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WANIMAに会いに行ってきた。

「Evereybody!! Tour」 愛知開催。初めての記憶。

さかのぼること約2ヶ月前の朝10時前。
久しぶりにパソコンの前、チケットサイトに貼りついた。
WANIMA「Evereybody!! Tour」愛知・日本ガイシホール、チケット一般発売日。
彼らに出会い、「ライブに行きたい!」と思い調べた時点で私に残っていた手段は、アルバム「Evereybody!!」のオフィシャルサイト最終先行と、この日、一般発売日しかなかった。そして前者に負けた私は冒頭に戻る。
あらかじめ調べてはいたけど、「座席の種類が沢山あるんだなぁ」とパソコン画面を眺めながらそう思った。会場がアリーナとはいえ、「アリーナスタンディング」、「アリーナ指定席」、「アリーナファミリー席」、「スタンド指定席」、そして「立見席」。個人的な話だけど、近年少し音楽から距離があり、年に1回あるか無いかの決まったバンドのライブにしか行っていなかったのだけど、この座席種類の多さはこのバンド、WANIMA特有のものなのか、それとも最近のライブ事情はこういうものなのか?そんな事を思いながら、「狙うはアリーナ!」と意気込み挑んだ結果、やっとで取れた席は「立見席」だった。
日本ガイシホール、旧名古屋レインボーホール時代から、他のライブで何度となく足を運んでいる行き慣れた場所。その会場の立見席の率直な印象は、「あんな高いとこから、ステージの人間って観えるのかなぁ」というもの。いわゆる「アリーナ席」から見上げる其処は、本当に遠くて人も小さく見えるのだ。
しかし何よりチケットを無事確保することが出来た私は、少しほっとしその足で入金に向かった。
 

それから約2ヵ月。私は生活のどこかに彼らの音楽を置いて身体に入れながら毎日を過ごしていた。大袈裟だと笑われたり呆れられたりするかも知れないけど、このライブの為に生きていた。外に出れない日、誰にも会いたくない日、息苦しくて眠れない夜、眠れれば三日連続で人が死ぬ夢を見て起きる朝。(目に見えないところで体調を崩している身であることは、前回投稿した「音楽文」で書いたのだけど、思い切ったことをしたものだど今になって自分の行いに驚いている。あんなふうに書けるようになった、のは、彼らに出会ったことが大きく関わっているのだから、後悔はしていないのだけど)
気持ちがマイナスの方向へ傾き落ちそうになったとき、「そっちじゃないよ」と彼らの音楽が引っ張って引き上げてくれた。ハッと気付けば足元を固めてくれた。だから私は毎日なんとか前を向いて、息をして形を保っていた。
 

迎えた当日。ライブへ行く回数は減ったが、ライブ参戦という経験はそこそこあると思っている。だけど今回、初めてのバンドのライブに初めて「独り」で参戦した。地元だから、行き慣れた場所だから、と心配し過ぎないよう言い聞かせ出掛けた反面、現地の人と話が出来たら良いなぁとぼんやり思ってたけど、周りはみんなグループとか家族とかで来ていて、既に明るく楽しい空気が漂っていて、私が入り込むような隙間など無く勇気も無く、物販列もそれが終わった後も独りでこそこそ行動した。
別に苦痛だったわけじゃない。独りって好きなように行動できるから気楽だし自由。トイレの心配だって自由。でもやっぱり心細いのは確かで、写真を撮ったりお喋りしてる人達を見ると羨ましくて、自分の心がどんどん閉じていくのが分かった。

開場時間、立見席は整理番号順に入場の案内された。向かった目の前には大きなセンターステージ。それを囲うアリーナ席3種。その上のスタンド指定席。そしてその上の立見席は、会場全体を見渡すことが出来る、初参戦者の私にとってピッタリで有り難い席だった。
しかし全体が見渡せるから分かる、開演前のみんなのワクワクした顔、声、空気。両隣も2人組。そこに挟まれた私はただただ「独りである」という気持ちが増していき、閉じていく心の中から周囲との温度差を感じていた。
「センターステージだから、登場はポップアップだろうな」
その場にしゃがみ込み、冷静にそんなことも考えていた。
 

「開始時間過ぎるんじゃない?」
隣カップルの男性の声が聞こえて、そういうもんかな?と時計を見ることも止めたとき、
暗点、SE。
一瞬で会場が沸き、全員の視線が「ぐわっ」とセンターステージに集まった。歓声と手拍子と、彼らの登場を待つ熱、始まるという実感、やっと会えるという喜びが会場中弾けていた。案の定、奈落から三者三方向ジワジワ上がってきた3人は、してやったりな顔をしていた。そしてステージ中を駆け回り、手を振り煽り、あっという間にホール全部を自分たちのものにした。
3人が一瞬で変えてしまったその空間の空気に、私の心はパッと晴れた。ああもう独りじゃないと思った。
 

