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クリープハイプ 日本武道館公演

4年前、そして2018年、前に進め。

 
2018年5月11日。午前中、とにかく願う。何事も起こるな、と。何とか仕事を終えて、電車へ飛び乗る。行き先は九段下。

そう、クリープハイプ2度目の日本武道館公演へ。

2013年、秋ツアー最終日。12月5日、木曜日。Zepp DiverCity Tokyoにて。アンコールでつば九郎から初めての日本武道館公演、しかも、2DAYSの発表。ちょうど高くなっている所から見ていたから、ものすごく見晴らしが良かった。だけど、武道館の発表の時は興奮と歓喜の涙で前が見えなかった。

それから少し経ってクリープハイプがベストアルバムを出す事が分かった。ただ、なかなか公式からの発表がなくて違和感を感じていた。

その頃ツイッターをやめていた尾崎さんが久しぶりにツイートをした。「どうしても伝えたいことがあるので1回だけツイートします。音楽を聴く人の力を信じてます。」悔しくて堪らなかったあの日。その時のわたしのツイッターと日記は怒りと悲しみで溢れていた。

そんな事もあって迎えた2014年4月16日、水曜日。日本武道館公演、初日。大学の講義がどうしても休めず、ギリギリで出発。スーツ、パンプス、社会の窓状態。この日はアリーナ席。開演時間を過ぎて到着したけどまだ開演しておらず。席に着いたら暗転。

新曲「寝癖」初披露。すごくかっこいい曲でイントロが印象的だった。サビの「君の」のところがすきで。終演後もBGMとして流れていた。憂、燦々ではやっぱり泣いてしまった。スタンド席も満杯で、キラキラしていて、日本武道館という会場で、クリープハイプを見れて本当にここまで連れてきてくれて「ありがとう」と、感謝の気持ちで沢山だった。

4月17日、木曜日。2日目。今日も新曲を聴けるかなと思ってワクワク。そして「新曲演ります。」始まったのは全然違う曲。膝から崩れ落ちた。涙が止まらなかった。違う曲をやったことへの驚き。怒り、悲しみ、トゲのある歌詞。それでも信じている人たちへの愛。全てが衝撃的で苦しくて切なくて愛しくて、泣いた。

「いつか本当のベストを出すまで」

それから4年間。移籍をしてからシングル、アルバムもいくつか発表された。ホールツアーでは誕生日に静岡でクリープハイプを見ることができたし、クリープハイプがキュレーターを務めたボウライン、野音、尾崎世界観の日、尾崎世界館、尾崎さんの小説、書籍の発表、CMやドラマ、映画のタイアップ、みんなのうたとか、色いろなことがあった。クリープハイプの思い出が数え切れないくらい増えたし行ったことのない場所に一人で沢山行った。友だちも増えた。

いつも辛い時近くに居てくれたのがクリープハイプの曲や尾崎さんの言葉で、支えられていた。

そんなわたしの大切な存在であるクリープハイプの「すべて」という4年ぶりの武道館公演。期待しない訳がない。

九段下に行く前に神保町へ。世界観文庫を購入し、動画を見た。いつもの仲間たちと今日は何の曲をやるだろうかと、期待に胸を膨らませながら歩いて日本武道館へ向かう。お腹が痛くなるくらい緊張して、自分の席へ。

そこには4年前と同じように日本武道館と書かれた冊子が。メンバー4人からの言葉で、開演前なのに泣いてしまった。本当にあの日から色んな事があった。ブラック(クソ)バイトで身体がぼろぼろだったけど最後まで働いた。就職をして、パワハラ上司に2年間ビクビクしながら働いた。4年前に武道館に一緒に行った彼と結婚をした。

「生きていこうぜ」という拓さんの最後の一言。日々の積み重ねの延長に今日という日があってちゃんとこの日を迎えられたのは本当にすごい事でこれからもちゃんと生きていこうって、そんな気持ちになった。

