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2017年4月21日

@あや@ (39歳)
88
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back number へ、ありがとう

『手紙』という曲への想い

back numberの存在を知ったのは『忘れられぬミュージック』という曲を聴いてからだ。
その頃私は他のミュージシャンの楽曲ばかりを聴いていて、この曲をダウンロードしたのも、その人達が歌っていたから。

暫く好きなミュージシャンの声ばかりをこの曲に求めていたが、何回も聴いている内に、切なく歌いあげる別の声の存在と、それをスッと受け入れている自分に気がついた。
ようやく、その切ない声の持ち主がback numberというロックバンドなのだと知った。

ふとどんな曲を歌っているのか好奇心が湧いたが、普段好きなミュージシャンの曲しか聴かない私は、その解き放つべき好奇心を閉じ込めてしまった。
残念だ!今にして思えばもったいないことをした。
その時知っていれば、もしかしたらlove storiesツアーに行けたかも知れないのに…

だがその数ヶ月後、その好奇心を解き放つ機会がやってきた。
Synapples2.0というイベントに、好きなミュージシャンと一緒にback numberも出るという。

せっかく行くなら予め曲を予習して当日を楽しもうと、ようやくレンタルショップに行って、その当時最新アルバムだったラブストーリーを借りた。

衝撃だった。
一曲目の『聖者の行進』の軽快なイントロが流れ始めてから、ラストの『世田谷ラブストーリー』まで時間の感覚がなかった。
夢中で聴いていた。
一曲一曲が終わり、次の曲はどんなだろうと無音の中に期待を膨らませた。
あっという間の50分だった。

正直、どんなミュージシャンでも、1枚のアルバムの中には聴き流してしまう曲はあるものだという持論があったが、back numberの楽曲には全く当てはまらなかった。
次々アルバムやシングルを借りてきては、その度にback numberにハマっていき、アルバムに入らないカップリング曲までもが素晴らしいと感動していた。
back numberのどんな楽曲も、なんの引っ掛かりもなくするりと私の中に入ってきた。
なんの事はない、呆れるほどあっという間にback number漬けの日々の始まりだ。
 

予習は万端!過ぎたほど。
いよいよ満を持して迎えたSynapples2.0当日。
会場に着いた私の最初の感想は、back numberのライブTシャツに身を包んだファン層が恐ろしく若い…である。
若干の気後れがありながらも、今か今かと待っていたback numberがついに出てきた!
見た目は普通だったが(笑)やはり曲は普通じゃない!
初めて聴くback numberというバンドの生の音。
『青い春』のイントロを奏でる依与吏さんのアルペジオは一生忘れないだろう。
予習してよかったと、人生で初めて思った。
3人共すでにオーラ全開で、会場の熱も一気に上がったのが分かった。
私のほんの1メートル先で歌う依与吏さんのビリビリと響く声に、エフェクトが効いたギター音に、低く唸るベース音に、盛り上がれと言わんばかりのドラムに、私もボルテージが上がらない訳がなかった。
若い子達と一緒に、これでもかと腕の限界を超えて振り上げ続けた。
そして想像していたよりゆる〜い口調のMCも、楽曲とのギャップを感じ、また魅力的だった。
 
 

ある日、いつファンクラブに入ろうかと考えるほど、すでにback numberの虜になっていた私の耳に、新曲をリリースするという嬉しいニュースが飛び込んできた。
首をながーくながーく伸ばしながら発売日を待ち、いよいよCDをコンポにセット!

いい曲だと思った。
ただ初めて、初めて素直に聴けなかった。
ストンと落ちなかった。
もやもやした気持ちが残った。
その頃、親子関係が破綻しかけていた私にとって、歌詞を読むことが辛かった。

両親への感謝の気持ちを綴った曲。
『手紙』

すでに父が他界していた私にとって、母が幸せになることが望みだった。
だが私が思い描く幸せとは遠く、母の望みは波乱に満ちた方へと向かっていた。

私はそれに協力しつつも、なかなか光が見えない事に絶望し、諦めるよう説得した。
それがまずかったのだろう。
母の心は壊れ始め、私は母の中で悪役になった。

こんなに協力してきたのに。
こんなにあなたの幸せを願ってきたのに。
こんなに…
こんなに…
そんな私を悪役にした。
きっと病気のせいだろう、心の何処かで囁いても、絶望は抑えきれなかった。

『手紙』は親の愛の積み重ねを感じる曲だ。
子への無償の愛。
子の喜びも辛さも、親にとっては2倍3倍に感じるものだ。
その感謝を歌にした。

辛かった。
だけど聴き続けた。
私も幼い頃こんな時が確かにあったと。
曲を聴いて自分の過去を思い起こすことで、黒くトグロを巻いていた気持ちが少しづつ、本当に少しづつだが解けていく気がしていた。

この曲がリリースされてどれだけ経っただろう。
まだすんなりとはいかないが、あの頃よりは素直に聴けるようになった。
ある日母とのメールで、私を気遣うほんの些細な文面に嬉しさを感じた。

きっと大丈夫。
今は少しそう思える。
『手紙』が特別な曲になった。
 

back numberの楽曲は女々しいと言われがちだが、嫉妬や妬みや後悔という誰しもが経験するドロドロの感情をここまでさらけ出して、時に爽やかに切なく、熱くもある曲に仕上げる術を持つback numberを、心底人間くさくて格好いいと思った。
私はすでに家庭を持つ大人で、恋愛は現在進行形で進んではいないし、back numberの楽曲の大部分を占めるラブソングは人生の過去のものだ。
そんな私でも、ひとたび曲を聴けば、そのストーリーの主人公に感情移入し、まるでジェットコースターのように、上がったり下がったり心動かされる。
綺麗事なんか皆無で、誰もが経験する弱い部分曲がった部分真っ直ぐな部分を歌う人間くささがあるからこそ、今私の中に広々と住みついているのだろう。

依与吏さんがどこかで言っていた。
歌は物事を大きく変えることはできない。
でも聴く人の背中を押すことはできる。
そういうバンドでありたいと。

そういうバンドになってる。
いつも支えてくれて、頑張ってくれてありがとう。
ずっと聴き続けるから。
応援し続けるから。
もし言う機会が奇跡的にあったなら、ありきたりだけどそう伝えたい。
きっと嬉しそうな照れた顔で、ありがとうと言うのだろう。

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