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開けた扉の先にみつけたもの

BUMP OF CHICKENの音楽に出会って

音楽を聴く。
ラジオを聴く。
リリースのお知らせにわくわくする。
インタヴュー記事やライヴレポートが掲載される雑誌が出ると知れば、書店へ行く。
ライヴのチケットを、スケジュールやお財布と睨めっこしながら申し込んで、当落の判る日は、朝から落ち着かない気持ちで過ごす。
その結果に一喜一憂する。
貴重なその切符が手に入ったなら、どうかその日が来るまで、自分にも身近な人にも、ご本人達にも何も起きないことを祈る。
当日、道すがら見かけるツアーグッズを身につけた人全員と握手したいくらいの気持ちで会場に向かって、お友達とも初めましての方とも、お名前を知らない方とも楽しみましょうねって言葉を、笑顔を交わす。
自分が何かをするわけでないのに緊張しながらゲートをくぐり、開演を待つ。
全身を光と音に歓声に包まれて、泣いて笑って、さあ聴かせてと言われたら声を上げる、拳を突き上げる。
体はへとへとで、声も語彙も枯れて果てて、いつもよりほんのちょっと頑張ったお化粧も涙で剥げきって、お腹も減って、とにかく色んなものを出し切って空っぽになった体に、大きな幸せと寂しさを抱えて帰る。
そうしてまた日常に戻る。

こんなのは一体いつぶりだろう。
2016年のSTADIUM TOUR “BFLY”の前に行った、別のアーティストのライヴが学生時代だから、それこそ下手をすると15年も前だ。
もっとも学生時代は、好きなアーティストに情熱をかけるにも先立つものがあまりなかった。ライヴに行くこと、グッズとか雑誌とか、何かモノを買うことが「好きの証」だとは欠片も思わないけれど、それを踏まえてもこの突っ走りっぷりは、いつぶりというより人生初めてかもしれない。

「大好きなもの」を見つけて、ーーBUMP OF CHICKENと彼らの音楽に出会って、私は確かにすくわれて、活性化された。
彼らの沢山の音楽が、なかったことにしようと閉まっておいて、ほこりを被らせていた気持ちを拾ってくれた。「それ捨てなくても、持っていたっていいじゃない?」と言ってくれた。そんな彼らの音楽を、音楽を真摯に届けてくれる彼らのことを大好きになった。
それからの私はやたらとアクティブで、初めて自分でチケットを取り、人生初の遠征もし、彼らの音楽を通して出会った人に会いに、1人で遠方にも行った。これまであまり1人で遠くへ行くこともなかったし、付き合いも広くなかったから、家族は不思議な気持ちで見ていたろうと思う。
正直に言えば、私自身が一番びっくりしていた。色んな年代の、色んなことをしている方が、私を「友達」だと呼んでくれる。大人になってから友達を作るのは簡単なことではなくて、これは本当にありがたいことだ。そうして広がって行った世界は、まさしく「虹を待つ人」のようだった。

“そのドアに鍵は無い
開けようとしないから
知らなかっただけ”
<虹を待つ人>

実は、今私がこの文章をせっせと書いているのも、「すくわれ」て「活性化された」結果の一つだ。私は割と長いこと物書きに憧れていたが、憧れ以上のものにできずに手を離してしまった。
だけど、夢は夢として持っていていい、望んでいい、迷っていい。そう気づかせてもらったから、こうしてできるところから、誰かに伝えたいことを綴ってみている。
少し話が逸れてしまうかもしれないが、PATHFINDERツアー中や、ツアーが終わった頃、ここ「音楽文」にも結構な頻度で彼らの名前を見かけた。沢山の人が彼らの音楽に触れて、悲しい出来事を乗り越える力や、平坦なようで大変な日常を歩いてゆく力をもらっている。そのことを伝えたいと思っている人たちがいる。私を含めて、それを受け取った人の心が動く。なんて素敵な連鎖だろう、と思っている。

ツアーは終わりを迎えたけれど、新しい歌の制作に入られていると聞く。届けてくださる音が、またこんな風に、誰かの毎日を色あざやかにして、こころを繋げてゆくのだろう。
すぐそばにあったのに、気づかなかった扉。開けたその先に待っていた世界。
ここに来られたことを、私はとても幸福に思う。

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