ライブ終演後、私は駅までの一本道ではなく何故か物販へ向かっていた。買う予定の無かったロンTと、キーホルダーももう1つ買った。記念なのかお守りなのか、なんなのか分からない。今日という日が今日しか無いのだから、今日くらいは予定に無かった買い物をしても良いだろう。買いすぎたと嘆く日が来るかも知れないけど、今日という日は今日しか無いのだから。
そんな綺麗事は、すぐに帰りたくないという理由にしたかっただけなのかも知れない。
物販から出て一本道を歩き、改札を抜けてすぐ来た電車の中でスマホのメモアプリを開いた。「いま」の気持ちを忘れないうちに書き続けた。
 

彼らは伝えたいことがありすぎる人たちだった。伝えたいことがステージから溢れていた。溢れて溢れても止まらなかった。
 

「アリーナスタンディング」で踊り転がる客。「アリーナ指定席」、「アリーナファミリー席」で少しゆったりと自由な楽しみ方をしている客、親子の姿。「スタンド指定席」、「立見席」から3人を見下ろす形になっている客。上下左右何処を見ても、彼らを見つめる人人人人に囲まれ全身に熱視線を浴び続けている、たった3人。
彼らが立っている円形のセンターステージは、ぐるりと円を描く移動式になっているのだけど、まわったその方向なんて関係無し。どの方向から観ても隙が無い。「1万人くらい入ってます!」という数に、3人の勢いは全く負けていなかった。
 

KENTA(Vo/Ba)は歌っている最中はもちろん、MC中もステージ上あちこち走り回って、大きなお客さんのカタマリの中の1人1人に身を乗り出しながら話しかけていた。コロコロ変わる表情、笑わせてくれたりおどけて見せたり、明るくてとにかく元気。だけど、かける言葉は優しくて常に前を向いていて、それがダイレクトに音楽と繋がっていた。
彼の中にどれだけの音があるのだろう、どれだけの言葉があるのだろう、どれだけの想いがあるのだろう。彼が生きてきた中に、彼が音楽にしたいことが詰まっているんだろうな、伝えたいことがたくさんあるんだろうな。そんなことをずっと考えていたし、こちらの心に、身体にバンバン伝わってきた。
KENTAの隣、KO-SHIN(Gu/Cho)の印象は、以前からなんとなく「ほっといたらこの人は1日中ギター弾いてるんだろうな」と勝手に思っていたのだけど、あんなふうに叫んで笑う顔を見て、私の中にあったそのなんとなくの彼への第一印象は勝手に確定した。「ギターが、バンドが、ライブが、音楽が本当に心の底から好きなんだな」と感じた。彼が生きている1番の瞬間がライブで、その中で音楽が出来る喜びみたいなものがキラキラして見えた。そして、ギターをかき鳴らしながら何度も何度も客席に向かって頭を下げる姿に、謙虚さと感謝を感じた。
そんな2人の後ろに、カラフルなドラムセットと共にドンと座っているFUJI(Dr/Cho)。まわるステージのどの位置に居ても、常に会場全体に目を向けている。良い意味で、空気をよむ人なんじゃないかなあという印象。目立たない所で支えているというか、気付かない所でバランスを保っている人。KENTAとの会話のやりとりや合いの手は、柔らかくて嫌な気持ちにさせない。KENTAとKO-SHINの後ろに彼が居る、とても安心感があった。
私の場所から「アリーナファミリー席」がよく見えたのだけど、彼がドラムセットから離れ最初に向かう先は子どもたちだった。笑顔で手を振るFUJIに向かって、ぴょんぴょんと跳ねて手を振り返す子どもたちがとても可愛くて嬉しそうで、釣られてこちらも嬉しくなった。

堂々と、「家族で来てください」と用意されている席は、「年齢も体力も余計な心配もしなくて良いよ、みんなでおいでよ」という意味なんだろうな。座席種類があれだけ多い理由も、お客さんへの思いやりから作られたものなんだなぁと、ただ単純に「優しいなぁ」と思った。
 

そうだ、あの空間は激しくも熱くもあったけど、その中にずっと優しさを感じていた。ライブが始まった瞬間、「独り」から「独りじゃなくなった」私を、彼らは一瞬も「独りぼっち」にしなかったし、させてくれなかった。
目の前に広がる世界は明るくて眩しかった。さっきまで置いてけぼりになっていた私に、3人は其処から手を伸ばしてくれた。無理矢理でもなく押し付けがましくもなく、あの大きな笑顔で、目の前の世界があたたかく優しいものだと教えてくれた。
そして、「WANIMAって場所があるけん、いつでも帰ってきて良かよ」と、この先も「独り」じゃない場所をくれた。
 

WANIMAは、常に、「ともに」という言葉を呪文のように繰り返し、
「寄り添っていけるバンドでありたい」と語っている。
 

『愚痴は言わない 損する』(ANCHOR)
『悩み迷ったかい? また行き止まりの君には幸あれ』(雨あがり)
『ひたすら自分を責めた君に幸を』(また逢える日まで)
『疲れました もう無理膝抱え泣いた 弱音吐いて 何とか生きてる あなたよ どうか幸せになれ』(THANX)
 

