1445 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

どこかで“探している”人へ

THE PINBALLSをいま聴いてほしい

やっと見つけた。
絶対にいると思ってた、探してたんだよお前らのこと。

初めて彼らの音楽を聴いたとき、そんなことを思った。自分の好きな、自分が思う完璧なロックバンドだった。こういうバンドが今の日本にもいるはずで、淡々と曲を作りライブハウスで演奏しているはずだと信じて疑わずにいたが、ついに見つけたと思った。THE PINBALLSというバンドだ。

昨年の春に、そんな風にして知った彼らは12月にメジャーデビューを果たした。そして今年の4月にメジャーで初めてのシングルをリリースした。光の三原色に由来し「Primal Three」と題されたこのシングルには、バンドの気合と自信が溢れた3曲が収められている。

メジャーデビューからはまだ日が浅いが、彼らのことをまだ知らない誰かにも早く見つけてほしいと思っている。自分も含めてこのバンドを探している人は必ずいるはずで、「見つけたい」と思っている人ならば聴けば一発でわかると思う。そういう“引き”みたいなものを持っているバンドだと感じるのだ。そしてこのシングルは、今までよりも多くの人の心を引っかけてくぐりながら、本当に彼らのようなバンドを探している人に突き刺さるものになっている。つまり見つけるなら今がチャンスだ。なんとしてでも、出会ってもらいたい。

1曲目は「Lightning strikes」、燃え上がる赤色のようなリード曲。THE PINBALLSでの最初のライブのMCで話した「7回雷に打たれても死ななかった男が、1度の失恋のショックで自殺してしまった」という話をボーカル古川はとても気に入っているという。初期衝動のような興奮も音からビリビリと伝わってくるが、音楽に恋し雷に打たれる真っ最中であることが歌詞に刻まれている。脈打つように歌われる《細胞と細胞と細胞が脳》。彼らの曲の中でも一際派手であるが、感覚的なイメージをさらりと歌詞にする技術は健在で嬉しくなってしまう。

2曲目の「Voo Doo」はこの3曲の中で最もこのバンドらしい、妖しいマジックとレトロなアンティークっぽさに満ちている。ベースのリズムに乗って、踊るように漂う青い粒子が浮かんでは身体を流れる。飄々として掴み所がないような曲でありながら《傷ひとつない奇跡なんて 用はないぜ》と打ち込んでくる彼らの足元は、とても確かだと思う。

3曲目で最後を飾るのはバラード「花いづる森」だが、このバンドではとてもレアなタイプの曲だと思う。もちろんバラード曲は様々あるし綺麗なメロディーは彼らの得意とするところなのだが、こんな風に最初から最後までヴェールで隔てられたような曲は今までに無く、実は一番挑戦的な曲であるように感じる。ぼんやりと淡い光にゆっくりと塵が舞うような静けさの中で、緑の森は変化し続けているのだと感じさせる歌詞がとても美しい。そして曲全体を通して“終わり”の空気が立ちこめている。花はこれから咲くのだが、なんだか何かが死んでいるような、眠るように死んでいく気配が静かに流れているのだ。それがこの曲の一番の美しさだと思う。

そんな3曲が詰め込まれたこのシングルだが、初回盤にはバンド初のライブ映像も収められている。これがメジャー初のシングルとは思えないほどに仕上がったライブパフォーマンスで、彼らが培ってきた柔軟な強さと格好良さと愛あるMCが詰め込まれている。そこまで入れるなら全部収録すればいいのにと思ってしまうほどに詰め込まれ、溢れているのだ。今回のシングルではあまり晒されていない、“爽やかで切ないガレージバンド”としての彼らの名曲もこのライブ映像で一層磨かれている。

とにかくこのバンドとこのシングルの良さについて述べてきたが、正直言ってものすごく多くの人に刺さるわけではないとも思う。だからこそ、自分が愛せる最高のバンドをずっと探している人にはすぐに聴いてみてほしいと願っている。誰かひとりでもいいから、「見つけた」という雷のようなあの感覚に打たれてほしい。ずっとずっと、こんなバンドを探していたから。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい