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仲良く、するんだ

BUMP OF CHICKEN good friendsという愛しい皮肉屋へ

good friends――――
というのに、仲良しこよしを唄わない皮肉屋なこの曲が愛しい。

<好きになれないものを見つけたら わざわざ嫌わなくていい
そんなもののために時間割かず そっと離れればいい>
この一節を「好きではないモノやヒトを遠ざけるための正当な免罪符」として引用する言葉を時々目にする。
そして、そうやって引用した言葉をこの曲はそんな冷たい曲じゃない、好きになれないものがどうやったって気になってしまう人の人間臭い曲だ、と反論する意見も見かける。
どちらの言葉にも意見にも同意も反論もせず、「まさにgood friendsの世界だなぁ」なんて傍観者をきめる私は一体何様なんだろう。

同意も反論も面倒だなぁと思いつつ、それでいてこの曲について自分の意見を言わずにはいられない、矛盾屋の私。

この曲で特徴的なのはジャカジャカ奏でられるギターと一緒に歌いたいと言っているような心地のいいハーモニカの音だ。
ハーモニカは息を吹いて奏でられる楽器には珍しく、それだけで和音がだせる楽器だ。
「ハーモニー」は「調和」という意味だが、そういう意味合いも込めてこの唄にハーモニカが使用されているのではないか、と彼らに問いてみたい。考えすぎだよ、と笑うだろうか。はたまた君の受け取った考えが答えだよ、と認めてくれるだろうか。曲と君の間に生まれたストーリーを大切にしてほしいと常日頃から伝えてくれる彼らだから、そのまま自分の考えを認めてあげたいなと思う。

<比較対照探しの毎日 知り合っても 知らなくても
知識 苦労 資格 今あいつは 人としてどんな具合>
きっと誰しも心当たりがあるだろう。
「中学の頃威張っていたあいつ、今は小さい会社の普通の会社員だ、面白いな」
「小学校のとき仲の良かったあの子、今は立派になって、もう違う世界の人だ」
「フォロワーの多いあの人、みんなに注目されているのに、私なんて」
そんな風に私より、僕より、がいつの間にか当たり前になって他人と自分を比べてしまう。
いいね、と思っていないのに友人のSNSの投稿にいいねしたり、当時あまり好きではなかったライバルの今をわざわざどんな具合かさりげなく人伝に尋ねたり。うらはらに気になってしまうのだ。
以前何かの本で読んだ。「自分のものさしがない人は苦しい。自分のものさしがないから他人と比べてしまう。」と。
<大人なら触らずに いたずらに傷付けずに>と理性ではわかっているのに
<だけど自分が無いから>自分のものさしがないから
<誰かが気になっちゃって仕方ない>のである。
自分のものさしがないのはつらい。他人と比べることでしか自分の大きさを図ることができないから、他人という対象が変わるたび一喜一憂する。疲れてしまう。その本を読んだ時、だから私はつらいのか、自分のものさしほしいなぁ、とストンと納得した。

以前藤原さんは「生きることとか、死ぬこととか、笑うこととか、泣くこととか、お腹が減ったとか、そんなことばかり唄ってるんですけど。知っている気持ちと、経験したことしか書けないと思います。」と語っていた。
ここまで意表を突くような、私の心を見透かすような歌詞を紡ぐ藤原さんでさえ、こういう人間じみた妬みとも羨ましさとも言いきれない複雑で汚い感情を抱えたことがあるのだ。

私はほっとしていた。彼でさえ抱えたことがあるのなら。
 

自分のものさしが欲しいと思ったあの日から、それで自分のものさしはできたの?と聞かれればまだないと答える私だ。私の心を解剖するどんなモノに出会っても成長できていない自分に呆れるのも飽きた。

それでも<きっとさ 仲良く出来ると思うんだ>と何度も唄う。
 

<しないんだ>
この曲の最後でぽつりと残されるこの言葉。「できないんだ」のではく「しないんだ」という。「それでも自分をコントロールするのは自分自身だろう?他人は関係なく、君自身はどうなんだ?」と投げかけられる。

隣の芝生は青い。もともとは冒頭で出した2つの言葉や意見を羨ましく思った故にこの文章を書き出したことに気づいた。
<何も気にしないような顔して><全部諦めた様なふりして>
「傍観者」なんて、「同意も反論も面倒」なんて、よくもそんなことが言えたものだ。
自分の言葉を、意見を、ものさしを持っている人をしっかり羨ましがっている。

仲良くしたい。自分の大小を気にしてしまう汚い私自身と。
仲良く、するんだ。

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