人からも「ねえフジファブリックのボーカル亡くなったって」とメールが届いた。あれ、この子も何言ってんだ。まさか。
私、まだ生で志村さんを見れていない。だってまだ志村さんって20代でしょ。そんなそんな。
信じていないつもりだったが、予備校へ戻り思い出してしまい、トイレで泣いてしまった。
その日の夜、部屋で『Sugar!!』を聴いて大泣きした。

ー 空をまたいで 君に届けに行くから待ってて

本当に志村さんが空に行ってしまった気がして辛かった。
受験終わったら会いに行くつもりだったのに。なんで昨年のライブを「中間試験だから」と諦めてしまったんだろう。なんで、なんでなんでなんで。もう二度と「フジファブリック」に会うことができないのかな。
それから虚しさに襲われそうで、彼らの音楽を聴けなくなった。

大学に進学してからも、フジファブリックをなんとなく避けていた。
3人で再始動したことはインターネットを通じて知った。が、今までの「フジファブリック」と違う「フジファブリック」を聴いたり見たりするのが怖かった。再始動後のツアーも、怖さから行けなかった。情報だけは仕入れていたが、それ以上のことはしなかった。
私が好きだった「フジファブリック」は、もういないものだと思っていた。音楽プレーヤー上でしか会えないものだと思っていた。

とある日、バイト後深夜に自宅に着き、ふと「そいえばそろそろフジがオープニング曲のアニメ始まる時間だ」と思い出した。いま、どんな感じなんだろう。やっぱり気になってしまい、ぽちっとテレビをつけてみた。オープニングなら尺短いし、それだけ聴いたら明日も講義あるからとっとと寝よう。ただの興味本位だった、はずだった。

ー 遥か彼方まで行きましょう
 チョコドーナツ気楽にかじりゃ 希望期待持てるでしょ?

あれ、フジファブリックだ。これ、フジファブリックじゃん。

自分でもひくくらい、イントロから嬉しくて泣いたことを今でも鮮明に覚えている。
フジファブリックは、続いていた。なんで今まで避けてたんだ。
結局呆然としたままそのままアニメも観て、今までの曲を久々に聴き、寝坊して翌日の講義に遅刻した。それくらい大きな衝撃だった。
再始動後にリリースされたアルバムもレンタルして聴いた。
やっぱり、「フジファブリック」だった。避けてた自分に腹が立った。なにしてんだばかやろう。「フジファブリック」は続いていた。勝手に終わらせてんじゃない。

2012年、埼玉のライブハウスでライブすることを知り、すぐチケットを取った。2008年の後悔から4年後、やっと自分の手で彼らのライブチケットを買った。当日バイトをしていた午前中はずっとそわそわしていた。
会場に着き、Tシャツに着替えて、いよいよ。
きっと、志村さんがいた頃の曲はあまりやらないんだろうな。心の奥ではそう思っていた。
だからこそ、1曲目にメジャー1枚目のアルバム『フジファブリック』収録の『TAIFU』を演奏するなんて、予想外の事態だった。イントロが演奏されているとき、まだ何が起きているのか脳が追いついていなかった。

ー 飛び出せレディーゴーで 踊ろうぜ だまらっしゃい

モッシュでもみくちゃにされながら、「ああ、やっとフジファブリックのライブに来れたんだ」と実感した。高校時代に聴いていた曲を、いま目の前で演奏してもらって、生で聴けている。CDとは違ったが、全身で楽しんでいるのは間違えなく「フジファブリック」の音楽だった。
「この時間が、ずっと続けば良いのに」と何度も何度も思った。最後の『銀河』が終わってしまうのが寂しくて寂しくて仕方なかった。

ー U.F.Oの軌道に乗ってあなたと逃避行
  夜空の果てまで向かおう

「やっぱり私はフジファブリックが好きだ」と強く思った。
そして、思っていた通りライブでは別の世界を見せてくれた。目の前での演奏、照明、客席の雰囲気。フジファブリックが作った世界だった。すべてが、最高だった。

それからは彼らのさまざまなライブやステージを見た。新しいCDが出ると必ずと言っていいほど聴いた。変わっていなかったフジファブリック。心配する暇がないほど、どんどん彼らが好きになっていった。良い意味で、ずっと「フジファブリック」のままだった。

そして、2018年の4月14日。
セットリストが毎回変わるツアーの追加公演。フジファブリックデビュー14周年。デビュー日のライブは、初体験だった。
1曲目のイントロが始まった瞬間、驚きと嬉しさと感動で涙が出た。

ー 桜の季節過ぎたら 遠くの町に行くのかい?

彼らのデビュー曲『桜の季節』。始まりの曲から始まるなんて。えええ。
この大切な日にデビュー曲を聴けただけで、もう特別な夜になってしまったと思った。
個人的に思い入れの強い『Sugar!!』や、また世界に引き込んでくれた『徒然モノクローム』など、大好きで大切な曲をたくさんたくさん聞くことができた。

そして、アンコールラストは彼らを知ったきっかけになった『虹』。デビュー日に聞けていることがただただ嬉しくて、ずっと泣いていた。

途中で披露された、新曲の『電光石火』。『Sugar!!』の色が乗り移ったような曲。
サビを聴いた瞬間、大学受験生の頃を思い出した。

ー 電光石火 突っ走れ 電光石火 超えて行け
  遥か彼方 イメージの先へ

突っ走れ。
社会人になった今も、違う形で、同じようにまた励まされてる。「フジファブリック」の音楽がそうしてくれることが嬉しかった。続いていてくれていることが、何よりも嬉しかった。

「ずっとずっと、彼らの音楽が続いていきますように」そう強く思った。
だからこそ、今までのことを思い出した。きっと、いろんな人がいろんな思いを持って今日ライブハウスにいたんだろうな。いろんなストーリーがあの会場、ステージにも客席にも舞台裏にもあったのだろうな。自分のことを思い返しつつ、そんなことを考えていた。

改めて「好き」を認識した夜。ありがとうフジファブリック。

山内さんもMCで言っていたが、本当に何年何十年と長く長く続いてほしい。
きっと、これからもいろんな世界を見せてくれ、元気をくれるフジファブリック。

これからも、楽しみにしているね。

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