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Base Ball Bear の進化論

仙台darwinというライブハウスを通して感じたバンドBの2年間の軌跡

小出祐介(Vo&Gt)、関根史織(Ba&Cho)、堀之内大介(Dr&Cho)。
“4人だけの音で”を絶対命題としてきた彼らがこの3人でバンドを続けていくことを決め、もうかれこれ、2年が経った。
これまでたくさんのギタリストたちがサポートに助けてくれ、時にはブラスや鍵盤も入れながら、3人だけでアルバム「光源」も完成させた。

そんな中でいろいろと試行錯誤を重ねていくうちに改めて芽生えた、“音楽が楽しい”という気持ちと、“3ピースバンドとして自立したい”という意地…そんな想いから、ついに満を持して3人だけで回ることになったのが今回のツアー「LIVE IN LIVE」だ。

その仙台darwin公演を観てきた。
この会場には並々ならぬ思い入れがある。
そう、湯浅将平(Gt)の脱退発表後の、初めてのワンマンライブを観に行った場所だからだ。
初めに断っておくが、自分は仙台に住んでいるわけでも、仙台に縁があるわけでもない。
遠征をしてでもライブを観に行くほど、ベボベが大好きなのだ。

忘れもしない、2016年3月5日土曜日。
あのときの記憶は未だに鮮明だ。
何とも言えない重苦しい空気感の中で、それでも3人で続けていくという決意を持ち、仙台darwinのステージに立ったベボベ。

脱退発表はつい3日前のことだ。
自分含め、現実を受け入れられず、不安を抱きながらも会場まで見届けに来たオーディエンスが多かったであろうことは勿論、小出がMCで「どんな気持ちで話したらいいか分からない…キャラクター迷子だ…」と語っていたように、あまりに突然の出来事でメンバー自身も戸惑っていて、かつ演奏にはいつも以上に力みがあった。

それでも最後まで音を懸命に届けてくれた勇姿はこの上なく格好良かったし、目に焼き付いている。
そしてこのときは何といっても、サポートギターを務めてくれたフルカワユタカ(ex.DOPING PANDA)の存在が大きかった。

張りつめた雰囲気の中で「どうも、ロックスターでーす!」と弾けて盛り上げてくれたり、「しんみりしないでね」と言い優しさを見せてくれながらも、そのギタープレイには湯浅が乗り移っていたかのような熱さがあった。

そんな力強い後押しの中で、アンコールではフルカワを除く3人のみでステージへ。
これが正真正銘、3ピースバンドとしてのベボベの始まりの瞬間だった。

この日のMCでも語られたが、堀之内は「もし、誰かメンバーが抜けるようなことがあったら、俺もバンドを辞める!」と昔から言っていたという。
だから小出らも当初、バンドの解散を悟っていた。

言うまでもなく、このバンドの当時までの特徴であり、最大の武器でもあった“4人だけで音を鳴らす”という拘りを捨てざるを得なくなるからだ。
打ち込みの音は入れず、チューニングがクッチャクチャでも、すべて人力で。
それこそがベボベのロックだった。

ただ当時は「C2」というアルバムを完成させた直後で、バンドとして音楽的な幅広さを手に入れ手応えを感じていたとき。
メンバー皆、「まだ何かやれるんじゃないか、まだこのバンドでできてないことがあるんじゃないか、やってみたい!」という想いの火は決して消えていなかった。

そんな、3人でベボベを続けていくという剥き出しの覚悟が、当時のアンコールの演奏からはありありと滲み出ていた。

それからも彼らはフルカワをはじめ、石毛輝(the telephones/lovefilm/Yap!!!)、田渕ひさ子(toddle/LAMA)、ハヤシヒロユキ(POLYSICS)、津野米咲(赤い公園)、弓木英梨乃(KIRINJI)といった心強いギタリストたちの力を借りながら、時にフェスやLEGO BIG MORLとの対バンイベント等で試験的に3人のみでもライブをしたりと、これからのベボベの在り方を模索し続けた。

(改めて、多くのミュージシャンたちが手を差し伸べてくれたのは他でもなく、ベボベがこれまで築き上げてきたバンドどうしの絆や信頼、そして何より皆ベボベが大好きで、彼らへの惜しみない愛とリスペクトがあったからだということを、感謝の気持ちとともに特筆しておきたい。)

自分もその軌跡を可能な限り見届けてきたが、そうした様々な形でのライブを観ていくうちに、技術や魅せ方など、あらゆるものを吸収してバンドがフィジカル的にも精神的にも良い方へ、良い方へと変わっていくのが実感できた。
何より大きいのは、彼ら3人がより結束を深め演奏を楽しんでいるということだ。

