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KANA-BOONのミニアルバム『アスター』から感じること

夏の始まりを告げるファンファーレと終わりに気づく蝉の声

5/30、KANA-BOONのミニアルバム『アスター』が発売された。この日は対バンツアースタートの日でもあり、あのアジカンとの対バン日でもあった。もちろん関東に住んでいるわたしは対バンツアーに行った。最高だった。しかしここでは発売されたミニアルバムについて書きたいと思う。

今回のミニアルバムの収録楽曲数は5曲。「彷徨う日々とファンファーレ」「ベガとアルタイル」「アスター」「線香花火」「夏蝉の音」と、タイトルだけで夏を感じるものが半数以上を占める。ジャケット写真には、水中を泳ぐ金魚が一匹。これまた夏を感じずにはいられない。泳ぐ金魚の尾びれはアスターになっており、なんともお洒落だ。

余談だがアスターとは日本でいうエゾギクで、お盆の時期によく目にする花だ。花言葉は「さよなら」「思い出」などが挙げられる。

わたしは好きなアーティストのアルバムのタイトルが発表された後、どんな楽曲が入るのか、隠されたテーマはなんなのかということを考えながら発売まで待つ。今回もそうだった。ミニアルバムという楽曲が少ないものになるとストレートにタイトル=テーマになるのではないかというのが、今回のわたしの予想だった。だから花言葉などを調べた。

そうこうしているうちに、リード曲の「戸惑う日々とファンファーレ」のMVが公開された。初めて見たとき『あれ?夏っぽさは無いな。でもまぁ、爽やかだし花言葉っぽい言葉もあるかな』という印象だった。そして何度もは観ないようにした。記憶している再生回数は2回ほど。シングルと違いアルバムの場合は発売前に1つの楽曲を聴きこまないようにしたかった。収録曲全てを1つの作品として聴きたかったからだ。

そしてついに発売日。朝起きてすぐ再生を始めた。
やはり待ってよかったと思った。メンバーがSNSなどで自信作と言っていたが、その通りだった。

約18分で夏が始まり、夏が終わった。

まだ6月も始まっていないのに、もうお盆を過ぎ残暑はいつまで続くんだろうという気持ちにさせられた。なんだかとっても気持ちよくて、でも悔しかった。発売前に考えていた通りのテーマだったのに、予想を大きく上回るアルバムだった。

「彷徨う日々とファンファーレ」では梅雨明けのようなファンファーレの名にふさわしい爽やかさを感じつつ、KANA-BOONの変わらない純粋さがある。
サビの歌詞なんて、流石としか言いようがない。
『会いたいだけ 嗚呼、痛いだけ』
同じ音なのに、こんなに胸を締め付けられる言葉に変わる。曲の最後には『君のもとへ走るバスに飛び乗って』次の曲にバトンタッチする。

「ベガとアルタイル」が始まる。七夕で有名な星の名前。その通りの楽曲。激しく愛し合いながらも距離ができてしまう2人を思い浮かべることができる、強いサウンドが続く。個人的に数年前からこのような曲がKANA-BOONの真骨頂と言えるのではないかと思うようになった。フルドライブやアルバム「TIME」のような楽曲だ。やっぱりこういう曲がないとな、と考えつつ次の曲に進む。

アルバムのタイトルと同じ「アスター」。歌詞にはそこら中にアスターを感じ、初めからベースがグイグイきつつ、メロディアスな一曲。この曲が1番、最近感じていたリズム隊の成長と楽曲の幅の広さを押し出している。上から目線甚だしいが、アルバム『Origin』が発売されたとき、友人とベースとドラムが上手くなってると感動した。元々がどうだったとかそういうことではない。リズムの取り方やフレーズに今までにはないものを感じたのだ。そこからライブなどでもやはり、と感じてはいたが、この「アスター」で、確信にかわった。鮪さんのSNSの投稿で今回のアルバムでは、デモの段階でドラムを打ち込んだりベースを弾いたりしたと読んだが、それに答えられるベーシストとドラマーになったんだろうなと感心した。曲に幅を持たせるには絶対的にリズム隊の成長が必要であり、まさにKANA-BOONはその途中にいるのだ。

終わりに向かう「線香花火」
タイトルを見た時点で、きっと切ない曲だろうとは思っていたが、それ以上に胸を打つものだった。比較的ロートーン、スローテンポで続くメロディー。そして、サビで情景がはっきりと思い浮かべることのできる歌詞。特に『一人、ベランダ、零れ落ちてく 涙と線香花火』の一節はストレートで失恋と夏の終わりの感覚が身体中を占める。別に実際にこういうシチュエーションの経験があるとか恋人と別れたとかは、特にないのに、なぜこんなに切ない気持ちにさせるんだろうと思う一曲だ。

そして終わる「夏蝉の音」
寝苦しい夜や梅雨、甲子園など夏の代名詞を存分に使っており、あぁ、夏だなと思う曲。そして、KANA-BOONのしんみり終わらせないぞと感じるラストの1曲。KANA-BOONは明るく次に続く終わり方を好むように感じるし、私もそうであって欲しいと思っている。ミニアルバムでも忘れずにそうしてくれた。私が学生だったら夏休みの最終日に聞きたい。こんなこともあんなこともあったなぁ。と思い出しながら聞きたい。最後の『さよならは言わないからね』というアスターの花言葉を逆手に取ったかのような歌詞、5周年に発売されたミニアルバムの最後の言葉に相応しい。谷口鮪ここにありな歌詞だ。そして聞き終わった後に名前の通り夏蝉の声がどこからか聞こえてくる。
 

一通り書いて思ったが、長い。しかし書ききれない。たった5曲にここまでの気持ちにさせられるなんて思ってもいなかった。少なくとも5/29の私は思っていなかった。今年の夏のお供になる1枚。過去最高とメンバーが自信を持つ1枚。どうか多くの人に届くことを願う。

そして5周年、KANA-BOONの変わらない純粋さとこれからが楽しみになるほどの成長を感じて、これからを楽しみにしよう。

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