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土砂降りの伝説

My Hair is Bad 日比谷野外音楽堂公演

『すごいものを見てしまった』
ライブ後溢れた率直な言葉だった。

客がまばらでもおかしくない悪天候の中 席はしっかり埋まっていた。
降りしきる雨の中掴んだ立見最前の柵。
雨の野音なんて初めてで、雨かぁ〜なんて思ったけどそれ以上にドキドキしてた。一年ぶりの野音、ここにいる全員の期待にマイヘアはどんな風に応えてくれるか楽しみで仕方なかった。

結果、彼らは過去最高のライブを見せてくれた。

こんなこと言っていいのかわからないけど個人的には日本武道館よりずっと良かった、私の好きなマイヘアだった。

「大雨も最高の思い出にしてやる、新潟上越My Hair is Bad始めます。」
一曲目『優しさの行方』もう信じるしかないよな。
『アフターアワー』からの『グッバイ・マイマリー』と全速力で駆け抜けた。

こんな大雨の日に集まってくれてありがとうと椎木は何度もお礼を言ってくれた。
「風邪ひいてほしくないな、雨で冷えないように俺らが熱くしていきます。」
言葉通り、始まる前は雨ばかり気にしていたが音が鳴った瞬間不思議と雨は気にならなかった。マイヘアだけがその場の全てだった。

「懐かしい曲を」と『愛ゆえに』
世界一短いラブソング『クリサンセマム』全身で雨の野音を楽しむ椎木が印象的だった。
「君がなんか楽しそうで 僕は最高だ!」と最後の歌詞を変え歌いあげた。

「一年前またここでワンマンする約束をして、みんながそれを見に来てくれるって約束をして。その約束を守ってくれたおかげで今ここでライブできています。世の中には期限のある約束もあれば期限のない約束もあって、期限のない約束を守ってくれた大好きなバンドもいて、忘れていても守ってくれた時に全部思い出します。」と『白熱灯、焼ける朝』
恥ずかしげもなく一人声を出し喜んでしまった、それくらい好きな曲。
サビ前で暗転した照明が朝焼けの合図とともに灯り始める。
君がいてよかったな と思っているよ。

『彼氏として』『悪い癖』『運命』の流れが秀逸だった。
雨の影響かチューニングが狂い出していた気がするが、そんなギリギリの状況でさえ味方につける彼ら。全てが劇的に見えた。

「こんな約束守ってくれなくて良かった、本当は破って欲しかった。って失礼だよな」と土砂降りの野音に不器用な皮肉を吐き「雨降って地固まる、止まない雨はない、雨が降らなきゃ虹は出ない。止んだって、また雨は降る、繰り返す。だったらどうすんだよ 立ち向かえ」と叫んだ『フロムナウオン』

「心に雨が降った時、傘を差し出してくれたのは誰だった?傘を差し出してくれた人のこと ずっと大切にしたいです」
「雨の音が拍手に聞こえる。じゃあ今日はずっと拍手だ」
雨でさえ味方につけてしまうマイヘアにどんな壁があると言うのだろう。
逆境でがむしゃらに音を鳴らす3人は美しかった。

「始めて10年、あれから2年、全部同じ5月。僕らが僕らでいられますように」
『戦争を知らない大人たち』去年の野音 この曲についての葛藤や想いを語っていたのを思い出した。周りがどうとか関係ない。「間違いなく 今 」私はMy Hair is Badが好きだ。

『シャトルに乗って』『幻』
「もう一曲バラードを」と大好きな『最近のこと』
去年は涙が溢れてずっと泣いていた。この日はどうだっただろう。
あれは雨だったのか、それとも涙だったのか。
「私はあなたが好きだった、あなたは私が好きだった? 」

『真赤』そして『告白』
いつの間にか10代の終わりが見えてきた。授業中スマホ見て駄弁って終わるクソみたいな大学生になりたくない。延滞した10代でいる気なんてさらさらない。何度もそう気づかせてくれる曲。

『告白』を終えた刹那、意表をつくように『噂』を搔き鳴らした。
-そのまま二人は美しい噂になったんだ-
それはまるで一つの伝説が出来上がった瞬間だった。

雨が強まる中、拍手とともにワンモアの声が響き渡る。
長い拍手に応え出てきた3人。

「こんな寒い雨の中ありがとう。最後に暖かい曲を」 『いつか結婚しても』
初めてこの曲を聴いた時正直マイヘアは”変わってしまった”と私は思った。不幸になって欲しいわけじゃない、ただこんなにも幸せな歌を歌うマイヘアに着いていけない、置いていかれるのが怖かった。
だけど、あのアンコールを聴いた時、思った。
マイヘアは 幸せを歌うようになったんじゃない、幸せも歌えるようになった のだと。

間違いなくあの場は愛で溢れていた、世界で一番幸せな場所だった。ハッピーエンドの映画のエンドロールを見ているようだった。フードは風でめくれていたがそれも気にならないくらいマイヘアに夢中だった。

ありがとう また今度『音楽家になりたくて』
今度いつ彼らを見れるのかまだわからないけど、これからも追い続けることは確かだ。周りの変化、自分の変化に戸惑ってしまう日もあるけれど、ライブに行くたび何度も好きでいて良かったと思わせてくれる。期待以上の愛を返してくれる。

一年越しに約束を果たせた。
彼らは1年を経てずっとずっと大きくなっていた。

逆境の中 泥臭く美しい 伝説を見た。
私はこの日を忘れない。

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