暗転。ついにはじまる。すでに泣きじゃくっている上にドキドキで口から心臓が出てくるんじゃないかと思っていたところに大画面に映し出される映像…………?……ビズリーチだこれ。Ba.カオナシさんの女装、Gt.幸慈さんのカツラにどよめく会場。ジョージアのパロディでは幸慈さんの「イト」高音に爆笑。そして、憂、燦々とともに大画面に映し出された蒼井優に扮するDr.小泉拓のショートヘアワンピース姿………ぽーん。トドメに、広瀬すずに扮したカオナシさんの「全部出たと?」悲鳴に近い笑い声が起こる場内。永谷園のお茶漬け、Amazonの犬のCMなど盛り沢山の3分と少し。泣いていたのが嘘みたいだった。そして彼等の登場。「フェスではCM扱いされているのですが今日はクリープハイプがクリープハイプを演ります。」やっぱり皮肉に溢れてて、彼等らしいスタートになった。

「今日は何にもない、ただの日だ。そんな日を最高の日にしましょう。」と言って始まったのは「ねがいり」4年前の記憶が一気に溢れ出る。社長さんとの思い出の詰まった大事な大事な曲だ、とあの時のMCで言っていた。クリープハイプの武道館といえばこの曲だろう。あの日よりも更に沢山の人が武道館にいて今日、この日を迎えられたこと、きっと社長さんにとっても忘れられないであろう。何にもない1日が特別になる曲。2018年5月11日は何にもないただの日なんかじゃなくて忘れていた事を思い出すそんな日だったし誰かに感謝を伝えたくなった、そんな日になった。尾崎さんのギターソロに胸がギュッとなった。

「あれから4年も経つと、白髪も生えてきました」2曲めは4年前の武道館、最後の曲「寝癖」クリープハイプの新たなスタートを飾る事になったこの曲はその時のほろ苦い記憶を思い出させるとともにこれからもクリープハイプとともに進んで行きたいという前向きな曲でもある。立て続けに4年前を思い出させる曲順に息が出来ないほど苦しくなった。やっと今日が来た。そして、はじまった、と。

そして次の曲は「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」GW中のFM802のリクエステージでもこの曲を演っていたのできっと今日も演るとは思っていたけれどあのイントロがはじまったら胸の高まりが止まらなかった。「最後の4小節 君の口が動く」の部分では武道館に薔薇の花びらが散るんではないかと思った。まるでクライマックスみたいに。

立て続けに大ヒット曲「オレンジ」バンドが大きくなるキッカケになったであろう曲。音楽チャンネルで何度もリピートされていて何度も見たし聴いた。この曲を聴くと2012年、ROCKS TOKYOで初めてクリープハイプを観た時のことを思い出す。夕方、オレンジ色に輝くステージ。海沿いの風、風車、となりのステージの音。特別な、特別な曲です。ダメでだらしなかった大学1年生の恋愛の中の甘くて綺麗だった部分の匂いがする。

「エロ」久しぶりに聞いたイントロに驚き。演奏と歌が不安定でドキドキしてしまった。危うさ、緊張感、それもまたクリープハイプなのだとわたしは思っている。

「ここにいる女の歌を歌います」というMCにハッとした。左耳を差しながら言ったセリフだったという事は後からツイッターで知ることに。クリープハイプを知って初めて聞いた曲は「左耳」だったかもしれない。わたしの左耳にもピアスの穴が開いていて、今その穴は昔の恋愛と後悔とで埋まりそうになっている。

そして幸慈さんのあのギターフレーズが。ずっとずっと聴きたかった「ABCDC」久しぶりに聴けて嬉しかった。クリープハイプで好きな曲は?と聞かれたらたくさんある中で序盤に出てくるのがこの曲だ。メロディが良い。良すぎる。「指三本分くらいの労働してサビ3回分くらいの感動買いに行く」という歌詞で自分の学生時代の生活を思い出したらまた泣けてきた。

和太鼓のようなドラム。背景は炎。「火まつり」だ。カオナシさんの伸びやかな歌声が響く。火まつりより怖いものは「鬼」ステージ後ろにはバンドメンバーが映し出される。ドラマのタイアップとなった曲。聴けば聴くほどかっこよくて2017年のホールツアーでものすごく好きになった曲。まるでホールツアーの総集編のようだった。

