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2017年4月19日

ゆた (18歳)

Welcome to “fantasia”.

LAMP IN TERREN が照らす“fantasia”という国

――聴いた瞬間、引き込まれた。それが私とLAMP IN TERREN(ランプインテレン)の出会いを形容するのにふさわしい気がする。“メイ”を聴いた瞬間、掠れたようで温かみを感じさせるvocal松本大の声に魅了された。しかし、彼らの楽曲を聴き始めてテレンの魅力が特徴的な歌声だけでないことを知った。バンド全体で歌って一つの歌を奏でる、と彼らも掲げているが本当にその通りなのである。それぞれの楽器が主張しすぎることはないが各々の個性が随所で光る調和した一つの歌が私の心を捉えた。
 
 彼らの魅力を語りつくすと本題に入れないのでこのあたりにして、本題に入る。

 LAMP IN TERRENが約1年9か月ぶりにアルバム“fantasia”をリリースした。すでにYouTubeにMVが公開されている“キャラバン”、“地球儀”、“涙星群の夜”、
“heartbeat”、“innocence”や映画『何者』の劇中歌である“pellucid”を含めた全10曲のアルバムである。
 作詞・作曲を担当しているvocal 松本大が悩みに悩みぬいた約1年9カ月の結果ともいえるこのアルバムであるが、悩みぬいた先の景色は私の心を強く揺さぶった。

<さぁ/行こう/何が待ち受けようと/無我夢中で光ったまま/痛みだって照らしていけるように/僕らなら歌っていけるよ> (“地球儀”より)

私はこの曲を聴いて、テレンの新たな一面を見つけたと思った。歌っていけるのは「僕」ではなく、「僕ら」なのである。今までの曲の中にも「僕ら」と歌う歌はあったが、今回はより強いメッセージを感じた。「僕ら」の中にはメンバーはもちろん私たちリスナーも含まれていると思えた。そう思うと余計に背中を押してくれるような力強い歌に聴こえてくる。新生活が始まった今、不安を拭ってくれた大切な一曲であり、いつまでも背中を押してくれる一曲であることは間違いない。 

 また、4月から親元を離れ、新生活を始めた私には“オフコース”の歌詞が特に響いた。

<あとで言葉にしてしまう前に/あとで記憶を辿らぬように/今を置き去ってしまうその前に/大切さに気付けますように> (“オフコース”より)

私は現在、「当たり前」のありがたみはそれが「当たり前」でなくなった時にしか気づくことができないと身をもって感じながら日々を過ごしている。もしも新生活が始まる前に聴くことができていたら大切さに気付けていたかもしれないと思う反面、気づけなかったからこそ、この“オフコース”という曲が特別になったのかもしれないとも思う。

テレンにとって約1年9カ月ぶりとなったアルバム“fantasia”は、悩みぬいた先に明るいところへ、開けたところに出た結果であると私は思う。悩んだことによる鬱屈とした感じはどこにもなく、明るく、前を向けるような希望さえ感じる。歌詞にもそれはあらわれていて、

<目映い今日を色付けていく> (“キャラバン”より) 
<君だけが触れられる消えない光> (“涙星群の夜”より) 
<僕は放ち続ける/君が君を見失わぬ光を> (“heartbeat”より)

など、「光」という言葉や、それを連想させる言葉が非常に多く歌詞の中にちりばめられている。「この世の微かな光」という意味を持つLAMP IN TERRENに実にふさわしいと思った。

 ここまでつらつらと感想を綴ったが、“fantasia”というアルバムは聴く人によってお気に入りの曲や特別に思える曲が大きく変わると思う。10曲通して聴いてみると、色とりどりの魅力を感じる。曲調は違えど、どの曲もテレンらしさがしっかりとある。そして、必ずどんな人でもこのアルバムの中に自分自身にとっての「この世の微かな光」となりうる一曲を見つけることができると思う。

例え「微かな光」だとしても暗闇の中では世界を淡く照らし、小さな道標となるだろう。私にとって「微かな光」は紛れもなくLAMP IN TERRENの曲たちであり、私の世界を優しく照らし、ときに道標となってくれている。
“fantasia”は新天地での生活の不安を拭ってくれた。私にとっては「微かな光」では足りないぐらい大きな支えとなった。

 Welcome to “fantasia”. 入国審査は特になし。
淡い光に包まれる“fantasia”を訪れてみるのはどうだろうか。

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