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カタルシスを感じて

RADWIMPSの勝負とは?

再び、RADWIMPSを題材に音楽文を書かせて貰う。
5月30日、新曲である「カタルシスト」が主要音楽サイトから先行リリースされた。これを待ち望んでいたのは恐らく僕だけではなく全国、いや世界中のwimperだろう。
この新曲はフジテレビ系2018年サッカーワールドカップの放送テーマ曲となる事がリリース前に発表されていた。

RADWIMPSといえば、2011年にNHKサッカーテーマ曲として「君と羊と青」という名曲を生み出している。
彼らがおよそ7年前に描いたこと、それは一点の曇りもない晴れ渡った現在形。それは若さが両手に留まっている間だけに感じられる、無敵感。

というイメージを残したまま、初めて「カタルシスト」はTrailer映像によってサビ部分のみが先行公開される形となった。僕が初めてカタルシストを聴いた時には、「君と羊と青」と変わらないような澄み渡った希望の歌詞がファンファーレのようなメロディーに乗せ、声高らかに歌われていた。

(誰かを負かしたいわけじゃない ただ自らの高みへ 昇りたい 出逢いたい まだ見ぬ自分の姿に)

凄いなと思った。野田洋次郎さんも30代。アーティストに年齢なんて関係ないのだけれど、こんな向上心を鋭い言葉で7年前と変わらずに描けるなんて。そう思っていた。

そして、5月30日の先行リリース。もちろん僕は学校から帰ってくるなり急いでダウンロードをした。そして、解禁された曲の全貌を目の当たりにして立ち尽くした。
ラップ調の歌詞が前半から自分自身を攻め立てるように流れ込んで来る。
歪んだギターリフがまるで何かへの恐怖心を煽るかのように、ラップ調の歌詞を責め立てるように聴こえる。
なんだ、なんなんだ。
そして、あのサビへ。
それまでとは打って変わって迷いが消え去ったかのような雰囲気を感じられる。

Trailerを聴いた段階では「君と羊と青」のようなアップテンポのリードトラックを想像していた。
この歌詞は、その為にあるものなんだなと感じた。
決して、勝負というものは簡単ではないという事に。

オリンピックやワールドカップ、世界大会が開催されると人々はそれに熱狂する。
選手達は颯爽と観客の前に現れ息を呑む闘いを繰り広げる。
そして、勝者と敗者が決まる。
勝者のその後は、輝かしい。今までどんな経験を積み重ねてきたか、如何に壮絶な生い立ちだったか。
それが多くの者に伝わり、美談になる。
勿論、勝つ事の出来た選手の壮絶な過去を聞くとその選手に尊敬の念を抱く。と同時に感動する。
そして、選手である事の過酷さに驚くのではないだろうか。
ここまで書いて考えて欲しい。同じような経験を今、僕はしている。

そうだ、Trailerを聴いていた時だ。
僕は一番に盛り上がるサビを聴き、熱狂した。
Trailerに興奮している時が、試合をしている選手を静かな緊張と共に応援している自分と重なる。
そして、曲の全貌を聴いて驚く。
まるで壮絶な選手の過去を知った時の様に。
 

考え過ぎだろうか、この曲はそんな観客の心理すらをも楽曲によって再現しているのだ。
そして、歌詞だ。
ラップ調の部分では試合に望む選手の不安。色々な思いがあるが勝たなければ何も始まらないプロの厳しさ。決して綺麗事だけでは済まされない現実がキリキリと音を立てて聴く者に迫って来る。
サビ部分では、試合中を表しているのだろうか。
ここまで来たからには勝つんだ。俺はこの為に選手をやっているんだ。迷った末に辿り着いた真っ直ぐな覚悟。
まさに、いつも液晶パネルが映し出す選手の姿だ。

どちらも欠けてはいけないと思う。勝った者だけが努力をしていた訳じゃない。7年前には描かれなかった勝負の世界の厳しさがハッキリとそこに液晶パネルではなく、芯のあるサウンドとリリックで映し出されていた。

カタルシスとは「浄化」を意味する言葉だ。
どういう意味が込められているのだろう?
観る者を魅了する選手達の姿に、我々オーディエンスの心が動かされて(カタルシス)されるのか。
それともこの曲が、不安と戦う選手達の悲しみを(カタルシス)するのか。

この曲が今年のワールドカップにどんな影響をもたらすかにも楽しみなところでもあるし、この曲がもっと多くの人の心を(カタルシス)して欲しい。

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