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22年後のイージューライダー

奥田民生と青春について

奥田民生が「イージュー★ライダー」を書いたとき、本人は30歳だったという。

当時、同じように30歳だった人たちはどう思ったんだろう、と思う。
当時、20代や10代だった人たちは、どう思ったんだろうか。

私は「イージュー★ライダー」から22年後の今、19歳である。存在を知ったときには既にあまりにも有名だった奥田民生とこの曲について、そんなに深く考えたことはなかった。

昨年9月に、奥田民生を特集した「SONGS」(NHK)の放送を見た。
ヒット曲や新曲をスタジオライブで披露する中で、「イージュー★ライダー」も演奏された。

《僕らの自由を 僕らの青春を
大げさに言うのならば きっとそういう事なんだろう》

それまでなんとなく音で知っていた歌詞の意味を、この時初めて考えてみて「良い曲だな」と思った。なんて「若者と青春全肯定」な曲だろう、と思ったのを覚えている。

しかしその後調べてみたら、この曲は奥田民生が30歳の時にリリースされていることを知って驚いた。私はてっきり、20代の気ままな青年が青春を忘れている大人たちに向けて書いた曲だと思っていたからだ。
30歳の奥田民生が書いた曲となると、その意味は私が思っていたものとだいぶ違ってくるのではないか。

特に曲の終わりに向かって並べられていく、「青春の特権」のような歌詞。

《気持ちのよい汗を けして枯れない涙を
幅広い心を くだらないアイデアを
軽く笑えるユーモアを うまくやり抜く賢さを
眠らない体を すべて欲しがる欲望を》

私が「青春全肯定」な曲だと思ったのは主にこの部分からである。「うまくやり抜く賢さ」も「すべて欲しがる欲望」も、持っていて良いのだと。そう歌うこの歌詞に、なんとなく勇気づけられもした。綺麗じゃないけど自分が持っている気持ちの存在を、肯定されたように思ったからだ。

だけど奥田民生が歌っていたのは、この部分に書かれている「青春」をすべて失ってしまった大人に向けた曲だったのではないか。
さらには30歳になり大人になった自分と、同じような仲間が若さをなくさないようにという願いのような曲なのではないかと思い始めた。

リリース当時からこの曲を聴いていた人にとっては当たり前かもしれないし、あるいは全然違う意味で聴いていたかもしれないけれど、私にとっては驚きだった。
そうして最後のフレーズが、確かな意味を持って響く。

《大げさに言うのならば きっとそういう事なんだろう
誇らしげに言うならば きっとそういう感じだろう》

単に、所謂「民生節」、奥田民生らしさばかりが目立つ言葉の並びではない。「きっとそういうことなんだろう」、「きっとそういう感じだろう」というごまかしのような言い方は、大人でないと出来ない。大人になった奥田民生の、大人のための歌だったのだとここでやっと分かった。
……ような気がする。

私が全肯定されていると感じたのは、私がまだこの曲の描く「青春」の中にいるからかもしれない。
それとも、今52歳になった奥田民生がより深く大人になったからなのだろうか。

音楽は時代も年齢も越え、数え切れない受け取り方さえも許容する。
大げさに言うのならば、きっとそういう事なんだろう。

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