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静寂という一体感

ONE OK ROCKがドームツアーをやる意味

昨年、アルバム『Ambitions』をリリース。それを引っさげて世界で行われたツアー。締めくくりにまさかの、日本で凱旋ドームツアー。

勢いがとどまることを知らない彼らのステージを大規模な空間で目撃できることを心待ちにしていた。

大阪公演2日目。

『未完成交響曲』や『Cry out』、そして普段は終盤に披露することが多い『キミシダイ列車』など、初っ端からアガる曲を連発。

でも…普段とは違う光景に違和感を感じた。
全席指定のドーム公演。
当たり前だがサークルやモッシュはできない。

特に『Cry out』でいつもTakaが煽り、それに応えるようにできるサークルを見ることができないのには寂しさを感じた。

サークルやモッシュが起こってこそワンオクのライブ。
そんな固定概念が邪魔をしてふとこんな風に思った。
全席指定のドーム公演。それをワンオクがやる意味とは。
 

ライブ中盤でTakaもずっとこのドームツアーをやる意味を考えてきたと話し、そろそろワンオクは第2章に入らないといけないのだと強調していた。

それはセットリストや演出からも感じられた。
今までを振り返りつつ、またここから先へ進んでいくために初心を思い返す意味もあっだのだろう。
かなり久しぶりにメジャーデビュー曲『内秘心書』を演奏したり、活動を始めた2005年から今年までのライブ映像を流したり。
これまでの歩みがぎゅっと詰まった内容だった。
 

でも、一番ドーム公演をやる意味を感じたのは静寂がうまれた時だった。

バックステージでの演奏を終え、「ここからが後半戦だ!」と言って始まってから3曲目。

披露されたのは「Take what you want」。

原曲よりもスローテンポでワンフレーズごと丁寧に演奏していく。
そして。彼らはサビの前まで演奏したところで突然演奏を止めたのだ。

どのくらいの時間だったかはわからない。きっと時間にしたらほんの何十秒、何分程度だったと思う。

けれど、ライブの中で空白の時間がうまれるのは稀有である。

早くサビが聴きたい。
きっと会場にいた誰もがそう感じたはずだ。

それでも、その場にいた全員がヒソヒソとしゃべりはじめたり、歓声を飛ばしたりしなかった。
何か言いたくなる気持ちをグッとこらえて、その時をいまかいまかと待った。
そしてー。

“Can you hear me? I’m trying to hear you”
それは静寂を切り裂く光のようだった。鳥肌が立った。
それと同時に目に涙が溜まっていくのを感じた。

その歌声の破壊力たるや今まで経験したこのとないものだった。
静寂からの再スタート。こんなにも心に響くものなのかと驚愕した。

これはTakaの歌唱力や表現力あってこそ成立するものであることは言うまでもない。

しかし、もう1つ重要なのがあの場で静寂がうまれた、ということだ。

曲の間で突然演奏が止まる。それをじっと待つ。
ワンオクとファンとの間に信頼関係がなければ成立しないことである。

普段、曲と曲との間は歓声が飛び交う。そんなファンたちがこの時だけは誰も一言も発しなかった。
その状況がうまれたことに感動した。

生でないと体験できない空気感。
今日この静寂を体感できただけで、ここに来た価値がある。
そう思わずにはいられないほど貴重で尊い時間だった。
 

これこそがワンオクが第2章に入っていく象徴だと思う。

Takaはこの公演で「もうここまで来たら進むか止まるかの二択しかないんです。」と語っていた。

小さなライブハウスに始まり、アリーナツアー、ワンマン野外ライブ…とどんどん会場の規模を拡大してきた彼ら。

単純にキャパシティの点からみてもドームツアーは新たな挑戦である。
でもそれは同時に今までとは異なるアプローチを求められる。

全席指定という縛りも然り。
また一同に会する人数が増えれば増えるほど、一体感や同じ空気感の共有は難しくなる。

でも、彼らはその状況を物ともせず静寂によってあの会場を1つにしたのだ。

今まで作り上げてきたサークルが起こる空間やみんなで歌う合唱という形ではなく。
ロックバンドからはかけ離れたように思える静寂という時間によって。
 

Takaはこんな風にも言っていた。
「あなた達(ファン)と僕達でONE OK ROCKです。」と。

彼らがしようとしていることを肌で感じ、実現させた静寂。
2つで1つ、そんな関係性でないとうまれない空間であった。
 

これから始まるONE OK ROCKの第2章。
このドームツアーでまた新たな一面を見せつけた彼ら。この先どんな未来を描いていくのだろうか。
周りの追随を許さない快進撃でひたすら走り続けてきたその姿勢は、きっと第2章も変わらないのだろう。
変わらぬ姿勢にはいつも勇気をもらう。そんなバンドに出会えて、同じ時代に生きられることを誇りに思う。
 

「あなた達と僕達でONE OK ROCKです。」
いちファンとして、この言葉に恥じぬような生き方をしたい。
自分達の目指す先に向かって貪欲にひたむきに向かっていく彼らに恥じぬように。
そして、胸を張ってまた次のライブに足を運べる自分でいたい。

今回のようにみんなでひとつになれる時間を彼らに恥じぬ姿で共有できるように。

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