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武道館よりも立ちたかった場所で、彼らはヒーローになった。

04 Limited Sazabys 日本ガイシホール公演を観て

“ほんとにでも名古屋ではさヨンフェスがあったり、いろんな夢を叶えさせてもらってて、なんたってやっぱさハイスタとのツーマンを名古屋でやれたってのはほんとに嬉しかったですね!あの日俺誕生日だったんですよ。ハイスタにガイシも立たせてもらって、そんな、ガイシホールなんですけど、我々5月5日にガイシでワンマンやります!自分たちの足でガイシに立ちます!絶っ対来てください力貸してくださいよろしくお願いします。”
2018年1月26日、Zepp Nagoyaにて行われたSquall tour ファイナル公演のアンコールで、GENさんからこう発表された日が、遂に来た。Hi-STANDARDにゲストとして呼ばれた以来の日本ガイシホール、その日そこに立っていたのは、紛れもなくわたしのヒーローだった。

記念すべき日本ガイシホールワンマンの一曲目に選ばれたのは武道館、そしてHi-STANDARDとのツーマンで一曲目に鳴らされた「monolith」——ではなく、「knife」だった。巻き起こる炎とともにわたしの気持ちも一気に高まっていく。続く「fiction」では数々のレーザーが音に乗って飛び交い、「Night on」ではバックモニターに首都高の映像が流され、10年のうち活躍の殆どの場がライブハウスだったとは思えないほど、彼らはアリーナならではの演出をしっかりと味方につけていた。そして、それ以上に驚いたのは、その演出を纏って飛んでくる彼らの音が、ひとかたまりとなってアリーナの天井から降ってくるように聴こえたことだ。
日本ガイシホールで初めて彼らを観たとき、その音は明らかに緊張を帯びていた。何度も何度も、全員の音を一つにしようと必死に顔を見合わせているのが見えた。日本ガイシホールに集まったHi-STANDARDのファンたちの心へ、何か届けようとがむしゃらに鳴らされたその音は様々な方向からガチャガチャとひしめき合いながら飛んできた。
しかし、この日は違った。序盤からその”違い”をまざまざと見せつけられ、”今日は伝説のライブになる”という期待が、確信へと変わった。

“我々名古屋のヒーロー04 Limited Sazabysは2年前上京して日本のヒーローになって帰ってきました。だけど名古屋の皆さんに愛されないと意味がない!何度だっていつだって現場で確かめ合いましょう。My HERO!”
発表されてからずっと日本ガイシホールで聴くことができるのを楽しみにしていた「My HERO」。彼らのヒーロー、Hi-STANDARDの難波さんから日本ガイシホールのステージ上で、”いつかフォーリミもここでやれたらいいね。”と言われた場所だからだ。ヒーローに憧れた気持ち、そしてヒーローになってやるぞという決意が、フォーリミ節全開のツービートに乗ってホール中に届けられた。
“僕らはずっと あの頃と同じ”とアウトロにねじ込まれた大事なメッセージから、”僕らはいつだってあの頃と同じ!だからあの頃の気持ちを思い出せ!”と「Remember」に続く。こういった歌詞やタイトルの言葉、意味をふんだんに使った繋ぎの部分は毎度よく思いつくな、と感心させられる。たったの49秒間だが、あちこちでダイブが起こり、さながらライブハウスに居るかのように熱気の渦がステージと客席の間でぶつかり合っていた。

“俺たちは今日本ガイシホールに立っている!”
から披露された12年前に作ったという「Standing here」。10周年ツアー全箇所で久しぶりにこの曲が披露されたのは、バンドを始めて10年経ったけど、ライブハウスでやってきた時からなんら変わっていないという姿を、特にずっと応援してきてくれた人たちに観せたかったからではないか、と感じた。また、この曲の間はモニターが4つに分かれ、一人一人をしっかり映し出していた。それぞれの成長を余すことなく観せてくれた、粋な演出だった。
そして、”俺たちは今日本ガイシホールに立っている。何処でもない、今、此処!Now here, No where”
と続き、04 Limited Sazabysが日本ガイシホールに立っている、という事実が、言葉と音を通じて身体中に染み込ませられていった。

