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2017年4月20日

いわし (26歳)

ただ「好き」だということ

the chef cooks me「song of sick」と出会ったときの話

 
 

2年ほど前、音楽に対する向き合い方がわからなくなって、ああでもないこうでもないと悩んでいた。わたしの音楽に対する「好き」は間違っているのだろうか、「好き」な理由はなんだろう、そもそも「好き」ってなんだろう、なんて悩み続けていたらだんだんとわたし自身の音楽に対する気持ちを疑ってしまうようになった。

そんな時、友達に誘われて行った下北沢のサーキットイベント、朝方にとあるDJの方が流した曲にものすごく感動したのだ。その曲がかかっただけでフロアは沸き立ち、みんなが手を叩いて音楽を楽しんでいる。その姿を見て、ここに集まっている人たちはみんな同じように音楽が好きなだけなんだ、と嬉しくなった。

声を聴けばすぐにthe chef cooks meの曲だと気づいた。
実をいうと、シェフのライブにはもう何年も行っていない。この曲を聴いたのは初めてだったし、曲名も知らなかった。友達がシェフを大好きで、一緒にライブに行ったことがあって、わたしもシェフは好きだったけれど、友達の好きなバンド、という感覚が強かった。
この曲に出会うきっかけになったDJの方が出るイベントにはその後何度か足を運んだ。予定調和のように流れるこの曲だけれど、いつだってその場にいるみんなが笑顔だった。曲名を調べて、すぐにCDを買って、ずっと繰り返し繰り返し聴いている。
 

わたしはこの歌と出会うべくして出会ったのだと思う。
たったの数回しか聴いたことがなかった歌。友達が大好きなバンドの大好きなひとが作った歌。
それまでももしかしたらどこかで聴いていたのかもしれないけれど、音楽に対しての気持ちを見失いかけていたタイミングだったからこそ、その時初めて心にすとんと落ちてしまった。
 

シモさんもおんなじこと思ってたのか、ってこの曲を聴いたときにひどく安心した。
「song of sick」直訳すると、「病気の歌」。
何度もこの曲を聴いて、歌詞を反芻するうちになるほど納得した。
こんなにもド直球に音楽に対する愛を歌っている歌には初めて出会った。
シモさんもきっと、純粋にただ音楽が好きなだけなのだ。
好きだから悩むし、苦しい、つらいことも悲しいこともある。かと思えば、世界がきらきら輝きだしたり、楽しくてうれしくてたまらなかったりもする。
それも全部ひっくるめて、ただ音楽が愛おしいのだ。
 

友達がこのバンドを好きじゃなかったら、友達があの日のあのイベントやあのフェスに誘ってくれなかったら、そこでDJブースに行かなかったら、たまたまこの曲をDJの方が流さなかったら。
全部つながっていく。
この出会いのきっかけをくれた大好きな友達には本当に感謝。
 

この歌こそがわたしの言いたいこと伝えたいことの全部だ、ってことに気づいた。

こんなにも愛おしい。
狂おしいほど愛してる。
うん、寝ても覚めてもたったひとつそれだけしか考えられない。

今のわたしにとって音楽ほど愛おしいものはないのだ。
頭の中でずっと音楽が流れていて、その音が鳴り止むことはない。
それこそ本当に例え話、音楽に恋をしているようなもので。
それはまるで恋の病。
この胸の高鳴りも、ぎゅっと締め付けられる切なさも、恋煩いに似たような症状だ。
好きという感情に理由なんてものは必要ない。
胸がときめくのも、ぎゅっと苦しくなるのも、その原因が「好き」だから。
こんなにも胸を焦がすものは、あとにも先にもきっと音楽だけなのだ。
 

そういうたくさんの音と音楽と出会うきっかけをくれたたくさんのひとたち。
大切で大好きでたまらない。ありがとう、感謝しかない。
すごく今更なのだ、わかっている。
音楽と音楽でつながっているすべてのひとたち、のおかげ。

わたしはしあわせです。本当に。

わたしの中にたったひとつ、まっすぐ真ん中にあるもの。
それが、この歌に全部つまっている。

音楽が好きだ。
ひとが好きだ。

たったそれだけ。
それがすべて。
 
 

「song of sick」the chef cooks me

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