こんなにもこちらを気にかけ願ってくれる。
現状がどうであろうと其れを否定すること無く、
 

『窮屈な毎日の向こうに喜びは待っているから』(For you)
 

と、明日への希望を歌ってくれる。
どうしてこんなにも寄り添ってくれるんだろう。
 

3人に対して大きく印象付けられるのは、「いつも笑顔である」ということ。私の中にあった「ロックバンドたるもの寡黙であれ」みたいなガチガチな固定概念は、彼らが底抜けに明るい笑顔で演奏している姿を見た瞬間見事に粉砕されたし、その衝撃は未だに忘れられない。だけど、「あの笑顔に嘘は無い」なんてこと、100%言い切れる訳が無い。
彼らに出会って日の浅い人間が易々と語るもんじゃないし、彼らの過去は彼らしか知らない。だから勝手な憶測。
痛みや苦しみ、悲しみ、孤独、闇、どん底、諦め、涙、汗、必死、命がけ、そんな果てしない、彼らにしか知らない分からない経験があると思う。本当なら逃げ出したり止まってしまったり、辞めてしまっていたかも知れない。其処で潰れ潰され死んでしまっていたかも知れない。何が「死んで」しまっていたか、それも分からない。
 

『戦ってる 誰も知らない涙や嘘は笑顔に隠した』(For you)
 

そんな経験をしたから、同じような経験をした人もそれとも違う経験をした人にも、彼らは音楽という方法で独りぼっちにさせないよう、寄り添おうとしてくれているんじゃないか。俯いて動けなくなった誰かに届いて、その人が顔を上げるキッカケが彼らの音楽だったとき、顔を上げた先に笑顔で歌う彼らの姿があったなら、それは充分にWANIMAというバンドが誰かに寄り添ったということにならないだろうか。
…なんて、これは完全に希望的観測と個人的経験談。
ゴチャゴチャと思考はまわるけど、たぶんシンプルなこと。目の前の、そうじゃなくても、ただ音楽を、誰かに届けたい人たちだ。
ライブの中でそんなことを感じていた。
新曲「りんどう」も披露されたのだけど、故郷を離れたことの無い私にとって、生まれ育った町や人と離れて暮らす中で生まれる想いというのは、こんなにも強くて深いものなのか。ああ、故郷・熊本を心の底から大切にしているんだと、少し羨ましくなった。
 

汗と笑顔とこちらに呼びかける声。ステージ上、彼らはひたすら忙しかった。届けたい音楽が「ぐわっ」とありすぎる人たちだった。でもそれがとても嬉しそうで、真っ直ぐであたたかかった。
 

ライブまでの約2ヵ月を自分なりに必死に生きて、彼らに会いたくて仕方なかったのだから、3人が出てきたら泣くかもなぁなんて思っていたけど、涙なんか出なくて寧ろ逆にたくさん笑った。一緒に歌って叫んで、「ちゃんと着いてこれとるー?」と、手を振って確認してくれる彼らに何度も手を振り返した。一瞬一瞬が楽しくて笑った。「私ってこんなに口角が上がるのか」と純粋に驚いている自分が居て、それにまた笑った。最終的になんで笑ってるか分からなくて、それでも笑った。
 

彼らから貰った、じんわりと優しい気持ちのまま電車は地元の駅に到着した。
降りるときに同じライブTを着ている2人組と一緒になって、思わず、「お疲れ様でした」と声を掛けていた。私より少し年上に見えたその人たちは、「お疲れ様でした。楽しかったー!」と笑顔で返してくれた。この少しのやり取りが純粋に嬉しかった。開演前、自分は「ただただ独り」だと思っていたのに、ライブが終わった後も「独りじゃない」と思わせてくれた。この伝染はいつまで続くんだろう。無くなって欲しくない、じっと浸っていたい。
「あの日に戻りたい!」と思うライブはよくある。充実して素晴らしい時間を過ごしたから「あの日をもう一度!」と。だけど初めて、「今日という初めての記憶を忘れたくない」と思った。でも、今日感じた感情や見かけた風景も、いつかは薄れ忘れてしまう。どんな形であれ明日はやってくる。だけどだから、「いま」の気持ちを大切にしよう。今日という日を疑わずに明日を迎えよう。
そしてまた、彼らに会いに行こう。
 

愛知でのライブが終わって約1ヵ月。やっと書き終えた私の長い長い感想文。書いている間に、ツアーは8月のファイナル2DAYSを残すのみになっていた。
漠然と「広い」という印象しかないメットライフドーム。私はというと、また1人遠征参戦2DAYS。寂しくないと言ったら嘘になる本音。だけど楽しみな気持ちの方がずっと大きい。
1人で居たって何処に居たって、きっと彼らは「独りぼっち」にさせてくれないだろうし、ただ真っ直ぐに音楽を届けてくれるから。
それまでまた、しんどいこともたくさんあるけどどうにか前を向いていよう。たまにまた寄り添わせてください。
ともに歌える8月を楽しみにしています。

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