昨年の日比谷野音公演のMCでは、音を奏でる充実感とその感覚の”一致”感、そして昔じゃ考えられなかったような、メンバー3人だけでフェス帰りにベンチに並んでアイスを食べたというエピソードも語られ、本当に危機を助け合って乗り越えてきた中で深まっていった絆の“良さみ”を感じた。

非常に前段が長くなってしまったが、こうして「もう、ベボベは大丈夫だ!」と確信して改めて迎えた2018年5月27日日曜日。
そんな彼らが(ダーウィンだけに)2年前と比べどんな進化論を見せてくれるのか、どうしてもこの会場で観たかった。

ツアーとしては名古屋、渋谷を経て3本目ということもあり、前2公演の評判から伝わってくる興奮度と幸福感が物凄く、自分含めオーディエンスの期待値もかなり大きかった。

今か今かと皆がベボベを待ちわびている、明らかに2年前とは違う空気感。
それはお馴染みのXTCのSEが流れた瞬間の跳ねる手拍子からも分かる。
向かって右手に関根、左手に小出、そしてその間から堀之内が顔を出すように配置につく。
この三角形が新鮮だ。

現在もツアー中のため曲目については明言を控えるが、実際ライブが始まってみると、既に3ピースバンドとして乗りに乗り、軽々と期待を上回ってくるベボベがそこにいた。
自分自身も3人だけでのライブは何度かフェス等で観てきたが、そのときからという短期間の間にも、明らかにグルーヴやハーモニーがレベルアップしている。

20年以上続くベテランであるTRICERATOPSや、現在一線で大活躍しているUNISON SQUARE GARDENといった3ピースバンドたちのライブもまたよく観ているが、彼らのように、3人だからこその音の鳴らし方とそこに見える洗練された格好良さが垣間見える。

何より最も驚かされたのは関根だ。
ギターとベースが合体したような「チャップマンスティック」という楽器をここにきて解禁したのだが、さも昔から奏者だったかのように弾きこなしている。
実は他の2人に内緒で2年間ずっと、こっそり練習していたというのだ。

主要なメロディーを奏でるギタリストを失ったベボベにとって、メロディーとリズム、どちらも出せるこの楽器はまさにうってつけだ。
「私がこれを弾けるようになれば…」と陰での努力を経て演奏する姿には改めて、一生このバンドでやっていくんだ!といわんばかりの強い覚悟が見え、胸を動かされる。

また堀之内も、ドラミングのパワフルさが一層増しており、また関根がチャップマンスティックに集中している間はこれまで彼女が歌っていたパートを代わりに歌うなど、ドラムスという役割の範疇を越えてバンド全体をよりどっしりと支えている。

そして小出は、バッキングだけでなくリードギターも兼務しなければならなくなったが、これまでの楽曲たちを持ち前のセンスでアレンジしつつ、時には歌いながらカッティングを、時には「ギター俺!」とエモーショナルにソロを弾きこなして見せた。

そんな小出だが、4人時代と比べ最も変化が激しく、手数的に忙しくなったであろうにも関わらず、ライブ中、いつになく飛び跳ねながら演奏をしていたのが印象的だった。
そう、誰よりもその瞬間を楽しんでいたのである。

そしてMCでこう語った。
この会場は忘れられない場所だと。
あの発表の後、初めてこの3人でステージに立った場所だからと。
何とも心苦しさもあったあの感じ、きっとこれからも忘れることは無いでしょうと。

でも、これからは楽しさでその記憶を塗り替えたいと…!

本当に楽しくて楽しくて、楽しかった。
小出だけでなく、堀之内も終始笑顔で、関根も縦横無尽に駆け回り、時にお立ち台に立ち身体を揺らして、その言葉を自らが楽しむことによって体現していた。

そんな彼らを見て、楽しくないはずがない。
時に泣き笑い、皆で歌い合う、このピースフルで幸せな空間が広がっていることを、2年前、同じ場所で誰が想像しただろうか。

信じてきて良かった。
Base Ball Bearというバンドを信じて付いてきて、心底良かった。
緞帳の奥は暗闇じゃなかった。
ありがとう。

2年前はフルカワらに助けられ、何とかステージに立てていた3人が、3人のみでステージに立つということで技術面や演奏レベルがどれだけ進化しているかということを期待して観にきたTour「LIVE IN LIVE」仙台darwin公演。

でも違った。
そんなものは軽々と飛び越えて、やりたいことをやる、鳴らしたい音を鳴らす、今その瞬間を楽しむ、ライブに生きる、そんな3人になって帰ってきてくれた。
これこそが、今回感じたベボベの進化論。

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