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モンパチハタチ、おめでとう、ありがとう。

私とMONGOL800と沖縄の20年

「琉球愛歌やらへんと思ってたのにな〜〜。」
ROCK IN JAPAN 2017 DAY 2のMONGOL800を観たあと、予想外の選曲に驚いた私はそう言った。
“あなたに”や”小さな恋のうた”などもはや国民的ソングになっている代表曲と”OKINAWA CALLING”や”DONʼT WORRY BE HAPPY”などフェスらしい曲で跳ねさせ、踊らせ、歌わせ、まさにお祭り騒ぎの中で、琉球愛歌だけが異色のように思えたセットリストだった。
バラード曲を混ぜるなら”STAND BY ME”のような新しい曲もある、MONGOL800を世に知らしめたアルバム、MESSAGEの中から選ぶなら”月灯りの下で”のような分かりやすいラブソングだってある。

でも”琉球愛歌”でないといけなかった、
その答えは最初の一言に続いてすぐ出た。
 

「あぁ、そうか。今日8月6日か。」
 

それが沖縄にずっと暮らし続けているMONGOL800じゃないと出来ない事だと私はずっと思っている。
 

8月6日、原爆の日の琉球愛歌。
 

数万人の前で彼らは沖縄の悲しみを歌ったのだ。

私は本人達に聞いた訳でもないし、どこかで本人たちが解説をしていたわけでもない。もしかしたらそんなことを考えて選んだセットリストではないかもしれない、でも、それでもあの数万人の中に8月6日、その日だと知っていた人は何人いたのだろう、知っていても意識していた人は何人いたのか。
私だって正直に言えば、全く意識なんかしていなかった。そんな私が彼らが”琉球愛歌”をあの場所、あの空気の中で歌うことで、戦争という重過ぎる歴史をほんの少し振り返ったのだ。

今年20周年イヤーのMONGOL800は、その間ずっと、ずっと、彼らにしか伝えられないことを彼らにしか出せない温度で私たちに訴え続けている。”himeyuri ~ひめゆりの詩~”の中で
[平和と呼ぶには遠く 歴史にするには早く]
と歌われる、そんな沖縄の現実の中で彼らは生きてきた。戦争を教科書でしか学ぶことのない私たちには遠い世界のように思えるものでも、あの島には近い現実としてあるのだ。

それは私が18歳の頃、ひめゆりの塔に行くために沖縄を訪れた時にも感じていた感覚だった。18歳になったら女の子はひめゆりの塔、男の子は鹿児島の知覧に行き、戦争の歴史に触れるべきと母親に実際に連れてはいかれたが、そこに広がる現実はあまりにも重く、悲しく、受け入れることが恐ろしく、わたしには到底出来そうになかった。
しかし一つ変わったのはMONGOL800の聴き方だった。

我が家には母親が買ってきた彼らのアルバム、GO ON AS YOU AREとMESSAGEがいつの間にかあって、車の中や家の中で鳴りまくっていた。MESSAGEの頃から遡って聴き始めた中学生のわたしは
「こんな全曲名曲なアルバムあるんか!天才やなモンパチ!」
くらいにしか思っていなかったが、あの島の現実を知ってから今までの10年、それらの曲の中に上手く隠された悲しみや、苦しみを少しずつ感じるようになった。

彼らは音源だけではなく、ライブでもいつもそうだ。沖縄の現実をMCで必死に話す訳でもなく、戦争の歴史を暗いメロディに乗せて歌う訳でもなく、
「遊びましょ〜〜!」
と明るく観客を煽り、出来る限りメロディックな曲に乗せた歌詞の中にそれらを上手く隠しながら、しかし確実に私たちに伝えてくる。
 

だから刺さる。ちゃんと聞くから響く。
 

20年間、そうしてきたMONGOL800が初めて全国ネットの音楽番組であなたにを演奏した時、”himeyuri〜ひめゆりの詩〜”と共に披露した事、そしてMCで特に何を言うわけでもないけれど、8月6日の一曲目を琉球愛歌にした事、それで、それだけで日本が、世界が変わるわけはないのだろう。
でも陽気な音に乗せ、La Pa Pa〜と楽しげに歌う”OKINAWA CALLING”の最後に
 

[沖縄に生まれたから、このまま沖縄と。]
 

の囁きを入れられるのは彼らだけなのだ。
そうやって伝え続けてくれた事で私は、少しずつでも知ることくらいはできた、感じることくらいは出来た。

変わったのはきっと私だけではない。
彼らは今年、10代の頃に作ったGO ON AS YOU AREの楽曲で20周年のツアーをまわる。
この20年わたしが、皆が、MONGOL800が、そして沖縄が。
どんな風に変わって、どこが変わらずにいたのか、改めて知ることが出来そうな気がしている。

その日まで、今まで通り、たくさん難しいことを考えて、たくさん悲しい事を味わって、たくさん苦しもう。そしていつものように

「あ〜そび〜ましょ〜!」

と煽られて、遊んで、笑って、踊って、そして泣こう。
私は彼らのMESSAGEを受け取りきれてはいないだろう。でもそれでいい、これまでの20年そうしてきたように、少しずつ、マイペースな彼らと同じようにマイペースに。
 
 

20周年、本当におめでとうございます。
本当にありがとう。
ずっと共にいてくれてありがとう。
わたしにGO ON AS YOU ARE(ありのままでいきな)と
言い続けてくれてありがとう。
 
 
 

モンパチのいる時代に生まれたから、
このままモンパチと。
 
 
 

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