そんな、鬼より怖いもの、それは迷子。NHKみんなのうた「おばけでいいからはやくきて」がライブ初披露となった。左右にライトが揺れる。軽快なリズム、ギターの音。可愛さの中に哀愁が漂う曲。みんなのうただけどクリープハイプらしい曲。3月7日、無料ダウンロードされたあのVer.とは違うアレンジだった。

一番怖いものは、嘘つき。そう言って始まったのは「ウワノソラ」この曲はクリープハイプを知った時に何度も何度も聴いた曲。好きになるキッカケになった曲だ。何度も何度も同じ言葉がリピートしてクセになる曲。

たくさんのスモークバブルと共に「さっきはごめんね、ありがとう」尾崎さんのレギュラーラジオ番組J-WAVE「SPARK」の武道館で聴きたい曲のリクエストでも多数のリクエストがあって流れた曲。尾崎さんの知人の結婚式のために書いた曲。わたしにとってもこの曲はとても大切な曲で結婚式のエンディングで流した。あったかくて、素直になれる曲。尖っていた尾崎さんが丸くなったなと感じた曲。

「満たされてしまうな」そんな言葉が尾崎さんから聞けるとは思わなかった。一言でこのライブを表すと「多幸感」なんて、温かい気持ちだろう。幸せなんだろう。何でもない日々の中にある、幸せ。

その多幸感が消えないうちに「ボーイズENDガールズ」が始まる。切なくて疾走感のある曲。「大丈夫」では先日尾崎さんが高知へ行った時のひろめ市場の映像が流される。何でもない酔っ払いや料理、お酒の映像が映されて、本当に今日だって何でもないただの金曜日なのにこんな映像さえ、こんな日でさえ、クリープハイプは特別にしてくれるな、と思っていた。パーマをかけ過ぎてもカッコいい尾崎さんは今のわたしのiPhoneの待ち受け画面の中にいる。

日々の何でもない私たちの気持ち、それを歌ってくれるのがクリープハイプの音楽。「世の中がなかったことにしてしまうそんな感情を歌っていきます」というMCのあとに「明日はどっちだ」社会人になってからの2年間の辛かった毎日を思い出す。何もしないくせに口ばかり出す上司にイライラしていたけど若さだけでキラキラしようと頑張っていた時。クリープハイプのおかげでなんとか乗り切れてきたよな。多くのファンが大切にしている曲。朝焼けの映像と共に流れるその音に揺れてまた明日から頑張ろう、と思った。

久々の「ラブホテル」歌詞がめちゃくちゃだったけど楽しかった。夏フェスを思い出す曲。夏のせいにしたいことばかりだ。「かえるの唄」はカオナシさんの曲の中でも1番好きな曲。間奏前に小さく「茹だれ、武道館」と言ったのがとてもかっこよかった。

興奮冷めやらぬまま聞き覚えのあるアレンジが。始まったのは「憂、燦々」もうはじめのギターの音、照明だけで反射的に憂、燦々だと感じてしまうくらい聴いたしそれだけで涙が出てしまう曲。クリープハイプと出会って、はじめてライブ遠征をするようになった時のツアーで核となっていた曲だしバンドを大きくすることになった曲なので本当に大切過ぎて泣いてしまう。アネッサのCMタイアップとなったこの曲のおかげでその辺のおじさん達にもクリープハイプが周知されて。4年前の武道館でも同じことを感じたけど4年前よりももっとたくさんの人で埋まった武道館で聴いた憂、燦々は特別で、やっぱり大切だった。

「やっぱり生まれ変わってもクリープハイプになりたい」そう言って始まった「イノチミジカシコイセヨオトメ」は「生まれ変わったら何になろうかな、コピーにお茶汲みバンドマン」という風に歌い変えた。そして「手と手」会場の盛り上がりは最高潮へ。

