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この国ぃ、超カッコいいバンドがいるらしいっすよ。

じゃけん今聴きましょうね〜。THE NOVEMBERS 6th EP『TODAY』レビュー

「しずけさが鳴る、けんそうが唄う」__帯に記されたキャッチコピーが見事に本作を表している。

今までにもノーベンバーズには「激しさの中に優しさ、穏やかさ、繊細さ」が同居する曲はあった。
「バースデイ」や「Rhapsody in beauty」、「いこうよ」などなど。
その逆に「静けさの中に激しさ、ある種の怒り、諦め」が同居する曲も。「keep me keep me keep me」、「心一つ持ちきれないまま」、「ただ遠くへ」…。

しかしこれほど「静けさの中に批評性」が高次元で融和しているのは今までのノーベンバーズとしももちろん、世界中探してもそうそうないのではないだろうか。それこそレディオヘッドやフランク・オーシャン、中島みゆきとかの話になってくるぐらい。いやマジで。

先行公開された「みんな急いでいる」に先ずヤラれた。殆どギターの弾き語りに近いような、ノーベンバーズの中でも特に静かで優しい曲だけれど歌う内容は情報に追われ、ツールに使われる現代社会の悲哀を描いている(ように聞こえる)。
“此処にない場所にきっと 綺麗に咲いてるはずと 脇目もふらず歩いていく”……このラインなんか病的にポジティブであろうとするJ-POPへの最高のカウンターじゃないかと思う。
ボーカルのキーも低くて囁くよう(今回は全部低くて喉に優しい笑)なのだけれど、急かすように、だけど曲の繊細さを乱さぬように打ち込まれるライドがまた凄い。これは吉木のドラムプレイでも最高レベルじゃないかと思う。ライブでは無茶苦茶神経使いそうだけど。

「O Alquimista」は元々、小林が311の際に発表したデモ音源のバンド版で、アレンジも大きく変わっていない。
これまた子守唄のように穏やかなんだけれど、歌詞はノーベンバーズの中でもある意味最も過激的で、“片想いのテロリスト”とか“どこかで善い人が善い人を殺したよ”とか歌っちゃってる。
原曲はもう7年も前になる訳だけど、聴いてみると今入るべくして入ったなというのが分かる。

「Cradle」はバンドを語る上で欠かせない影響を与えたL’Arc〜en〜Cielのカヴァー。
小林がyukihiro本人に聞いたところ、何でもこの曲は「マッシヴ・アタックみたいなのをラルクに持ち込んだら、ああいう形になった」そうで、ノーベンバーズ版はそれを参考にしたとのこと。
ちなみに、1番サビのあとに、ラルクの別の「あの名曲」のフレーズが…愛がスゴイ笑
本作は小林のシャウトと共に、バンドのトレードマークである爆音ギターも無くて、歪みはこの曲のソロとバックに効果音的に使われているぐらい。

ベスト盤『Before Today』後、初めての新曲ということで、そのものズバリ「TODAY」と名付けられたタイトル曲は、ケンゴ必殺のシンセギターが彩るドリームポップ。
曲の背景に流れる生活音、町の音で「みんな急いでいる」と繋がっており、EPの終わりとも始まりとも解釈できる。

4曲で20分と、ボリュームは少ないんだけど内容は濃い。
もう大抵のことじゃ驚かないゾと思っても、いつもこのバンドには想像をぶっ飛ばされる。

現在の日本のロックバンドは何もかも「過剰」になっている。音の重ね方も音圧もボーカルのキーも、ポジティブシンキングも宣伝も、ファングッズさえも。
そんな中でノーベンバーズは、形骸化しない数少ない本物のオルタナティヴとして異彩を放っている。
それでいて曲そのものやメッセージは奇をてらうことなく、王道を征く普遍的な美しさを感じる。

いやあ、マジでレディオヘッドとか中島みゆき、ラルクぐらいビッグになって欲しいな。
日本に住んでいてこのバンドを聴かない、観に行かないって損していますよ。

今すぐ聴くべし!こばうさは「みんな急いでいる」って歌っているけどね!