“こんなめでたい日にゲストを呼んできました。”とステージに招き入れられたのは、なんとオリジナルメンバーで元ドラマーのUDOさん!会場全体がざわめいた。台本も何もないトークがゆるゆると始まる。”KOUHEIが7年分だけだからやっとUDOが3年分持ってきてくれたわ。” “あの時あんなことがあったよね、ああKOUHEIはいなかったから知らんわな。”とGENさんによるお得意のKOUHEIさんいじりも混じえつつ、その度に椅子の上で膝を抱えたKOUHEIさんがモニターに映され笑いを誘い、終始和やかな雰囲気だった。また脱退当時GENさんはブログに”UDOのカレー嫌いによって溝ができて…”と綴っていたのだが、その話にも触れ、UDOさんから最近ついにカレーが食べれるようになったとの報告があり、当時を知っている人たちにとってはたまらないな、と思った。わたしは今の4人のフォーリミしか知らなかったので、結成当初のフォーリミの様子が垣間見れたような気がして嬉しかった。そして、UDOさんがしっかりと”おめでとう”という気持ちを届けに来てくれたことはもっと嬉しかった。
さらにもう一人のスペシャルゲストとして、SUPER BEAVERの渋谷龍太さんが登場。フォーリミの中で1番エロい曲を、エロいヴォーカリストと、として「mahoroba」が披露された。巻き舌のタイトルコールで始まり、音を纏ってどんどん立ち姿から溢れ出る色気に圧倒され、この人のために作られた曲かと錯覚するほど似合っていた。最後にしっかりとメンバーと抱き合う姿を観て、本当にフォーリミは周りから愛されているなということを改めて実感させられた。
それは彼らが、どんなステージでも、どんな時でも”ありがとう”をきちんと伝えてくれるからだと思う。この日も”10年続けてくれてありがとうと言ってくれる人もいますが、こちらこそ着いてきてくれてありがとうと思ってます。”と伝えてくれた。
“バンドをやってきて嬉しかったことは、反対していた親がチェックして観に来てくれるようになってくれたこと。”とKOUHEIさんが嬉しそうに話したり、”お母さん観てるー?”とRYU-TAさんが母親に呼びかけてから曲振りをする場面もあった。家族や周りやファンのことをとても大事に思っていて、その思いをいつも伝えてくれる。それは、わたしが彼らを大好きで、尊敬する理由の一つだ。

“今日はさっきUDOも来てくれたし、他にも地元の友達もたくさん来てるので、そんな友達に歌います。幸あれ友よ!”
武道館では”遠くの友達にも届きますように。”と言って披露された「bless you」だったが、この日は遠くの友達がすぐそこにいる。その嬉しさを噛みしめるように歌い上げるGENさんがとても印象的だった。

“なんでここに立ちたかったというと、僕が初めて音楽体験をしたのがここで。ここが僕の音楽人生の1ページ目なんです。あの頃のGEN少年はここで衝撃を受けてそこからいろんな音楽を聴いて抜け出せなくなっていったんです。
今日初めてライブに来たって人たちはいる?今日はそんな人たちにあの頃のGEN少年以上に衝撃を受けて、持って帰ってもらいたいと思います。
会場が広いからよく響きそうですね。さっき来てくれたUDOがいた頃から歌っている大事な歌を歌おうと思います。”
HIROKAZさんの奏でるギターの音に乗せて、スポットライトを一身に浴びたGENさんが歌い出す。——一音も聴き逃さないようにしっかりと耳を傾けて天井を見上げた。この時のわたしの頭の中では、ずっと、”俺たちはアイドルバンドなんかじゃない。”という言葉が鳴り響いていた。Hi-STANDARDとのツーマンで、同じ「Buster call」を歌う前にGENさんが渾身の力を振り絞って放った言葉。そんな言葉が、この日はもうわざわざ言わずとも音から滲み出て放たれていた。
“東名阪あるけど名古屋が1番やばいとこ見せてくれよ!めちゃくちゃになれBuster call!!”
「Buster call」が生み出した勢いを纏って”まだまだそんなもんじゃないだろ?!かかってこいよ!!”とRYU-TAさんが煽り、「monolith」へと続く。大事な一曲目を任されることが多かった「monolith」が終盤の鍵を握る位置で演奏された。メンバーだけじゃない、曲もまた、成長していた。

