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2017年4月17日

奥田夏音 (25歳)

春色の風

LINO GRAPHの彩る "始まりの季節"

4月になり、もう半月が過ぎた。のんびり屋だった今年の桜もいよいよ散り始めている。
ベタなことを言うようだが、春は始まりの季節だ。今回はそんな爽やかな季節にぴったりのバンドを紹介したい。

大阪に、LINO GRAPH(リノグラフ)という、音在輝志(Vo./Gt)、木村太一(Gt.)、堺沙彩(Ba.)、下村茉李(Dr.)からなる4ピースバンドがいる。
昨年12月に、それまでサポートメンバーであった木村を正式メンバーとして迎え入れ、同時にバンド名も「アンジー」から改名した。そう聞けば、アンジーなら知ってると思い当たる人は多いかもしれない。そう、彼らの音楽がまさに、春の儚さと晴れやかさに誂えたように似合うのだ。春の足音が聞こえ始める3月中旬、大阪・福島2nd LINEにて彼らのライヴを観た時、以前から抱いていたその感覚は確信となった。
彼らが奏でるのは決してテクニカルで完成された音楽ではなく、どちらかといえばまだ若く、粗削りな演奏と言えるだろう。MCもまだ拙さと頼りなさが漂う。しかしそれをカバーして余りあるほどの多幸感が彼らのライヴには溢れている。ライヴにおいて圧倒的な多幸感を放つバンドというのはいくつかあるが、例えば、サイダーのようにしゅわしゅわ、きらきらした幸せを空気いっぱいに満たすかのようなのがCzecho No Republic、ささやかな幸せを大きく謳い、心にそっとあたたかな火を灯してくれるようなのがラックライフ、と言えば伝わるだろうか。LINO GRAPHの持つ幸福感はちょうどそのふたつの真ん中あたりに位置する。柔らかな花びらと煌めくホログラムをいっぱいにはらんだ風が爽やかに吹き抜けるイメージ、瞬間的でありながらも確かな手触りのある幸福感である。背中をポンと押すような歌詞がそう感じさせるのかもしれないし、メロディーラインの持つポップネスがそんなイメージを膨らませさせるのかもしれない。しかしその幸せの感覚というのは、何よりも先に、音在のあどけなさの残る優しい歌声によるものであり、木村の細やかなギターの旋律からくるものであり、堺のたおやかなベースラインから生まれるもので、下村の楽しげで溌剌としたリズムによって裏打ちされるものである。
今歯がゆさの残る技術面に関してはこれからライヴを重ね、演奏を重ねていくごとにいくらでも伸びるだろう。しかし、人を幸せで満たす音楽というのは、幸せな空気で包み込んでしまう演奏というのはなかなか会得できるものではない。それを既に手の内に入れようという彼らなのだから、演奏力や表現力がさらに増せば、それに伴って彼らが放つ幸福感もはっきりと強さを増し、包みこめる世界も広がっていくはずだ。

例えばなんら変わり映えのしない春を迎えていても、彼らの音を聴くだけできっと、なんだか新しいことを始めたいような、なんでも上手くいきそうな、そんな軽やかな心持ちになるだろう。まだまだこれから、だからこそ、今から見つめていたい。そう思える人懐っこいバンドだ。

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