最後に、彼らのディスコグラフィーから個人的に特にオススメの作品を簡単に紹介しよう。

☆2ndEP『paraphilia』:
ケンゴマツモトのエフェクターを駆使したギターによるシンセサウンドが登場し、2nd Album『Misstopia』と共に、今日のバンドサウンドの基盤を作り上げた。メンバーもお気に入りの作品と発言しており、実際EPの中では特に演奏される曲が多い。
歌詞に「雨」がやたら多いが、彼らは業界切っての雨男集団として悪名高い。間伐地帯でライブしたら救世主となるかも知れない。

この作品は”これから どこへいこうか”(mer)という言葉で終わる。

この頃ケンゴは焼酎ロックを飲んでいた。

☆2nd Album『Misstopia』:
この作品は”どこへでも行ける/そこに心があるかぎり”(Misstopia)という言葉で始まる。

メンバーが口を揃えて「マジックを感じた」という表題曲を始め、「dysphoria」「Gilmore guilt more」とライブの定番曲も多い、初期の頂点。
個人的には「Misstopia」を始めて聴いたとき、メンバーと同じようにマジックを感じ、「俺このバンド一生聴くわ」と確信した。今でもこの曲のイントロが流れるとライブ会場の雰囲気が変わるのを感じる。私のような初期からのファンは特に思い出深い名曲中の名曲ではないだろうか。
作風も1st Album『picnic』のUK味付けグランジからシューゲイザー・ポストパンク・クラウトロック・インダストリアル・ラルク アン シエル…と世界観を大きく広げたが、この後311の発生により、バンドは大きな転換点を迎える。

この頃ケンゴはレモンサワーを意識し始めた。

☆4th Album『zeitgeist』:
バンドが自主レーベルMERZを立ち上げてから初の作品。
現在は全国リリースされているが、当初は「メンバーが選んだレコードショップで販売してもらう」という正気の沙汰とは思えない方法を取っていた。
テーマは「選択」「ディストピア」。
ノーベンバーズの作品でも特にポストパンク色、インダストリアル色の強いダークで変態紳士な作品だが、歌詞には今までにないブラックユーモアがあり、よりエンターテイメント性を増した作品でもある。

この作品には”死ぬ事を思い出しても/その心臓は張り切ったりしない”(Wire(Fahrenheit 154))という言葉がある。

ライブの定番曲であり、地獄のグランジゾーンへの狼煙となっている劇薬ナンバー「鉄の夢」は、架空のSF作家ヒトラーを主人公にしたSF小説の題を拝借したとのこと。どこで見つけたんだそんなもん。

この頃ケンゴは本絞りサワーと運命的な出会いを果たす。

☆2nd Single『今日も生きたね』:
究極の一曲。ノーベンバーズのみならず、日本音楽史に残すべき究極の一曲。俺たちの時代のアンセム、俺たちの国の「Imagine」、俺たちの時代の「川の流れのように」。
NHKはこの年、この爆音小僧たちを紅白に出すべきだった。

ノーベンバーズ流「アンセム」をテーマに作られた曲で、ライブでは最後に演奏されることが多く、ベスト盤でも最終曲に配置されている。
アンセムと言ってもフェスで観客が拳を上げて合唱するタイプの曲ではなく、「聖歌」「讃美歌」として、小林祐介は愛娘に向かって命の愛おしさを歌っている。

この作品には“君の事ばかり考えているわけじゃないけれど/自分の事と同じくらい君の事を考えているよ今も”(今日も生きたね)という言葉がある。

なおこのシングルには同内容のCDと歌詞がギフトとして同梱されており(最近、ハイスタもやってましたね)、この作品をきっかけに結婚したカップルもいるとのこと。
残念ながら私は今日もソロプレイだね。

この頃ケンゴの近所のスーパーマーケットに本絞りのレーンが2列増える。

☆6th Album『Hallelujah』:
最高傑作。ノーベンバーズの最初の11年がここに詰まっている。YAVAI。

聴いているこっちの方が心配になるぐらい絶叫したかと思えば、子どもに聞かせるように優しくなったり。
しかしオマエら多重人格かとは思わない。彼らはただありのままに歌っているだけなのだ。
繰り返しになるが、ノーベンバーズの楽曲に奇をてらうところはなく、メッセージも世界情勢とか宗教観とかを歌ったものではない。
ありふれた狂気の話、美しさの話、生活の話を歌っているのだ。
だから私は彼らをグランジやシューゲイザーなどの90’sの要素も消化した「21世紀の王道ロックバンド」と考えている。

この作品は”愛なき世界を/爆音で震わせるきみの/何かがかわる/いこうよ/いこうよ/いこうよ/いこうよ”(いこうよ)という言葉で終わる。否、始まる。

お楽しみはこれから。

☆番外編『NEVERMIND TRIBUTE』:
ニルヴァーナの歴史的名盤のトリビュート盤で、他にもONE OK ROCKや9mm Parabellum Bulletが参加している。

ノーベンバーズは「Stay Away」をカヴァー。参加アーティストで最もニルヴァーナに音楽性が近いはずのノーベンバーズだが……?

ノーベンバーズはカヴァー曲もどれも名演なのでオススメ。

発売時期からすると、この頃ケンゴはレモンサワーばかり飲んでいたと思われる。

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