“どんなヒーローでも物語はヒーローになってからの話で、この10年は俺たちがヒーローになるまでの話だから、まだまだ本当の物語はここからなんです。
何にもなかった学生が、こんなことになるんですよ、バンドって死ぬほど夢がある!これからは俺たちの新しい道を切り開いていきます。2年前に名古屋を離れる時に作った曲を聴いてください。俺たちの旅はまだまだ続く。だからただ、ただ、先へ。ただ、ただ、先へ、進め!”
フォーリミはまだまだここからだという4人の決意を乗せたGENさんの力強い言葉を添えて披露された「Feel」は、フォーリミの未来へと続く道をキラキラと光り輝かせていた。

そんなキラキラした道を、一緒に行こう、一生一緒にいようと高らかに宣言してくれる、「Give me」。ホール中が、”これからも一緒に”という決意と、”ずっと一緒”という幸せに満ちていく。

メンバー全員がはけていった瞬間に客席から次々と上がったのは「アンコール!アンコール!」とそれに合わせた手拍子——ではなく「ワンモー!」と力強くアンコールを求める声だった。日本ガイシホールはとても大きな、でもメンバーも客もよく知っているライブハウスになった。
“バンドやって本気出せば夢は叶うよ!なんて言えないけど。俺たちも苦しいときがあって戦って壁を超えて、そうやって夢を叶えてきたんですよ、じゃあお前らはどうなんだ?!という曲を最後にやります。考えすぎて考えすぎて自分っていうものがなんなのか、わからなくなっている名古屋の皆さんに捧げます!自分自身に生まれ変われ!”
そう言って最後に演奏された「Squall」では、”あの頃のままじゃ〜”からラストに向かって昔の4人の姿がモニターに映し出された。「普通の兄ちゃん」が楽器を持って、バンドを始めて、名古屋のライブハウスから少しずつ広がって、名古屋でフェスを開催し、武道館に立ち、憧れのバンドとのツーマンを経て、そして武道館よりも立ちたかった地元のホールに立つ。そんな、04 Limited Sazabysがヒーローになる瞬間までを一気に観させてもらえたような感覚になった。

冒頭のレーザーやモニターの映像、セットリストや、曲によるライトの色や雰囲気など、この日のライブは、随所に武道館で使われたものと似た演出が散りばめられていた。武道館よりも立ちたかったと言う場所で、その日に似た、だけどその日をしっかりと超えたものを、観せたかったのではないか。やっと地元で本物のヒーローになれる、その証明のようなものに感じた。
2017年10月28日、ヒーローに憧れて、ヒーローになるべくがむしゃらだった彼らは、2018年5月5日、わたしの、名古屋の、そして日本のヒーローとなり、堂々とそこに立っていた。
そして、
来たる9月9日、彼らのヒーローHi-STANDARDが主催するAIR JAMのステージに、今度はヒーローにただただ憧れた者としてではなく、自分たちの時代のヒーローとして立ってくれることだろう。演奏が終わるその瞬間に、ハイスタ世代のオーディエンスの心をどれほど掴んでくれるのか、今から楽しみで仕方がない。ハイスタ世代と呼ばれることもある彼らだが、同じようにフォーリミ世代と呼ばれるバンドが出てくる未来もそう遠くないのではないか。そんな未来を楽しみにしながらわたしはこれからも、わたしのヒーローである彼らの音楽と一生一緒に生きていきたい。終演後、日本ガイシホールのステージ上部に掲げられた「04 Limited Sazabys」の文字を観ながら、そう、強く思ったのだった。

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