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生きることを歌った、HAPPYという唄

BUMP OF CHICKENの歌うバースデーソングの形

「つぎはぎの自分を引き摺って」
このワンフレーズだけでとめどもなく涙が溢れてきた。

こんなにも的確に自分を一言で表す言葉があっただろうか、脳をガンと殴られたような気がした。
我が強過ぎるのに実は物凄く弱くて、バラバラでちぐはぐな感情がその時その時によって変わる自分を端的に表した言葉だった。

つぎはぎの自分としては、こんな自分がまあまあ嫌いだが、結局のところは自分が本当は好きなんじゃないかと思うくらい、自分を守るのに必死だった。
生きていけば生きていくほど痛みは増えて行く。
心は強くなれないまんま、なんとか自分と自分の大事なわずかなものだけを守るのに必死だった。
辛い事が積み重なって思考のドツボにハマって抜け出せだくなったり、身の回りに不幸ごとが重なって何もかもやめたくなったり。
そんな事はしょっちゅうだ。

しかしそんな私に向けてBUMP OF CHICKENは歌ってくれる。
数々の歌が慰めてくれたり抱きしめてくれたり勇気をくれたりするような気持ちにさせてくれる。

中でも今回紹介する『HAPPY』はいつも泣かせてくれた後に晴れ晴れとした気持ちにさせてくれる。
雨の後の晴れのような歌だ。
 
 

HAPPYの中にこんなフレーズがある。

「優しい言葉の雨の下で 涙も混ぜて流せたらな」

「優しい言葉の雨に濡れて 傷は洗ったって傷のまま」

「優しい言葉の雨は乾く 他人事の様な虹が架かる」
 

嘆いたり悲しんだり苦しんだりしていても、優しい言葉が降ってくる事はあるのだ。
それにはとても感謝しているし、心からありがとうと言葉を尽くして御礼を言うし、忘れないようにしようといただいたお手紙を宝物のように引き出しの奥にしまったり、メールであればスクリーンショットを撮ったり、無くさないように大事にしている。

だが、結局のところHAPPYで歌われるところの「優しい雨」に続く歌詞が本音であり本質なのだ。
泣きやめるものなら泣きやみたいし、傷は癒えようと傷ついた事実自体は消えないし、優しい雨のその後にはこっちの心も知らず勝手に綺麗な虹がかかっていたりする。
そんなもんなのだ。

諦めではなく、結局のところそんなもんなのだ。
優しい雨は、ありがたいし愛しい。
ずっと濡れていたいとさえ思う。

さあどうするかな、とぼんやりしていたらそのうち太陽が昇って明日がくる。
ならば、優しい雨に濡れた後は、優しい雨を降らせてくれた”誰か”の手を強く握って他人事のような虹の下でまた会いたいのだ。
優しい雨の後は、必ず、少しだけ上を見上げさせてくれる力があるのだ。
 
 

そしてこの曲は『HAPPY』のタイトル通り、BUMPにしては明るくロックなギターサウンドから始まる。
間奏の「Happy Birthday」の繰り返しはキャッチーなメロディかつハッピーな響きで歌うものだからきっと一聞した多くの人がバースデーソングだと思うかもしれない。
それは違う、なんて昔は思ったりもしたが、巡り巡って考えた結果、それでいいのだ、と結論がついた。

音楽の解釈なんて自由だ。

BUMP OF CHICKEN からの”お誕生日おめでとう”の曲だと解釈していい。

しかし、彼らの言う”お誕生日おめでとう”の言葉のその奥のほうには、様々な困難を乗り越えたり或いは乗り越えられなかったり、それでも生きていたり、優しい雨に濡れて立ち直れたり、そういう色々を乗り越えて今生きてることの愛しさや奇跡をおめでとうと言ってくれているのだと思う。

生きるのは大変だ。
悲しみも辛さも消えないけれど、喜びも消えない。
つぎはぎの自分を引き摺って、傷だらけになった身体で注意深く生きていて、そうこうしているうちに勝手に雨が降ったり虹が出たり太陽が現れたりする。
多かれ少なかれ、みんなそんなものなのではないだろうか。
だから彼らは僕らもそんなもんだし、君たちもそんなもんだし、傷は洗ったって傷のままでも正しいのだと歌ってくれたのではないのだろうか。

そして、そんな風に生きるのが下手な人にこそ、生きていてる幸せを祝福したHAPPYという歌と、
「どうせいつか終わる旅を 僕と一緒に歌おう」
という”共に歩んでくれる約束の歌”をBUMP OF CHICKENはプレゼントしてくれたのだと思う。
 

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