「ヒットソングでトドメを刺します」と言って始まったのが「HE IS MINE」一万人以上のアレが響き渡る。尾崎さんの指クイ、今まで見た中で一番長くて挑発的だった。畳み掛けるように「社会の窓」歌詞通り「最高」な雰囲気に。でも、まだこれで終わりじゃない。クリープハイプのヒットソングは更新されていく。映画「帝一の國」の主題歌となった「イト」は本当にたくさんの人に届いた曲。ホールツアーで飛んだ銀テープ。大サビでその景色がフラッシュバックする。

「バンド以外のところで流行っていて悔しい」そんな本編最後の曲は「栞」大阪のラジオ局FM802のキャンペーンソングとなったこの曲はオンエアされてからあっという間に全国で聞かれている。先日のリクエステージで初めてバンドVer.披露となったのでわたしが聴いたのは2回目。尾崎さんがひとりで歌ってから曲がスタート。会場にはひらひらと桜の花びらに模した紙吹雪が舞い散った。桜が散る、というのはなんとなく後ろ向きな雰囲気がするが、この曲は後悔もあるけど前を向こうという曲で、本当に4月から何度も聴いた。クリープハイプの楽曲として出してもらえることを期待している。

本編が終了してメンバーはステージから降りた。本当にここまでが一瞬で、信じられなかった。まだあの曲演ってない。というのがたくさんあったし、例の「移籍の曲」もまだだった。

メンバーが再登場。MCなしで「なぎら」含みのあるこの曲。もしかして移籍の曲は大人の事情でできなかったのではないだろうか。

尾崎さんはピンク色のシャツに着替えていて「アンコールで自分たちのバンドTシャツを着るバンドマンはクソだけど、衣装が選び切れなくてどちらも着るバンドマンは可愛いよね」と一言。会場は女の子達の黄色い声に包まれる。

9月の2年ぶりのアルバムリリースと、10月のライブハウスツアーの2つが発表となる。待ち望んでいた発表に興奮しつつ「最後は前に進みます」というMCのあと「前に進め」というフレーズが印象的な「二十九、三十」を演奏。4年前の痛々しくて怒りや憎しみに溢れていた武道館から、前に進み、明るく前向きな今を歌った彼等。

まだまだ興奮冷めやらない会場。ダブルアンコール。「死ぬまで一生愛されてると思ってていいですか?」メジャーファーストアルバムの1曲めである「愛の標識」で最後を飾った。ホールツアーでも「リスタートの曲」として大事な立ち位置にいたこの曲。今回の武道館公演も新たなスタートなのかもしれない。過去と決別して前に進んでいくクリープハイプ。これからも捻くれ者だけど優しくて大切でありふれた当たり前を特別に変えてくれるクリープハイプを見続けて行きたいと思った。

武道館公演後、たくさんのラジオ番組でライブについて話をした。「クリープハイプのすべて」はベストアルバムのようなライブだった。が、まだまだ聴きたい曲もたくさんあったし、たったの2時間半では全てを語り尽くすことはできないだろう。「また次にね。」そんなライブにしたかった。当たり前のライブを武道館でやりたかった。そんなコメントもあった。日本武道館には魔物がいる、なんてよく聞くが、本当になんの変哲も無い普通のライブだった。(あくまでも良い意味で)4年前の事もあったし素晴らしいフライヤーによって期待値もすごく高かったのだが、武道館公演も特別なんかじゃなく当たり前に演ってしまう、そんなバンドにまでなった。そういう表現が正しいのかもしれない。

ライブの帰り道のあのなんとも言えない気持ちを今も思い出す。幸せの中にも怒りがあった。どこまでも満たされないのかもしれない。尾崎さんに対して、「こんなにファンがたくさんいるのにどうして満たされないんだ」といつも不思議に思うけど、自分だってこんなに良いライブを観たのに、「もっともっと」と思ってしまった。似てるなんて恐れ多くて言えないけど、そういう部分があるから彼の事を好きなのかもしれない。
 

新しいアルバムは全曲イト以上だとメンバーは語った。そんな彼等のアルバムとツアーへの期待が止まらない。この夜のことも、忘れた頃にまた思い出すだろう。
 

栞がわりに、このレポートを。

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