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蒼が群がる。向こう側から。

サキヤマソウシヲキク。崎山蒼志という音楽。

むせかえるような肌のにおい、じっとりと身体にはりつく服、汗でたばたばになった前髪、
キモチワルイ。
何か生々しいモノ、けがらわしいモノ、
キモチワルイ。
胸の下のあたりがぐるぐるして、
キモチワルイ。

14歳の娘が初めての恋をした。

幼い綺麗な恋が、ふっと生々しく感じたとき、自分が汚くなったみたいで泣きたくなった。

うしろめたさがキモチワルイ。
罪悪感でキモチワルイ。
必死にココロの違和感を伝えようとしてくれた。

ふっと、映画『リリイ・シュシュのすべて』を思い出した。
大人になってから感じる中学生の時のノスタルジーとは言い難いあの未完成な世界。
小さなその世界がすべてで、息苦しく、自由なモノなど無く、これからもずっと生きていかなければならない焦燥感、絶望感。

その時間を生きていたときには感じなかった。
必死に生きようとしていたから。
大人になってから、親になってから気づいたあの時間の特別なキモチワルイ感じ。

幼稚な残虐性、自我の脆さ、存在の儚さ、何もかもが曖昧で不確かな、繊細で美しい世界。
見たくなかったような、でも目を背けられないような、
思い出したくなかったような、でも愛しいような。

初めて崎山蒼志という音楽を聴いたとき、ざざーっとあのキモチワルイ感じ全てが流れ込んできた。鮮明に。
でも同時に何故か、うしろめたさが、罪悪感が消えた気がした。
今あの時間を生きている彼のそのままが綺麗だと思った。
とても愛しくて泣きそうになった。必死に生きようとしているから。

毎日成長しているキミたちを1日たりとも目を離してはいけないと思った。
 

これまでに聴いてきた音楽は、すべて楽曲に、音に、強い声に惹かれた。詞はどうでも良かった。
だから耳は良い音を拾おうと常に研ぎ澄ましているけれど、言葉は、詞は、大事ではないモノとしてポロポロと耳からこぼれていく。

彼の音楽は、あふれる感情がギターの音を通してカラダに届き、どの楽曲も彼の感性で脳に絡みつき、彼の声は直接心臓に突き刺さる。素晴らしいと感動する前に鳥肌が立つ。

彼の音楽をもっと知りたくて、脳に絡みついた音を、こぼれていく言葉を書いてみた。
久しぶりにペンをとり、たくさん書いた。

少し、あの時間を思い出した。

頭の固まった自分にはほとんど理解できなかったけれど、書いた文字はやっと脳に焼きついた。自分の糧となり積もっていく気がした。

ふっと、あの頃先生が言っていた『書いて覚える』は本当だったと思った。

彼の言葉の中にたびたび『青』『蒼』が入る。
誰にも平等にそこにある海、空の『あお』。
足りないものを補ってくれる『あお』。
不穏な世界へ誘う『あお』。

『あお』という言葉はないのに、深く『あお』に包み込まれる胎児の夢のような曲『潜水』。
彼が『蒼』に還ってしまうのではないかと不安になる。
内側に深く広がってゆく彼の蒼い世界は、もがき続けるあの時間を必死に生きようとするキミたちを救ってはくれない。
でもいつでもそこにある。キモチワルイ矛盾を蒼く浄化してくれる。

虚構ではなく。
生々しい体温を感じる現実で。
同じ時間を生きて日々。
朝が来るたび、夏が来るたび。
海を眺めるたび、空を見上げるたび。
感情を重ねて成長する音楽を、キミたちを、見ていたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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